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【徹底解説】不動産鑑定士試験の経済学 おすすめ参考書と勉強法

この記事の要約

不動産鑑定士試験の経済学 勉強法

レジュメの範囲を初学者向けの参考書で学習する
レジュメを読み、頭の中の理解を整理する
→ノートなどに自分でまとめるのもGood!
③ 必要な記述を自分で書けるようにレジュメを暗記・練習する
確認テストを解く
→必ず紙に書いて解く!
確認テストで書けなかった部分を暗記・復習する
→内容自体がわからない箇所は初学者向けの参考書に戻って確認!

不動産鑑定士試験の経済学 おすすめの参考書

【基礎編】
速習! ミクロ経済学』/『速習! マクロ経済学』 + 『入門経済学[第4版]
【演習編】
不動産鑑定士 経済学 過去問題集(TAC出版)
【応用編】
マンキュー経済学I ミクロ編 第4版』/『マンキュー経済学II マクロ編 第4版』/『マンキュー入門経済学 第3版

不動産鑑定士試験の経済学 レジュメと確認テスト

・「独学で不動産鑑定士」が提供するレジュメと確認テストはnoteのマガジンにて掲載しています。


独学で不動産鑑定士 メンバーシップのご案内

不動産鑑定士試験で重要になる過去問演習の学習計画・スケジュールリングに役立つ、おすすめ問題通知サービスを利用できたり、経済学のレジュメ・確認テストを都度購入せず、自由に閲覧できるプランもございます。

不動産鑑定士試験の経済学とは?

経済学にはどんな問題が出る?(過去問)

まずは、勉強法や参考書の前に、どんな問題が出題されるか見てみましょう。

不動産鑑定士試験の経済学の問題は、試験時間2時間ほぼ罫線しかない答案用紙4枚(国土交通省が公開している解答用紙はこちら)に解答をボールペンで記述していく試験です。

具体的に過去問を見てみましょう。以下は、令和4年の不動産鑑定士試験の過去問です。

〔問題〕問題1(50点)
次の⑴及び⑵の各設問に答えなさい。
⑴ ある町には個人Aと個人Bの2人だけが住んでおり、2人は町に公園が欲しいと考えている。公園の広さをXとし、個人Aの限界便益はVA=50−X、個人Bの限界便益はVB=40-2Xとする。ここで、限界便益とは公園の広さが1単位増えるとどれだけ便益が増えるかを金銭で測った値で、限界評価や限界支払意思額とも呼ばれる。(ここでは、限界便益は公園の広さXが増えれば低下する。)また、公園を整備する費用はC=60Xとする。つまり、限界費用は一定の60である。
①公園は公共財であるとする。公共財とは何かを経済学の用語を2つ用いて説明しなさい。
②公共財である公園の最適な広さを求めなさい。
③個人Aか個人Bのどちらか1人が公園の設置の費用を負担するならば、公園はまったく設置されない(広さがゼロとなる)ことを示しなさい。
⑵ 今回は省略します。

問題2(50点) 今回は省略します。

おそらく、勉強をまだ始めていない人にはちんぷんかんぷんだと思います。このような問題を将来的に解けるようにするために勉強をしていくことになります。

少し問題を覗いてみると、「①(略)公共財とは何かを経済学の用語を2つ用いて説明しなさい。」というように、経済学で登場する用語の定義を問う問題があります。これは、少し勉強をすれば、解くことができる問題です。このような問題を絶対に落とさないことが大切です。(なお、試験のときには、このような定義を答える問題は考える間もなく、手が勝手に動くかのように解答を書けるようになる必要があります。)

不動産鑑定士試験の経済学は平均点が50点程度(40〜60点)の試験です。全てを完璧にする必要はないので、経済学の目標点は6割、最低でも半分くらいを得点すれば良い試験と考えれば、先程のような怖い問題を見てもちょっとマシなのではないでしょうか……?

経済学で出題される内容は?(出題範囲)

国土交通省の発表している文書では「ミクロ及びマクロの経済理論と経済政策論」と出題範囲は定められています。経済学全部から出題されるということですね……。

ただ、出題傾向に特徴はあります。ミクロなら「部分均衡分岐」、マクロなら「IS-LM-BP分析」といった内容が何度も出題されています。要するに、経済学全体を勉強する必要はなく、よく出題される範囲を勉強すれば良いということになります。

よく出題される範囲(=勉強しなければならない範囲)は、経済学レジュメで扱っている範囲や、この記事の後半で紹介する参考書『試験攻略入門塾 速習! ミクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』と『試験攻略入門塾 速習! マクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』を参考にしてください。

不動産鑑定士試験の経済学 文系でも大丈夫?数学は必要?

不動産鑑定士試験の経済学は文系でも大丈夫?

文系でも大丈夫です。理由としては大きく2つあります。

理由①:文系もたくさん不動産鑑定士試験を受験する

実は、不動産鑑定士試験を受験する人に文系が多くいます。これはどういうことを意味するかと言えば、ライバルたちもスタートラインは同じということです。「文系だから経済学はできないのでは……?」と思うのはみんな同じ。経済学があるだけで勉強もせず受験を諦める人すらいると考えれば、それほど脅威になる科目ではありません。

理由②:暗記をすることがメイン(?)の科目

(若干偏見が含まれていますが)暗記が得意であれば、経済学は高得点を狙える可能性が高いです。鑑定理論のように、暗記しなければいけないことが経済学には多くあります。たくさんの計算や高い論理的思考力がなくても、暗記する努力でかなりの部分をカバーすることが可能です。

不動産鑑定士試験の経済学に数学は必要?

この部分を読んでいる人は、不動産鑑定士試験の経済学に数学が不要であることを願っている人が多いかと思います。残念ながら、数学は必要です。しかし、それほど多くの範囲や、必要な範囲であっても難しい内容が必要なわけではありません。

イメージとしては、中高生の頃の授業を思い出してみて、新しい単元に授業が入って最初の2-3コマくらいの範囲、難易度が必要なイメージです。基本的にはグラフを描くことが多い試験です。

不動産鑑定士試験の経済学に必要な数学

不動産鑑定士試験の経済学に必要な数学

「うわぁ……。」と思った人もいるでしょう。ただ、勉強をする際に、「これらの数学を勉強してから経済学を始めよう」というのは避けましょう。小学生レベルの算数ができて、義務教育を受けたくらいの人であれば、とりあえず勉強を始めて、わからないところだけネットやYouTtubeで検索したりしてピンポイントで勉強しましょう。

「ぶつかったタイミングでピンポイントで勉強をする」という方法を取らないと、経済学を後回しにする言い訳にする可能性もありますし、不動産鑑定士試験の経済学で不要な範囲や過剰な内容を勉強してしまう可能性があります。限られた勉強時間を賢く活用しましょう。

不動産鑑定士試験の経済学 おすすめの参考書と勉強法

ここでは、不動産鑑定士試験の経済学を学習するにあたって、必要・おすすめな参考書をご紹介します。また、その参考書を使ってどのように勉強するのか(=不動産鑑定士試験の経済学の勉強法)も合わせてご紹介します。

一旦全ての参考書を勉強法に目を通していただき、自分の立ち位置はここだろうという目星を付けていただいて、必要な参考書の購入と学習を行っていただけると幸いです。

「初学者だからこの記事の最初だけ読む」というのは避け、記事全体を読み、まずは全体像を把握することが大切です。

①基礎編:試験攻略入門塾 速習! ミクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)試験攻略入門塾 速習! マクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)

経済学の初学者が独学で不動産鑑定士の経済学を勉強するのに必須とも言える参考書が石川秀樹先生の『試験攻略入門塾 速習! ミクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』と『試験攻略入門塾 速習! マクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』です。

初めて経済学を学ぶ人向けに、経済学を基礎から丁寧に解説してあります。また、10〜15分程度の短い解説動画(YouTubeにQRコードから飛ぶ形式)が付属しているので、「文章を読むだけでは頭に入らない・理解しづらい」ということも少ないです。

初学者でない場合であっても、わからないところを基礎に立ち返りたいという場合にも使えます。マクロとミクロで1冊ずつ持っていると安心の教科書です。広い範囲を網羅しているので、辞書的にも使うことができます。

ただし、『試験攻略入門塾 速習! ミクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』と『試験攻略入門塾 速習! マクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』は、不動産鑑定士の試験のために作成された参考書ではありません。そのため、不動産鑑定士の試験に不要な単元(=出題可能性が低い単元)も多く含まれており、「参考書の前から順番に勉強する」という使い方はできません。各章の冒頭に資格ごとに勉強すべきかどうかという指標が掲載されているので、それも参考にして、不動産鑑定士の試験に重要な箇所を優先的に勉強していく必要性があります。

③基礎編:入門経済学[第4版]

次におすすめなのが、伊藤元重先生の『入門経済学[第4版]』です。これは前述した石川秀樹先生の『試験攻略入門塾 速習! ミクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』と『試験攻略入門塾 速習! マクロ経済学 2nd edition(試験攻略入門塾)』の後に使う、というのではなく、

  1. 同じタイミングで購入して、一緒に使う

  2. 自分にあった方を購入して、どちらか一方のみを使う

といういずれかが良いと思います。

『入門経済学[第4版]』は、単元の最初が対話形式になっており、他の単元との関連などが非常に分かりやすいです。コラムや図が入っているため、経済学の理論的な話を分かりやすくする工夫がなされています。さらに、穴埋めでの練習問題もあるので、復習も容易です。

経済学自体の初学者は、「①同じタイミングで購入して、一緒に使う」がおすすめです。「1冊限りの理解に留めるのではなく、複数の視点から経済学を学習すべき」というのもありますが、「一方の参考書で理解できなかった場合に、もう一方の参考書の説明の仕方ならわかった!」ということもあるためです。

書籍購入の金額を抑えたい、とりあえず始めたい、軽く経済学は勉強したことがあるなどの人は「②自分にあった方を購入して、どちらか一方のみを使う」で良いと思います。

④本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメ/確認テスト

本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメ確認テストは、不動産鑑定士の経済学を勉強するにあたって、非常に便利かつ有用なものとなっています。

初学者の勉強は、市販されている参考書は説明がわかりやすいですし、体系的に学ぶことができるておすすめですのでそちらを利用していただくことを推奨しています。(いずれは本サイトでもわかりやすい解説を増やしていきたいですが…)

しかし、不動産鑑定士の試験はご存知の通り、記述形式です。頭で経済学のことがわかっていたとしても、それを記述して説明する必要があります。頭の中で理解した経済学の知識を、記述・説明するために必要なのがレジュメと確認テストとなります。

「独学で不動産鑑定士」のレジュメと確認テストとは?

経済学レジュメ:経済学の知識を、不動産鑑定士試験の経済学において活用できる記述形式でまとめたもの

経済学 確認テスト:レジュメに記載の内容を、実際の試験で問われる論点の単位で問題にしたもの

本サイトのレジュメは「不動産鑑定士の試験向けに経済学の知識をまとめたもの」です。レジュメとそれに付随する確認テストを徹底的に理解・暗記することが、不動産鑑定士試験の経済学を攻略する鍵となります。

特に以下のタイミングで、本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメと確認テストを活用してほしいと思っています。

本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメと確認テストを使用すべきタイミング

  1. 初学者が軽く初学者向けの参考書(①、②、③)で経済学を学習した(一部の単元でもOK)

  2. 経済学を学習したことある人が不動産鑑定士の経済学を学習したい

本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメと確認テストは具体的に、以下のステップ・使い方で経済学を学習することを推奨しています。

本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメの使い方

①「レジュメ」の範囲を他の初学者向けの参考書で学習する
②「レジュメ」を読み、頭の中の理解を整理する
→ノートなどに自分でまとめるのもGood!
③必要な記述を自分で書けるように「レジュメ」を暗記・練習する
④「確認テスト」を解く
→必ず紙に書いて解く!
⑤「確認テスト」で書けなかった部分を暗記・復習する
→内容自体がわからない箇所は初学者向けの参考書に戻って確認!

本サイト(独学で不動産鑑定士)のレジュメと確認テストは全て1:1対応をしています。レジュメ→確認テストの順で取り組むことを想定しており、確認テストは徹底的にレジュメにおける表現を可能な限り流用しています。そのため、レジュメを徹底的に暗記して、確認テストをレジュメの表現を使って解く、というようにすることを意識しましょう。

確認テストは、初めて解く際、絶対に満点の解答を作成することは不可能だと思います。確認テストの解答は、論点ごとでの記載も掲載しているので、何が書けて何が書けなかったかが一目でわかります。書けなかった箇所は徹底的に暗記し、次に確認テストを行う際には満点解答を作成できるように頑張りましょう。

レジュメは何度も読み返しましょう。その上で、確認テストを少なくとも3回、目標で5回は繰り返し取り組み、徹底的に暗記をしましょう。確認テストは頭の中で思い浮かべるのではなく、本番と同じように紙にボールペンで実際に書きましょう。紙とペンがなければ、声に出すなど、自分で解答をごまかさない工夫をしましょう。

※繰り返し、暗記するように言っていますが、もちろんその前提として基本的な理解を参考書で行うようにしましょう。

⑤基本テスト ⑥応用テスト

基本テストと応用テストは現在準備中です。

⑦応用編:不動産鑑定士 経済学 過去問題集

言わずもがな必要なのが過去問題集です。中でもおすすめが『不動産鑑定士 経済学 過去問題集(TAC出版)』です。それほど多く不動産鑑定士の過去問集は出版されていませんが、TAC出版は安定して改訂本を出しており、安心して使うことができます。

解答例には、何の内容がかいてあるのか論点が記載されており、長い文章を単に掲載している訳ではないので読みやすいです。また、「解答への道」というまとめがあるのも良いポイントの1つです。

過去問は必須の参考書ですので、使っていくうちに慣れるかと思います。

しかし、不動産鑑定士の経済学は過去問を解きまくれば良いというものではありません。本サイトの「確認テスト」をはじめとしたテスト類やレジュメの理解を徹底的におこなうことを優先しましょう。

不動産鑑定士の経済学の過去問の使い方

・どの問題を解くべきか:最新の問題10年分
→最低で最新の問題5年分は解きたい。歴史に関する問題などもあり、訳がわからなくなる可能性があるので、古い問題は解かなくて良い。

・何周すべきか:最新の問題10年分を1周
→教科書的内容(レジュメの内容)を発展して、実際の問題では問われます。もちろん、実際に解いて慣れる必要はありますが、細かいことを頭に頑張って入れるよりは、レジュメなどの基本的事項を完璧にするのが優先です。2週目以降は余裕がある場合のみ取り組みましょう。

⑧応用編:マンキュー入門経済学 第3版 ⑨応用編:マンキュー経済学I ミクロ編 第4版 ⑩応用編:マンキュー経済学II マクロ編 第4版

こちらは、「経済学と言えばこの本」というくらい有名で、大学の経済学の教科書にも指定されることも多いくらいの書籍です。基礎レベルから応用的な最新の内容まで網羅しており、⑧、⑨、⑩の3冊で1,500ページ程あります。具体例が分かりやすいのがポイントです。
※購入する際は、『マンキュー経済学I ミクロ編 第4版』と『マンキュー経済学II マクロ編 第4版』だけでなく『マンキュー入門経済学 第3版』も購入しましょう。

1,500ページというページ数から分かるように、不動産鑑定士試験の経済学には明らかに過剰な内容です。しかし、レベルとしては基礎から応用まで、範囲としては経済学全体を網羅しているので、情報が足りない、ということがないのが最大のポイントです。過去問演習を始めるくらいのタイミングでは揃えて、「過去問のこの範囲わからないからスルー」というようなことがないようにしたいところです。

(おまけ)新版 経済学辞典(中央経済社)

最後が、『新版 経済学辞典』です。これは、簡単に言えば「用語集」や「辞書」です。

もちろん、これで勉強する、というわけではありません。不動産鑑定士の経済学の勉強をしていると、分からない単語、そしてテキストにも記載がない内容というのが登場します。そのような際に役立つのがこの『新版 経済学辞典』です。

『新版 経済学辞典』は辞書なので、一般的な教科書的な参考書に記載のない用語であってもきちんと掲載されている場合が多いです。特に経済学の過去問を解くと、勉強過程で聞いたことのない用語が出てくることがあります。そのような際に頭を抱えるのではなく、とりあえず『新版 経済学辞典』を引いてみるという使い方ができるため、勉強のサポートとして役立ちます。(=分からなくて本を漁って時間をロスすることを防げます。)

また、不動産鑑定士試験の経済学では、定理の定義がそのまま問われるという問題もあるため、辞書的な説明に日頃から触れておくというのも良い勉強になるでしょう。

経済学の勉強をするときにあると安心の1冊であることには間違いありません。ただ、必須級、という参考書ではありませんので、購入するタイミングや必要の可否についてはよく検討しましょう(安くないので……)。

まとめ:とにかく、参考書→レジュメ確認テスト

不動産鑑定士の経済学は、論述式という形式のためハードな試験です。しかし、突破不可能な試験ではありません。

基本的な内容を参考書で理解→レジュメを読み込む→確認テストで暗記チェック→過去問演習

という流れを使って、頑張って攻略してください!!

独学で不動産鑑定士 メンバーシップのご案内(再掲)

不動産鑑定士試験で重要になる過去問演習の学習計画・スケジュールリングに役立つ、おすすめ問題通知サービスを利用できたり、経済学のレジュメ・確認テストを都度購入せず、自由に閲覧できるプランもございます。


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