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(最新更新2022年1月17日)土居豊の新作小説『メロフォンとフレンチ』 あらすじ、キャラクター、作品背景などを紹介!

(最新更新2022年1月17日)土居豊の新作小説『メロフォンとフレンチ』 あらすじ、キャラクター、作品背景などを紹介!


メロフォン表紙


土居豊の新作小説、刊行!『メロフォンとフレンチ』第1章まで試し読み!


https://note.com/doiyutaka/n/ncc9940cce1a4


土居豊の新作小説、刊行開始!

『メロフォンとフレンチ』(Kindle版)

https://www.amazon.co.jp/dp/B09QJWC25X/ref=cm_sw_r_tw_dp_4MESSV8RD00RQ8H4SXF5

昭和の吹奏楽部で広く用いられたメロフォンをモチーフに、楽器不足の中で工夫してステージを実現していく吹奏楽大好き高校生たち。17歳の友情と恋の青春を描く。
音楽小説『ウィ・ガット・サマータイム!』の姉妹編。

ノートで連載していた本作、クライマックス最終章、演奏会編の最後までと合わせて、電子書籍版の新刊として完成させ、上梓しました!
はたして、OBの横槍で学校行事をズル休みさせられそうになった吹奏楽部員たちは、どうなったか?
残り数日と迫った三校合同の演奏会は、無事に開催できたのか?
みすずと、たっちんたちが心血注いで練習してきた、マイルス・デイヴィス九重奏のアンサンブルは、うまく演奏できたのか?
新作小説、どうぞお楽しみください!


【あとがき より】

昭和の吹奏楽部で広く用いられたメロフォン、その魅力と欠陥を一つのモチーフとして、楽器不足の中で工夫してステージを実現していった吹奏楽大好き高校生たちの青春を描き出そうと挑戦してみました。
本作は、前作『ウィ・ガット・サマータイム!』と同じ吹奏楽部で、ホルンを担当する女子部員・谷山みすずが主人公です。
みすずは吹奏楽の初心者で、抽選に落ちてフレンチ・ホルン担当になるのですが、なかなか音が鳴らせません。厳しい先輩にびくびくしながら練習するうち、間違った吹き方で悪い癖をつけてしまいます。
1年生のはじめの頃、楽器不足のために一時的にあてがわれていたメロフォンを、2年生になってからあるきっかけで吹いてみたみすずは、フレンチ・ホルンよりもうまく音がなるように感じます。その後、近隣の高校との合同演奏会の時、指揮者をしてくれる他校OBの大学生が、ジャズでホルンを使ったものがあるのを教えてくれたこともあって、彼女はメロフォンをジャズ演奏に使ってみることになるのです。
本作のテーマの一つは、吹奏楽では目立たない楽器でアンサンブルをする喜びを描くことでした。そのためには、地味な中音域の楽器担当のキャラクターを主人公にする必要がありました。
昭和の吹奏楽部にたいていいくつかころがっていたメロフォン、この奇妙な楽器はどこから? なぜ学校に? そして日本のブラスバンドになぜ使われることになった?
戦後の音楽史の一つの謎といえます。
主人公のみすずにとってメロフォンは最初、フレンチ・ホルンの代替楽器だったのですが、ジャズで吹くようになるとこの性能的には不十分な楽器に惹かれていきます。
小説の最後、高校卒業後の進路を迷うみすずですが、意外な展開を示唆して物語は終わります。
小説の中では、ひょんなきっかけでメロフォンのジャズを演奏することになるのですが、当時、日本ではメロフォンのジャズを聴いた人はいないはずでした。
だから、彼女はメロフォンジャズの第一人者になれるかもしれないのです。
本作のもう一つのテーマとしては、演奏会を企画運営するリーダーたちの陰の苦労、縁の下の力持ちたちを描くことがあります。こちらの方は、前作と共通するテーマですが、今回は、他校の仲間との交流が、登場人物たちの精神的成長につながっていきます。


解説動画
小説『メロフォンとフレンチ』連載

吹奏楽部の青春群像を描く音楽小説です。現在よく売れている、大規模校が吹奏楽コンクールを目指すお話ではなく、地元密着で生徒だけの活動による演奏会づくり、地元の3つの高校が協力して合同演奏会を実現するお話です。

内容と作品背景について、作者の土居豊自ら語っています

https://youtu.be/OfCYRXiSqt8

※第一弾
https://youtu.be/IaspTgqiTpo

作家・土居豊チャンネル(登録お願いします)
https://www.youtube.com/user/akiraurazumi/featured?view_as=subscriber



音楽小説『メロフォンとフレンチ』あらすじとキャラクター、作品背景について


楽器不足の中で工夫してステージを実現していく吹奏楽大好き高校生たちの青春。前作『ウィ・ガット・サマータイム!』の姉妹編として主人公たちの高校2年の吹奏楽部活動を描く。



⒈ あらすじ


前作『ウィ・ガット・サマータイム!』と同じ吹奏楽部で、ホルンを担当する女子部員・谷山みすず。

彼女は楽器の初心者で、フレンチ・ホルン担当になるが、なかなか音がならせない。厳しい先輩にびくびくしながら練習するが、間違ったやり方で悪い癖をつけてしまう。
1年生の頃に、楽器不足のため一時的にあてがわれていたメロフォンを、2年生になってからあるきっかけで吹いてみた。すると、フレンチ・ホルンよりもうまく音がなるように感じる。彼女は、メロフォンを演奏会の幕間演奏でジャズ演奏に使ってみることを思いついた。
近隣の高校との合同演奏会で、指揮者をしてくれる他校OBの大学生が、ジャズのアンサンブル曲でホルンを使ったものがあるのを教えてくれた。彼女はメロフォンを吹いてジャズ演奏をすることに、熱中する。


昭和の吹奏楽部で広く用いられたメロフォン。その魅力と欠陥をモチーフに、楽器不足の中で工夫してステージを実現していった吹奏楽大好き高校生たちの青春。
前作『ウィ・ガット・サマータイム!』の姉妹編として、主人公たちの高校2年の吹奏楽部活動を描く。


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⒉  主要キャラ

(1)【関西府立晴日山高校の吹奏楽部 2年生】
谷山みすず
(愛称:みっちゃん)
ホルン担当の2年生。ボーイッシュなショートカットに色白な顔。スリムで体格は虚弱な感じ。性格は、温和そうな見かけに反して強情なところも。
ポップス、ジャズが好きでよく聴いている。

木下幸
(愛称:さっちん)
トロンボーンのパートのリーダーで、副部長もやっている2年生。長身ですらりとした体型、プロポーションもよく、顔立ちもきれいな、目立つ女子。
吹奏楽部の部長・櫻井と付き合っている。
細かいことにこだわらない性格で、前向きな考え方なので、部内のトラブルのあれこれを上手におさめる。
ジャズも好きで、ドラムの矢代佳世とアドリブの練習などを一緒にやっている。

矢代佳世
(愛称:かよちん)
パーカッションでドラム担当の2年生。
吹奏楽部の会計も引き受けている。
髪の長いお嬢様風の見た目で、色が非常に白く、整った顔立ちの外見そのままのお嬢様育ちだ。見かけによらず腕力があり、握力が強いのは、幼い頃からピアノを習ってきたせい。ジャズをやりたくて、ピアノと並行して、両親にねだってドラムを練習し始めた。

櫻井敦士
吹奏楽部の部長、チューバ担当の2年生。
副部長の木下幸と付き合っている。
中学生の時も吹奏楽部で部長をやったおかげで、もともと堅実な人柄に重厚な貫禄が加わった。高校の吹奏楽部でも1年生の頃から次期部長と目されていて、文句なしに決まった。

立花かおる
吹奏楽部の指揮者で、女子としては背が高くすらりと痩せた体格。小学生の頃からクラスのリーダー格で、前に出て指示するのが似合う。天然ボケで、愛すべき人柄。女性指揮者になるべく、音大進学を目指している。


(2)【関西府立片桐高校吹奏楽部 2年生たち】

増田康司 
片桐高校吹奏楽部の部長の2年生。見るからに頭が切れる。片桐市の中心部にある第1中学でもずっと優等生で、全国模試の上位常連として有名だった。中3の時には、善行生徒として市長の表彰まで受けている。ユーフォニウムを担当している。
一言居士で、融通の効かない性格だが、実直で、根っからの善人だ。

田口正二郎
片桐高校の指揮者、クラリネット担当。音楽の素養はずば抜けている。子どもの頃からクラシック音楽大好きで、将来は世界的な指揮者になるのが夢だという変わり種。

(3)【関西府立丘上高校吹奏楽部 2年生たち】

斉田京一
丘上高校吹奏楽部の部長、テナーサックス担当。体つきは華奢だが文武両道を器用にこなし、スポーツも万能。容姿端麗なせいで中学生の頃から上級生、下級生を問わず女子から人気があるのだが、性格はごく生真面目で、天然なところがあり、いつも頓珍漢なことをやって周囲の笑いを誘う。

藤崎裕 
丘上高校吹奏楽部の指揮者。チューバ担当。大柄な体格で誠実な人柄。中学の吹奏楽部時代、他になり手がなかったから引き受けた指揮だが、天性の指導力を発揮してよくまとめてきた。


(4)晴日山、片桐、丘上の9人で演奏会の幕間に演奏するノネット(9重奏)メンバー

メロフォン(トランペットの部分を代用)
谷山みすず(晴日山)
最初、ホルンを吹くつもりが、メロフォンでトランペットの部分を吹くことになる。

フレンチ・ホルン
龍本知恵子(丘上)
本来のホルンの部分を吹く。谷山みすずに「たっちん」と呼ばれるぐらい、仲良しの2年生。

クラリネット(アルト・サックスの部分を代用)
田口正二郎(片桐)
本来のサックスのパートを、クラリネットで吹く。指揮者だが元々はクラリネットでジャズのアドリブもよく練習していた。

テナー・サックス
斉田京一(丘上)
テレビでみた渡辺貞夫のジャズに憧れて吹奏楽を始めたぐらい、ジャズ好きなので、アドリブも熱心に練習する。

ユーフォニウム(バリトン・サックスの部分を代用)
増田康司(片桐)
ジャズはそれまで聞いたことはなかったが、いざやり始めると、ユーフォでアドリブを演奏するという難問に、真剣に取り組む。

ドラム
矢代佳世(晴日山)
元々ジャズが好きで、アドリブの練習もしていたので、アンサンブルにはすぐに参加し、練習を主導する。

トロンボーン
木下幸(晴日山)
ジャズの練習もドラムの矢代と一緒にやっていたので、リーダー格の谷山みすずを助けて練習をリードする。

チューバ
藤崎裕(丘上)
ジャズをやったことはないが、リズム感がいいので、最低音の部分をしっかりとリズムキープする。

ピアノ
立花かおる(晴日山)
谷山みすずがアンサンブルの練習に苦労しているのを知って、足りないパートを補う役割を引き受ける。


※参考
高校生たちがアレンジして練習する元のジャズ曲

マイルス・デイヴィス「クールの誕生」(1950年)より
「ムーン・ドリームス」
「デセプション」
「ロッカー」
オリジナル・メンバー
デイヴィス(tp)
ジョンソン(tb)
シュラー(h)
バーバー(tu)
コニッツ(a.s)
マリガン(b.s)
マッキボン(b)
マックス・ローチ(ds)


(5) OBたち

伊勢尚之
片桐高校の出身で、今は府の教育大学特設音楽科で打楽器を専攻している。毎年、3つの高校のOBが回り持ちで3校合同の合同ステージ指揮者を引き受けているのだが、今回は片桐のOBの伊勢が引き受けた。

斎藤
晴日山高校吹奏楽部のOBで、伊勢と同じ学年だった。吹奏楽部の指揮者をやっていたが、今は京都の有名私大に進学。古巣の高校吹奏楽部に頻繁に顔を出して、あれこれ口出しするので、後輩たちからすっかり敬遠されている。


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⒊ テーマ

吹奏楽の編成では目立たない楽器群でアンサンブルをすること。
日頃は地味な中音域の楽器担当のキャラクターを主人公にする。
ホルン(メロフォン)が代表する中音域担当たちの物語と、演奏会を企画運営するリーダーたちの陰の苦労、縁の下の力持ちという立場を中心に描く。


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⒋  小説の背景

【作品舞台】
関西府の北摂地域にある片桐市、そこに戦前から旧制中学校と旧制女学校があったが戦後、合併して2つの新制高校になった。関西府立片桐高校と府立晴日山高校だ。
どちらも重厚な近代建築風の古い校舎があり、のちに建て増しされた昭和的な真四角の校舎が混在している。どちらも敷地が公立高校としては広く、古い樹木が高くそびえている。だが似ているのはそこまでで、校風は正反対だった。学生気質も、片桐がいかにも優等生っぽい雰囲気なのに対して、晴日山は遊び人っぽい生徒、自由気ままな雰囲気を漂わせているのだった。
そういう2校に加えて、千里市にある府立丘上高校がこの校区のベスト3だった。
丘上高校は新興住宅地の真っ只中にあり、70年万博で拓かれた新しい土地の住民の期待を背負った高校、というイメージで、学区2位の進学実績を誇っていた。特徴としても、旧制時代ののどかな空気感を持った2校と比べて、いかにも堅実で真面目な雰囲気を醸し出している。


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【物語の時代背景】
1983年の関西府。
冷戦の時代。バブル前であり、景気は良くないが、国の雰囲気は安定していて、いかにも平和な空気があった。まだポケベルも携帯も、パソコンさえなかった時代。昭和の最後の数年、公立高校の生徒たちは、部活一色の生活をエンジョイしていた。


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※音楽小説『メロフォンとフレンチ』(土居豊 著)へ、つづく

土居豊の新作小説、刊行!『メロフォンとフレンチ』第1章まで試し読み!
https://note.com/doiyutaka/n/ncc9940cce1a4

土居豊の新作小説、刊行開始!

『メロフォンとフレンチ』(Kindle版)

https://www.amazon.co.jp/dp/B09QJWC25X/ref=cm_sw_r_tw_dp_4MESSV8RD00RQ8H4SXF5


⒌ 前作について


音楽小説『ウィ・ガット・サマータイム!』(土居豊 作)

ウィガット表紙用


解説動画をご覧ください!

https://youtu.be/ySKZY_Geh_0

販売サイト

※KadokawaのBOOK⭐︎WALKER
https://bookwalker.jp/de6c5f7f12-9f7d-4914-bd67-000c63cc50a8/?_ga=2.87758878.783377174.1586495988-1573749936.1586495988

※Kindle版
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※kobo版
https://books.rakuten.co.jp/rk/576dbfe4d03936f8bfb5bb3c0b7f7f7b/


※noteでは5章まで無料で読めます!
小説『ウィ・ガット・サマータイム!』土居豊 作
第1章 ユニゾン1〜謎の楽譜1
https://note.mu/doiyutaka/n/na42f2da287a0

第2章 ソロ1〜ジャズ喫茶と古本屋
https://note.mu/doiyutaka/n/n7db884b63b97#Yo2Xq

第3章 ユニゾン2〜謎の楽譜その2
https://note.mu/doiyutaka/n/n80179135076e

第4章 ソロ2〜チェと南蛮屋
https://note.mu/doiyutaka/n/n322cc89320b4

第5章 ユニゾン3〜吹奏楽コンクール
https://note.mu/doiyutaka/n/n8223681c5ff2


吹奏楽好きの方、ジャズ好きの方、80年代に学生時代を過ごした方、昭和の青春群像を懐かしみたい方、あるいは、これまでの吹奏楽もの小説に不満足な方、新しい吹奏楽ものを読みたい方、ぜひ!


※(あとがきより)
学生たちの音楽演奏や音楽鑑賞のあり方として、吹奏楽とモダン・ジャズは、同じ管楽器を使うとはいえ、ありようが大きく異なるジャンルです。吹奏楽は元が軍楽隊、あるいは管弦楽の亜種でもあったからか、特に学生の吹奏楽演奏は非常に規律正しいものになりがちです。大人数の学生バンドを緻密なアンサンブルに仕上げるには、管弦楽以上に規律が必要なのかもしれません。一方で、同じ管楽器を使った音楽でも、ジャズはリズムとインプロビゼーション、グルーブといったノリを重視する音楽です。この両者を融合しようとする音楽づくりと、完全にジャンル分けしようとする演奏、こういう両極端の音楽のありようを本作で描こうと試みました。これは、実は作者自身の実体験が元になっています。吹奏楽を学生時代やっていたのですが、音楽づくりの方向性で仲間と意見が合わず、ずいぶんと悩んだものです。クラシック音楽を志向していた自分は、ジャズ好きの仲間と一緒に曲を選んだり演奏していく中で、ひそかに孤立感を味わったこともあります。
本作の登場人物たちも、それぞれの音楽づくりに悩みつつ、みんなで演奏する喜びを実現しようと苦闘していきます。

付け加えると、昨今の新型コロナ危機で、吹奏楽の活動を見直す空気が広がっていることも、本作を急遽、電子版で上梓しようと決めたきっかけです。
音楽・文化活動全般が、感染防止の「自粛要請」(これは字義矛盾の用語だと思います)によって危機に立たされています。特に吹奏楽はその特性上、感染防止のためには演奏しないことしか選択肢がないように思います。でも一方で、学生たちにとっては今しか仲間たちと演奏する機会はない、という切実な思いもあります。
また、2020年の全国吹奏楽コンクールをどうするのか? 学生吹奏楽におけるコンクール至上主義を、この感染危機をきっかけに考え直すべきなのではないでしょうか。
そんなあれこれを思いつつ、80年代の、まだのどかだった吹奏楽青春模様を、ひとときの間でも共有してください。

2020年4月
土居豊

表紙ウィ・ガット・サマータイム!


土居豊:作家・文芸ソムリエ。近刊 『司馬遼太郎『翔ぶが如く』読解 西郷隆盛という虚像』(関西学院大学出版会) https://www.amazon.co.jp/dp/4862832679/