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試着室で昔の恋愛を思いだしたことがある人へ   

試着室で誰かを思い出したことはありますか?

私はある。というか恋をしている女性は、一度はあるんじゃないのかな。そういえば恋をしている女性で、服を一着も買わないでいられる人っているんだろうか、、、笑

服を選ぶ基準は基本的に、自分が好きかどうかだ。自分に似合うと思えるもの、好みの形、好みの色。
だけど恋をした途端、邪な感情が加わる。あの人に可愛いと思われたい。素敵だって思われたい。恋をした途端に自分のクローゼットの雰囲気が変わった経験をしたのは、きっと私だけではないはず。

主人公正子もそうだ。

「普通じゃない服を探しているんです」

正子はお店の店員さんに、こんな注文をする。
写真家のカメラマンの彼氏の隣にいるには、もっと個性的で、おしゃれで、洗練されている女性が似合うと思う。そして自分はそうじゃない。
そんなふうに正子は考えていた。

自分に急に自信がなくなって、他の女の子ばかりがよく見えてしまうことってありますよね。
だけど正子は結局“個性的な”服は買わなかった。買ったのは、コサージュ。正子が持つ横顔がより華やかになる、正子にぴったりのコサージュ。

「個性」とは「人とは違う何か」だと思い込んでいた。
人と違うのが「個性」ではなく、自分らしいのが「個性」なんだ。

自分の長所を10個あげてみてください、と言われてスラスラ言える人は何人いるんだろう。難しい。5個だってギリギリだ。

だけど私たちは時にポーンと、恋人から思ってもみなかったような“良いところ”を教えてもらう。あまりの予想外の褒め言葉にびっくりしたことだって一度や二度はあるはず。
あるいは、自分がずっと短所だと思っていたところを“いい”と言ってもらえたり。

自分らしさなんて、自分が自分でいる限りわからない。だからそれを知るには、他の人のレンズが必要だ。もしかしたら“自分らしさ”なんて、他人のレンズから見た“私”の集合体なのかもしれない。

言葉ほど、永遠に残るギフトはない。
だから恋人からもらった意外な褒め言葉は心に残る。

服装は内面をうつす鏡

そんなことを思い出した。
恋をしてもしなくても、好きな服を着て出かけよう。
そんな気持ちにしてくれる一冊。


Written By あかり

アラサー女


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