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人間やるのって、難しいねぇ【人間】

うまく人間やるのって、とても難しい
だから面白い

【本の基本情報】
〇ジャンル:小説
〇本の種類:単行本・ハードカバー
〇著者名:又吉 直樹
〇出版社:毎日新聞出版

■「人間」を読んで

又吉さんの作品はとても好きで、特に、登場人物の人間性や心を細かい描写で優しく描く部分にとても魅力を感じています。

本作はまさにそのタイトルからも分かるように「人間」というものを
本当に細かに描いています。

どうやったらこれほど人の心の中を描けるのか
いつもとても不思議に思いながら読んでいます。

登場してくる人たちは、みなそれぞれの個性をもっていて
それぞれの性格や表情などが、とても細かく描写されていてそこに居るかのように
そして、その人間の気持ちと共感したりと、まさに人間を表現するのに、又吉さんのようにきめ細かく描ける人はなかなかいないのではないかと感じました。

■登場する「人間」の苦悩や葛藤

まさに「人間」というタイトルのように、人間の揺れ動く心情や行動が実に細かく描かれています。

人は言葉に出さなくても、心の中や頭の中で
実に素早く様々なことを考えています。

何かを見ても、それを全く同じように感じていることはありません。
その感じ方に正解はないのです。

誰かに何かを言われても
それをどう受け止めるかも、人それぞれで全く違います。

いつも期待した通りの返事が来るとは限らないのです。

そして自分が感じていることを表現したとしても
それを自分と同じように感じてくれたり評価してくれたりはしません。

そのズレに対して人間は時に安心したり、イライラしたり
分かり合えないということに苦悩し葛藤しています。

正解はないとわかっていても
その正解を、正しいを求めて悩み、考えていく、それが人間なんだと感じました。

■「人間」を読んで!まとめ

本書で感じた特徴として感じたことは、まずは第一に人間の心や思考の変化の表現。

思考を誰かに伝え共感したり、そうでなかったり、人間が生きていくときに、必ず経験する、誰にもわかってもらえない。
考え方や感じ方の「ズレ」、感性の違いを実に繊細に詳細に描いていろと感じました。

次に、本書はストーリーの中に他の小説にあるような「動き」というものが少ない。
つまり、人間対人間の感性のぶつけ合いに対して重点を置いているように感じました。

誰もが経験する、感じる、自分とう存在の意味。
自分の存在を守るために、行動とは違う思考が働き、そのことにまた悩み、葛藤していく。

こういった人間的な感性、思考的な部分。
表現することが難しい微妙なニュアンスが、細かく表現されています。

なんとなく読んでいくと、なかなか頭に入ってこない部分もありますが
読み込むと、その人間のちょっとした感じ方や表現に対しての考え方など、ものすごく微妙な部分が見えてくるような内容だと感じました。

全体を通して、人が感じていることの表現や会話を中心に
人間の生き方を表現しています。

人間らしさ、人間くささ、自分が思うままに動き、生きる
誹謗中傷など、自分ではない誰かに自分の考えや正解を押し付けるのではなく

それぞれの感性、考えをお互いが認め合い、そこに本当の人間同士の、付き合いや生き方が育っていく。
それでいいんだ。と思える作品でした。

コンピューターの時代になり、これから「AI」という人口知能がどんどん活躍するようになると思います。
しかし、そんな中でも、人間だから感じられること、人間だから考えられること
「AI」にはできない「人間」にしかできない、人間らしさ、人間の複雑さをもっと大切にするべきだと、それでいいんだと本書を読んで強く感じました。

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