詩「不思議な時間方向」

欲望は時折、いつか無くなってしまうであろうこの肉体
(と、一つの時間軸に沿った可能性としての系譜)
が惜しいと叫びをあげる
それは原初よりも複雑化し時折倒錯しているようだが
おおよそ、この性質を反映しているといえるだろう

私はできる範囲で欠乏を満たしてやったり
時には持ち前の
(我々の数少ない類稀な能力の一つであるところの)
予知能力を発揮し
懸命になだめすかしたりしている

もし私が別の時間方向を持つことができたならば
悲しい咆哮の止む日が来るかもしれない
その時間方向はエントロピーの拡散とは異なる経路となるだろう
私の頭の中だけで進行する、あるいは停滞する
不思議な時間方向になるだろう

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