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日本地図を作った先人達に想いを馳せる 『大河への道』感想レビュー

本日は公開一週目の映画、『大河への道』を両親と共に少々遅ればせながら、鑑賞。

結論として、時代劇、現代劇のバランスが良く、話のテンポも丁度いい感じにまとまっており、笑いあり感動ありで、気持ちよく劇場を後にすることができた。

原作は立川志の輔さんの創作落語

「伊能忠敬物語―大河への道―」

ということで、2011年の初演以来、絶賛の声が絶えない素晴らしい演目なのだという。

なるほど、話の中に随所に挟められたクスッとしてしまう笑いや、登場人物達の心地よい台詞回しと間。これは、落語ならではのものであり、製作に携わった皆さんが、しっかりとこの演目を研究して、リスペクトを込めて製作されていたことが分かる。

それに加え、映画では落語と違い、それぞれの役者さんが登場人物を演じることが可能となり、それぞれ上手くハマった役者さんを配置していたなと思う。

中井貴一さんはこの映像化の発起人ということもあり、その点でも、一人の役者さんとしての演技も本当に素晴らしいなと思った。

中井さんに加えて、松山ケンイチさん、北川景子さん、橋爪功さん…役者の皆さんは時代劇、現代劇と同じ布陣で別の時代の人物を演じているという点は、とても面白いと思ったし、一人で何役も演じ分ける落語にもかけているのかなと感心する点であった。

内容も伊能忠敬本人では無く、亡くなってしまった彼の遺志を次いで、日本全国の地図を完成させようと奮闘する人々の活躍を描いているのが、とても印象的であったし、そのように、実際の大河ドラマでも、歴史上の有名な人物を支えた人々を主題にした作品というものがあってもいいのかもしれないと思わせてくれるものだった。創作部分は勿論あるだろうし、多少ドラマティックにしている部分もあるにしても良い物語だったと思う。

最近、グロテスク表現が多かったり、殺人事件の加害者、その家族の苦しみとは?みたいな作品が日本映画の大作、名作として出ている感が強くて敬遠していた。

だが、このように時代劇でありながらチャンバラも殺人もなく、物凄い壮絶なドラマはないかもしれないけれど、しっかりとした物語で、「楽しい、面白い」と純粋に楽しめる映画は是非観たいなと思うし、そのような作品が増えて欲しいなとも思った。

是非、多くの人に観て欲しいし、それを受けた業界の人々がこのような映画もありなのだなと思ってくれたら、映画館で映画を楽しく観たい人間としてはこれ程嬉しいことはない。

今回この作品に出会い、観ることができて本当に良かったなと思う。

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