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dok-s の映画日記その45「はちどり」(2020)

「中2のウニ」
評価:★★★★★

 人気なんですね、この映画。なかなか当日券が買えずに苦労しました。前評判はほとんど知らなかったけど、私はポスターのウニの横顔、それのインパクトで見に行きました。

 90年代の、まだ男尊女卑が残る韓国のとある団地。主人公ウニが家の玄関チャイムを何度も押すところからスタート。お母さん!開けて!玄関は開く気配はない。ウニは階を間違えたんですね。そのシーンが彼女が感じた、家族愛の希薄を現しているようで、ウニは家族関係の閉塞感から少しでも離れるべく、各所に埋め合わせに飛び回ります。
 頼りない彼氏、百合後輩、冷たい友達、そして、年上のカッコいいお姉さん先生。ひとときの幸福のあとに重なる絶望。一喜一憂しては、小さなはちどりウニはそれでも飛び回る。自分の意思で、幸福も不幸も、確認するために。理解するために。この世で生きる術を得るために。

 一言で言って「尊い」ってやつです。
中学2年生の、少女から大人へ変わる、ある時期の切り取り。物語はわりと淡々と進むけど、頼りなくひょろひょろ歩く危なっかしいウニから目が離せないんですね。また、ウニはなかなかの美少女でオーラがあるので、そこにも人気の理由がありそうですね。

 ウニの家族の食卓に並ぶ巻き寿司やお好み焼き、餅などが実に美味そうで。
これら、栄養たっぷりの食事があるだけで、この家族は十分幸せな気がしましたね。

ウニよ、飯食って、はばたけ。(2020.8.30)

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