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家族って何だろう?と考えさせられる作品「朝が来る」

こんにちは、読書子です。
本日、紹介する本はこちら。
辻村深月作「朝が来る」

養子縁組をテーマに描かれた作品です。
あらすじに惹かれて読んでみました。
それでは、簡単にあらすじを紹介します。

長く苦しい不妊治療の末、栗原清和・佐都子夫妻は養子縁組を選び、
民間団体を仲介に男子を授かることになる。
朝斗と名付けられた子は、幼稚園に通えるくらいまで元気に成長し、家族は平穏の日々を過ごしていた。

そんなある日、栗原家に1本の電話がかかってくる。
佐都子が電話に出ると、相手は朝斗の生みの親・片倉ひかりと名乗り「私の息子を返してほしい」と話した。
佐都子は清和と相談し、片倉ひかりと名乗る女性と会うことになるのだが・・

この作品は朝斗の育ての親である栗原夫婦と、生みの親である片倉ひかり、2人の視点で話が描かれています。

栗原夫婦の話では佐都子視点で物語が進んでいきます。
結婚し、いつかは子どもができるだろうと思っていた栗原夫婦。
しかし、なかなか妊娠しないため、2人は不妊治療を開始することになります。
ただ、不妊治療を始めても妊娠できず、段々と疲弊していく栗原夫婦。
私も子どもがなかなかできず凄く悩んだ時期があるので、2人の気持ちが痛いほど伝わってきました。

そして、長い不妊治療の末、2人は養子縁組という手段を選びます。
親に反対され、「血のつながりがない子どもを育てられるのか?」と
悩みながらも、子どもを引きとろうと決断した栗原夫婦。
赤ちゃんを迎えた時「朝が来た」と感じた佐都子を見て、本当に良かったと思いました。

一方、片倉ひかりの視点では子どもを妊娠、出産し、その後どのような生活をおくっていたか描かれています。
中学生で妊娠したひかり。
病院を受診した時には堕胎できる週を過ぎていました。
「大好きな彼氏との子どもを産んで育てたい」と願うひかりですが、両親は許してくれません。
産まれた子は養子に出すことになり、栗原夫婦の子として迎えられることになりました。

その後、日常生活に戻ったひかりですが、妊娠がきっかけで彼氏と別れ、両親との間に確執が生まれ家出します。
それからは国内各地を転々としていくのですが、散々な目に遭うひかりを見て彼女の考えや行動が幼いと思うと同時に、心が痛くなりました。
最後は一筋の光が見えて少しほっとしています。

この本を読んで思ったのは、家族って何なのか。
親としてどう子どもと向き合っていくのかということです。
特にひかり視点の話を読んだ時、「自分の子どもがひかりと同じ境遇になったら、親としてどう子どもに接するだろう」とすごく考えさせられました。
子どもの意思や体調、その時の状況によってどうなるか分かりませんが、私は「授かった命をなくしたくない」と思います。

2016年にドラマ化、2020年には映画化された「朝が来る」。
気になる人はぜひ、読んでみてください。





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