読書ノート2022/05/05

加藤典洋さん「村上春樹の世界」(講談社文芸文庫)が面白かった。感想エントリーを書きたいのだけれど「自分は加藤さんの村上春樹論が好きだ」以上のことが書けそうにない。大切な一冊だけれど、なかなか誰にでも分かるようなおすすめの仕方が分からない。そういうことがあってもいいよな、とは思う。

加藤さんは、作品が読者に与えるものと、作家が作品を通じて直面している問題は何か?ということと、両方を考えることを批評の姿勢としている。特に後者の作家の態度・姿勢に踏み込んで読み解くことが、加藤流であって、加藤批評の魅力、温かみではないかと感じる。

感想エントリーを書いてないけど面白かった本といえば、最近だと「コーヒーの科学」(旦部幸博さん、講談社ブルーバックス)。コーヒーを植物学、化学、生物学、感覚の科学などさまざまな観点から考察。ブルーバックスは日常のトピックから科学を考えられるのがよい。

伊坂幸太郎さんの最新刊「マイクロスパイ・アンサンブル」(幻冬舎)は相変わらず面白く、あっという間に読み終えた。こちらは感想エントリー書いた。伊坂作品はハズレがなく、絶対に面白いと確信を持って購入できる。貴重な作家さんだ。

たとえば旅先で本を切らし、駅構内の書店に立ち寄る時間が5分しかないとしたら、伊坂作品から未読のものを選べば間違いない。そういう作家を1人でも2人でも、自分の中に持っていると心強い。

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