dok-s の映画日記その34「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)
評価:★★★★★
「モリコーネに捧げる」
長いこと見ていなかったが、久々に鑑賞。
多分、ディレクターズカット版の余計なシーンまで観てしまって以来、魅力が半減してしまい、見なくなったのだと思う。
そのくらい、この映画の短縮版は文句なしの編集だから、もうこれ以上見ないでおこうと思った。
それ以外にも、この映画の素晴らしい音楽を作った、エンリオ・モリコーネのメロディを聴けば、いつでもあの名シーンを思い出せるから、見返す必要がなかったのだと思う。
なので改めて観なくても良かったが、でも、先日の訃報。
モリコーネのレクイエム代わりに見たら、やはり笑えて、そして泣けてしまった。
なんの迷いもなく、映画に女の子に夢中のサルヴァトーレのキラキラした眼に泣けてしまう。
反面、現実社会にもまれてすっかり素直でなくなった自分に泣けてしまう。
戦後間もない頃の貧しく野良犬のようなシチリア人たち、ゴミとなったフィルムや、汚い映画館の床の汚れまでもが、愛おしい、この映画の世界。
豊かな今と、貧しい当時と、どっちが幸せなんだろうか。
またしばらくは見ることはないだろうが、ふとしたきっかけで観る時には、冒頭のシチリアレモンのように、新鮮な気持ちで見れるはずだ。そのくらい、この映画にはマジックが込められているから。
それほどの名作を支える、素晴らしい音楽を提供した、天国のエンリオモリコーネに乾杯。
(2020.7.10)
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