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過去と未来 「影追い人」 感想
ジャンププラスのGW読み切り作品「影追い人」を読みましたので、感想を書かせて頂きます。
こちらの作品を読もうと思った理由は、絵柄がルートエンドに似ており、どこか陰のある感じに惹かれたからです。
あらすじです。
主人公の少年は大切にしていた猫が亡くなり、失意のどん底におりましたが、葬儀の帰りに寄った喫茶店で不思議な出会いをします。喫茶店で泣き出してしまう主人公は、カフェの女性店員から提案を受けるのです。それは猫の絵を描いてくれるという加賀贋秀という男を紹介れるというものでした。
いかにも怪しさ満点の加賀は肉体労働と引き換えに大好きだった猫の絵をプレゼントしてくれるというものでした。
果たしてその真意は…?
ここから感想です。
やはり最後のページが全てですね。
素晴らしい作品だったと思います。
誰しも亡き人、会えない大切な人を想うもので、もう一度会えたら、ずっと一緒にいられたらと考えるものです。
しかしその先を実際に描くとどうなるのか、この作品からよく分かります。
一度失った人を何らかの手段で復活させ、昔のように生活をしたところで、その幸せは一過性のものなのです。加賀というキャラクターはその沼に落ちました。過去に生きることを決めた人間の成れの果ての恐ろしさです。
一方、主人公の少年はそれが無意味なことに気付きました。過去に生きることを拒否したからこそ前を向いて、無くなった大切なものへの悲しみ、かつての楽しい思い、そういったことを抱えて前に進むからこそ未来があるんですよね。
私もかなり昔のことですが、大好きな女性にフラれて立ち直れない日々が続いたことがありましたが、ある時から夢の中で遭遇するくらいが丁度いいと思うようになりました。
そのくらいの距離感で想う程度が自分の人生に影響を及ぼさない最適なものだからです。
過去にとらわれると前に進めなくなることが多いです。前に進むことの定義は難しいですが、少なくとも過去に起きた事象に固執して他の選択肢を模索しないことはその後の人生の選択肢すらも失わせてしまう可能性が高いでしょう。
そんなようなことを思い出せてくれる読切として文句なしの作品でした。
連載も非常に気になります。過去と未来の対比をもっと強調し、数話ずつ完結する形式で、色んな人間をこの加賀のようなキャラクターと交わらせるのも面白いかもですね。
笑うセールスマン的な形で、主人公によってさまざまな結末を描くというものです。
いずれにしても素晴らしい作品です。
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