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不動産鑑定士試験合格のための学習計画(不動産鑑定士試験と不動産鑑定士への道のり)[5/5]


不動産鑑定士試験の受験には仕事を辞める必要がある?

まず、大前提として、不動産鑑定士試験は合格率が非常に低い超難関資格です。そして、2000〜4000時間も勉強をしないと合格が見えてこない資格です。
そのため、仕事を休職や退職して勉強することも視野に入れなければいけなく、実際に仕事を辞めて受験勉強をする人が多くいます。
※宅建士のように仕事をしながら取ることが当たり前の資格ではありません。

仕事を辞める?:
仮に3000時間勉強が必要だとして、1日10時間勉強しても300日(=10ヶ月)かかります。本気で合格(特に一発合格)を目指すなら、仕事を辞めて受験勉強に専念する覚悟は必要かと思われます。
※仕事を休職・退職して受験勉強する場合、落ちた場合にどうするのかなど、ある程度の計画は必要です。(仕事や貯金など)

仕事を辞めない?:
また、仕事をしながら受験をする場合、1日5時間勉強しても600日(=1年8ヶ月)かかります。仕事をしていない時間は常に勉強をする生活が少なくとも2年発生することになります。こちらも心身ともに負担がかかるので、相当の覚悟が必要です。
※仕事をしながらの場合、土日などの休みは10〜12時間ほど勉強をする必要が出てきます。

仕事をしながら勉強をする方法としては、不動産鑑定の会社に入ることが挙げられます。一部の会社では、不動産鑑定士の資格取得を奨励しており、試験の勉強会を開催する会社や、試験直前には休みにしてくれる親切な会社なども存在します。
不動産鑑定の業界自体に入りたい場合は、転職して、環境を整えるというのも考慮に入れるべきかと思います。

不動産鑑定士試験の受験は何年かかるのか?

不動産鑑定士試験の合格には上記で述べた通り、2000〜4000時間かかります。先程も軽く計算しましたが、仮に3000時間とした場合でさらに計算をしてみましょう。

1日中勉強に時間を費やせる状況だと仮定すると、
1日12時間の勉強で250日(=8ヶ月)、1日10時間の勉強で300日(=10ヶ月)もかかります。

仕事をしていたりして、あまり時間を確保出来ない状況だと仮定すると、
1日5時間の勉強で600日(=1年8ヶ月)、1日3時間の勉強で1000日(=3年)もかかります。

つまり、最短でも8ヶ月、長くて3年くらいの勉強期間を想定しておく必要があります。
1日どれくらいの勉強時間を確保できそうか、仕事を辞めるのかどうかも踏まえて、学習計画を立てましょう。
オーソドックスな学習計画(コース)を2つ提示しておきます。

【1年合格コース】
1年で短答式試験と論文式試験の合格を目指す。
短答式は絶対に受かり、論文式も可能な限り合格を目指します。論文式がもし落ちてしまったら来年以降で論文の合格をする想定です。
これが最速コースですが、かなりハードであり、勉強時間も相当必要です。受験前年の夏、遅くとも秋からはスタートを切りたいところです。

【2段階合格コース】
1年目で短答式試験、2年目で論文式試験の合格を目指す。
1年目は短答式の合格のみを考え、鑑定理論と行政法規に専念して勉強を始めます。短答式試験直後から論文式試験の科目をスタートさせ、翌年の論文式試験合格をする想定です。
時間はかかりますが、短答式の免除を利用し、2年かけて勉強するので無理が少なく、仕事を辞めなくても不動産鑑定士試験の受験が現実的なものとなります。
ただし、1日5-6時間の勉強は必須ですし、鑑定理論は論文式の勉強をすべきです。また、可能なら短答式の前に民法か経済学のいずれか1科目はスタートを切っておきたいです。

学習スケジュールのモデル

様々な勉強環境・背景がありますが、1年合格を目指す場合の勉強スケジュール例を次に示します。

不動産鑑定士試験に向けた理想的な学習スケジュール

勉強開始時期は人によって違うため細かい時期は明記していません。もちろん早ければ早い方が良いですが、1日何時間勉強できるかから計算し、できる限り早くスタートを切りましょう。

勉強開始:
まずは鑑定理論の勉強からスタートします。
最初は意味不明なので、まずは不動産鑑定評価基準を1周する必要があります。基準の理解や重要な論点の暗記をするところから勉強します。

中盤①:
鑑定理論が落ち着いたら短答式試験で必要な行政法規を始めましょう。行政法規を一気に勉強したら、忘れないようにコツコツと勉強を継続します。

中盤②:
行政法規が落ち着いたら、民法と経済学をスタートしましょう。理解に時間がかかるので、いかにこの2科目を早くスタートするかがポイントです。

中盤③:
民法と経済学よりは比較的軽い演習のスタートを切ります。短答式試験もあるので、そこまでにある程度のレベルに到達したいです。

12月〜:
いよいよ短答式試験を意識する時期になります。行政法規の勉強を本格的にやっていきます。また、短答式直後から会計学を詰められるよう、一通り会計学の勉強をしておきます。逆に、会計学はこの辺まで手をつけなくてもどうにかはなります。自分の勉強の進捗と相談です。

短答直前(3月〜):
短答対策をメインとしながらも、民法、経済学、演習も継続しましょう。
鑑定理論はついに短答対策を本格化させます。ただ、論文の勉強も絶対に継続します。

短答直後〜論文直前:
やることをやるだけですが、会計学をこの時期にやろうと思っている人は会計学に時間を割く必要が出てきます。
メインの鑑定理論を極めながら、様々な科目で基本事項の確認や苦手潰しを行いましょう。

不動産鑑定士試験の勉強はいつから始めるべき?

再度、1日の勉強時間からかかる日数を計算して、日付を計算してみましょう。

1日12時間の勉強で250日(8ヶ月)の場合
→試験前年の12月
1日10時間の勉強で300日(10ヶ月)の場合
→試験前年の10月
1日8時間の勉強で375日(1年)の場合
→試験前年の8月
1日6時間の勉強で500日(1年5ヶ月)の場合
→試験前年の3月
1日4時間の勉強で750日(2年1ヶ月)の場合
→試験の前々年の7月

休職・退職などをして勉強に専念できる場合、試験前年の8月、どれほど遅くとも12月には勉強をスタートさせる必要があることがわかります。
もちろん、受験を志したら、⚫︎月から勉強しようと決めるのではなく、今すぐ勉強を始めましょう。

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