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時をかけるゆとり【圧倒的無意味な読書体験!】

○著者

朝井リョウ(戦後最年少直木賞作家)

○ジャンル

エッセイ

○感想

・本屋でこの本の背表紙を見たときは、小説なのかなと思い、手に取ってみたら、まさかのエッセイ。しかし、これが大当たりでとにかく面白過ぎた。

・著者の朝井リョウは大学2年生の時に『桐島、部活やめるってよ』でデビューし、『何者』で戦後最年少直木賞を受賞し、作品がいくつも映画化されており、経歴をみたら間違いなく超エリート作家である。

・そんな著者から、「お腹が弱い」、「馬顔」、「肛門」などのワードがボンボン出てきて面白い。(もちろん下品な話以外も全部面白い)

・起きている出来事自体ももちろん面白いが、それを何十倍にも面白くしているのが、著者の「観察力」と「文章力」である。起こっている状況や人間の心理(自分自身も含めて)を鋭く観察し、それを持ち前の文書力で書き上げている。

・読んでて思わず声を出して笑いそうになったし、『人志松本のすべらない話』の本バージョンという感じがした。(公共の場で読む際には注意が必要。おそらく、私はずっとニヤニヤしてしまっていた…)

・笑うことを探すときは、だいたいバラエティ番組やネタ動画、お笑いライブ等がメインになるが、それらと同じ種類の面白さを読書でも体験出来ることを再確認した。

・本を読むときの「何かを学ぶため」、「新しい考え方を身につけるため」、「人生や生活に活かすため」と言った意義やモチベーションももちろん大事である。しかし、本作の謳い文句の一つである「圧倒的無意味な読書体験」と言うように、純粋に面白くて読んでて元気になる、それも立派な読書だと思う。

・この本をきっかけに著者に興味が湧き、動画やインタビュー映像を見てみたが、小説家というよりは同世代の若者という感じで好印象だった。今後も著者の小説やエッセイを読んでみたい。

・続編の『風と共にゆとりぬ』、『そして誰もゆとらなくなった』ももちろん読む予定。(まずタイトルが最高である)


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