ドラマ「最高の離婚」感想

2013年のドラマなんだそうですが、忘れてしまっていたので再視聴致しました。「なぜだろう。別れたら好きになる。」がサブタイトルで、それらから分かる通り、離婚届を物語早々に出してしまった夫婦が同居生活を経て再び惹かれ合って行くという話でした。恋愛と言えどコメディ要素が強く、この点が一番評価出来ると思いました。結婚生活が殆ど同時期に破綻してしまう夫婦が2組出て来て、互いの夫、妻が入り乱れて…といった感じの話である上、尚且それぞれ、過去のトラウマを背負っている人達なんだと仄かすシーンが出て来るので、意外と深刻で辛辣なセリフが行き交う場面も多いです。トラウマを持ち出すのは安っぽい感じがしましたが、喧嘩する場面も迫力があったし、喧嘩を通じて、怒った相手が如何にこちらを好きだったかが分かるのであって、この点、主演の尾野真千子さんが上手い演技をするなと感心しました。
とは言っても一番の魅力は笑えるところだと思います。主人公の瑛太が、行きつけの歯医者で看護婦相手に愚痴るシーンが一話に一回くらいの割合で出て来るので製作陣の気合が入った場面なんだなってすぐ分かる訳なんですが、瑛太の細かくて神経質な性格が嫌味でない程度によく表れているし、セリフのテンポが良いのと、その切れ味鋭いセリフをちょっととぼけた看護婦さんによって「そうなんですね~口開けて下さ〜い」といった調子で全部受け流して行く辺りが絶妙だと思いました。カメラアングルも素人ながらに凝っているなと思いました。なんか、覗きをやっているかのようなアングルを用いてて、焦点は必ず瑛太に当てられてるんですよね。下手に、看護婦さんを映さないから、視聴者は瑛太の独善ぶった痛々しい様子に集中出来る。看護婦役の芹那が棒読みで甘えたような短いコメントを発した時だけたまにアングルが看護婦さんに。役者さんて皆が皆、上手く演じれば良いってもんでもないんだなと、彼女を見ていてそう思いました。彼女は、独身になった瑛太に少し惹かれて、その後デートに付き合ってあげるのですが、素人みたいなセリフ読みが何故だが刺さったので、瑛太&芹那シーンは全てオススメです。彼女って、女優でもないグラビアアイドルでもない謎の立ち位置で一時期どのチャンネルに変えても出て来る事があって、多分それが2013だったのだろうなとなんか染み染みしてしまいました。
かなり家族の存在を重視しているとも言えるドラマで、回りのサポートが無ければ早々に別れていたであろう事は確実なので、その辺の、人のあったかさにもさり気ないスポットが当てられている辺りは、自閉症に陥りがちの恋愛ドラマにおいて視野を広げる意味や、事実そういう人間関係が望ましいという意味においても、効果的であったと思いました。
また忘れた頃に見返したいドラマです。


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