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倍速批評

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記事一覧

「倍速批評」2024年1月1日の日記

2023年、私が最も頻繁に呟いた語は「批評」だったらしい。批評の巧拙は措いておいて、「批評」について考えまくっていたのは私だろう。

去年は批評に関心があるひとと話す機会が多かったが、やはり「批評」という語を用いるのに抵抗感があるひとも少なくなかった。

実際は一次創作をやりたいと思っている書き手もちらほらいるようだった。

しかし、内なるホリエモンがこう言う。批評は楽しいからやるの!あるいは、M

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倍速批評Ver0.1 「葬送のフリーレン」と倍速視聴についての覚書

先日の日記にも書いたが、「葬送のフリーレン」の物語を理解できない人が少なくないという内容のツイートがバズっていた。私は、なにか作品の物語を理解するという行為が実際にどのようなことか自明でないという批判を考えた。そもそも、そのような人が実在するのかも怪しいし、「古今東西の世にある物語」と教養主義的な価値観が見え隠れしているのも個人的に好ましくない。

さらに、「フリーレン」を倍速視聴したので理解でき

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倍速批評Ver0.2 倍速記

‘blind’という語が私の思考の内で反芻される。

昨年、アニメ批評同人誌『ブラインド』の「リコリス・リコイル」特集に「日常という斜塔」という論考を寄稿した。「リコリコ」は真島というテロリストのキャラクターが登場する。彼は、かつて盲目だった。

私の関心は自らになにが見えていて、なにが見えていないか、というものになった。

キャラクターでなく、物語でなく、主題でなく、社会でなく、アニメーションな

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倍速批評Ver0.3 秒速10センチメートル

まず、正直に申し上げて、どうでも良い。

私は性格が悪いので「架空の彼氏彼女にいろいろ言われる恋愛診断」が流行っていたことを覚えていますよ。その時に、「秒速5センチメートル」や「おやすみプンプン」が人気な理由を了解しました。それらの作品は自分語りを誘発する魔力がある。

「新海誠好きの元彼」と人間の一側面で括ってラベリングするのは失礼らしい。そうなんですね。「元彼」とだけ言っても、対象との関係性の

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