dok-s の映画日記その39「誰がハマーショルドを殺したか」(2020)
評価:★★★★
「趣味趣味探偵映画」
道しるべ【新装版】
1960年代の国連総長、ハマーショルドを知ってる人は多分今ほとんどいないでしょう。本日観に行った映画館で初老の方が、うっすら記憶にある、と誰かに話かけているのを耳にしたが、そのくらい昔の人でして、本作の監督兼ジャーナリスト、マッツ・ブリュガーも言っているように、特に思い入れはない。今の国連総長だって、誰が国連総長?みたいな。
なので本作には、かなり危ない綱渡りにも思える調査の結果、その犯人は、一応出てくることは出てくる。ただし、その危なさは本作からはあまり感じられない。
なにしろ1960年代の暗殺事件ですから、もう歴史だからだろう。それに当時は第二次大戦から間もないし、きっと、数多くの人種差別事件の一つに過ぎないからだろう。少なくとも、世界史をひっくり返すほどではないと感じた。
本作の魅力は、ハマーショルド暗殺犯人を探すその過程の撮り方だと思う。暗殺に関係した秘密組織サイマー同様に、白ずくめの服で調査する皮肉、黒人秘書にタイプライターを打たせ彼女らの前で明かす調査報告。スクープを得たら葉巻を吸おうな!などの数々の演出は、1960年当時のコスプレであり、そのわざとらしさに魅力がある。
まるで、おっさん2人が釣船で大物を釣るかのごとく、で、半分本気、半分大人の趣味的な探偵ごっこ。
もちろん本当のことではあるにせよ、今日はヨハネスブルク、明日はコンゴ、北欧に調査に行こうな、的な「ノリ」はひしひしと感じて。そういや自分も昔、少年探偵団に憧れたなーと思い出したりして。
そんな大人少年たちの趣味趣味探偵映画に、乾杯。
(2020.7.24)
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