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dok-s の映画日記その43「その手に触れるまで」(2019)

「イスラム版大映ドラマ」
評価:★★★★

 イスラム教、その価値観が自由主義にミックスされてしまったベルギーのイスラム系住民の1人の少年が、兼スーパーを経営の導師の過激な教えの影響を受けた挙句に、自由主義者である学校の先生を「裏切り者」と刺し殺そうとして少年院へ入れられてしまう話。

 見終わった後、なんとなく懐かしい気分になった。
これ、子供の頃見てた80年代「大映ドラマ」じゃん、みたいな。まるで昭和の青春ドラマみたいな構成でして、今時でもこんな作品は出来るのかみたいな、宗教をトリガーにした、素直な青春ドラマを久々に見た感じで嬉しかった。

 それほど多くないセリフでも、不可抗力で歪んだ少年の考えが、徐々に瓦解される心の動きが何とも初々しいし生々しく伝わる少年の演技は大したもの。決定的なラストもなかなかの演技で、見応えがありました。

 ところで、この映画のラスト、見る人によってはいい意味で「裏切られた!」って思うんじゃないかな。思うとともに、自分が恥ずかしくも思ってしまうかもしれない。変わってないのは、この少年ではなく、自分ではないのかと。

 舞台となったベルギーやフランスではもう少しシリアスに写るのかな。少なくともイスラムテロの影響を受けていない日本の私にとっては、大映ドラマそのものでした。(2020.8.9)

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