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読書ノート

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読んでいる本、読んだ本、読みたい本についてつれづれ書いている日記のようなもの
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2024年8月の記事一覧

どん底でも『百年と一日』は読めた

人生のどん底とも言えそうなくらいトラブル続きだったこの夏に、詩集と歌集は読めたという話を直近のエントリーでしました。それともう一つ、ピンポイントである短編集だけは読めた。それか柴崎友香さんの『百年と一日』(ちくま文庫、2024年3月10日初版発行)でした。

『百年と一日』は、時間を描いた小説である。それが特殊な点だと思います。人物(主人公)ではなく、あるいは場所(組織や共同体)ではなく、時間を描

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どん底でも歌集は読めた

前のエントリーで書いた続きで、人生のどん底と言えそうなつらい状況の中、かろうじて読めた本は詩集のほか、歌集でした(もう一冊、紹介したい本があるので、書けたら書く)。

具体的には『啄木歌集』。石川啄木です。岩波文庫。

石川啄木は、20代で結核に苦しみ病死。妻と母も病に苦しみ、長男が誕生間も無く亡くなり、貧困に苦しみ…。壮絶な苦難に直面してきた歌人です。

一番有名なのは、次の歌でしょう。私が一番

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2024年7月に読んだ本リスト

【7月】・『口の立つやつが勝つってことでいいのか』、頭木弘樹さん、青土社
・『啄木歌集』、久保田正文さん編、岩波文庫
・『弟はぼくのヒーロー』、ジャコモ・マッツァリオールさん、小学館文庫
・『生命式』、村田沙耶香さん、河出文庫
・『百年と一日』、柴崎友香さん、ちくま文庫
・『自選  谷川俊太郎詩集』、岩波文庫
・『化学の授業をはじめます。』、ボニー・ガルマスさん、文藝春秋
・『北条民雄集』、田中裕

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どん底でも詩集は読めた

この夏は様々なよろしくはない出来事が起こり、人生のどん底と言ってもいいような苦難に直面しています。なかなかそういう中では、本を読むことは難しい。だけれど、一部の本は読むことが出来ました。そのうちの一冊は詩集でした。

開いたページに記された文字の連なりを読めば良い。そこから情景や、不思議な感覚が一瞬、きらめく。物語ではない。集中力はいらない。不安に心が絡め取られる時は、もう読むことはやめて、はるか

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