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全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割【トホホな短歌&エッセイ】

タイトル長!
そして、ちょっと"クスッ"と。
この本を書店で見つけた時に、まず感じたことです。

全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割

本書のタイトルでもあるこちらは、フリースタイルの短歌(=五七五七七のルールに捉われない短歌)です。

このタイトルだけでも、ちょっと情けないというか、かわいそうというか、心優しい雰囲気が伝わりますよね。

本書では、このような思わず"クスッ"と来てしまう100首以上の短歌と、歌人芸人である著者のエッセイが収録されています。

「最近疲れているな」
「気軽に読める本ないかな」
「なんか、自分ばかりちょっとずつ損な役回りになっている気がする」

そんな方にはピッタリの本です!


○著者

岡本 雄矢(お笑いコンビ「スキンヘッドカメラ」)
・札幌で芸人をしながら、フリースタイルの短歌を作る歌人芸人
・私は昔からお笑いが好きですが、正直知りませんでした……
・短歌に関しては、俵万智さん、穂村弘さんという歌人界の第一人者から推薦文が寄せられるほどの実力

○ジャンル

フリースタイル短歌+エッセイ

○あらすじ

・ひたすら小さな不幸に見舞われる日々
・普段の生活で思わず、遭遇してしまったトホホ…な場面
を歌人芸人である著者が約31文字のフリースタイル短歌で綴る。

また、その短歌が生まれた背景や当時の心境、やるせないエピソードを描いたエッセイも収録されており、2度楽しめる構成となっている。

○感想

・短歌に全く馴染みが無くても楽しめる。

考えすぎ、心配性な自分と同じ匂いの雰囲気が感じとられ、思わず
「これ、めっちゃ分かる!」、「こういうことあるわー」と共感できる部分があった。

・ただ共感するだけでなく、「そこまで考えちゃうのか…」、「なんだか、ちょっとずつ不幸だな(笑)」と自分の予想の2,3段上の考えすぎを発揮していて、思わずクスッと来てしまうことも多かった。

・著者は、多くの人が何の違和感も感じずに素通りするところで立ち止まる(「立ち止まってしまう」の方が正しいかも)が、こういう人ほど、何か言葉で書いたり、作ったりすることが得意で、言語化と相性が良いと感じた。

・お笑い番組やライブでゲラゲラ笑うタイプとはまた違い、読書や言葉、文字による面白さ。ゲラ度や笑いの瞬間最大風速は高くないが、心にゆっくり沁みわたり、いつまでも残る感じ。

・著者本人には失礼かもしれないが、テレビやYouTubeなどのコンテンツで見ることが少なくても、本や文章で活躍するタイプの芸人も十分アリだと思う。
むしろ最近の、1つの仕事につかず、複数の仕事をする、副業や複業の今の時代ともマッチしている気がする。

・"短歌"は普段の生活に必須ではなく、無くても生活には困るものではない。しかし、だからこそ価値があるというか、これだけ長く続いてきたコンテンツなんだなと感じた。
(奈良時代とか平安時代から現代まで、形は変えつつも残り続けてきたコンテンツと思うとなかなか凄い!)

AIが発達したり、効率(コスパ、タイパ)が重視される現代では、短歌の凄みや価値、効用はますます高まっている気がする。

○印象に残った短歌

本書では短歌が100首以上も収録されています。
その中で、私が思わずクスッときたり、何かいいなぁと感じた短歌を3つご紹介します。
短歌だけでなく、エッセイと一緒に読むとより楽しめます。

スパゲッティがパスタになってバイキングがビュッフェになっても僕ずっと僕

鴨せいろ一枚もりそば一枚で鴨汁シェアして食べるあいつら

とりあえず頷いてるが僕バック・トゥ・ザ・フューチャー見たことがない


以上です!
皆さんの心に沁みわたるトホホな短歌もきっとあるので、ぜひ読んでみてください。
極上の"クスッ"があなたの頭と心を癒してくれるはずです。


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『第一芸人文芸部』が本について読書と語り合うブックバラエティです。


短歌にほとんど馴染みが無い方でも楽しめます。


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