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ここまでわかった犬たちの内なる世界 S2#08〜謝罪と許し


前回のnoteでは、"犬の罪悪感"について皆さんと共に考えました。イヌは確かに罪悪感を示すようなしぐさをすることがあるが、 実際に「罪悪感」を感じているのかいないのか、科学的な検証を試みる動きはあるものの、 確たる証拠はなく、 疑問は残されたままだというお話をしました。


犬は謝るか?


犬の罪悪感については大きな疑問符が付くものの、 ”犬の謝罪”についてはいかがでしょうか。

イヌと暮らす皆さんなら、「あっ、うちのイヌ、謝ってるつもりなんだな」と感じる瞬間があるのではないでしょうか。

そこで、皆さんに質問です。

のっけから皆さんに質問をどんどん重ねるというちょっと意地悪な展開になりますが、あくまでも本題は、上のQマークがついた2問だけですので、仮にいろいろ聞かれてもあまり気にしないで聞き流しながら読み進めてください。

✔️解答は読み進めていけば、自然とわかるようになっています。

答え合わせの前に、まずはドッグランでイヌたちが遊ぶ姿を思い描いてください。あなたはどんな場面を頭に描くでしょうか?

筆者の場合は、例えば、イヌがお辞儀をするようなポーズがすっと浮かんできます。

プレイボゥ(play bow) と呼ばれる、このお辞儀のアイサツはどんな局面で現れるでしょうか? 

(さあ、一緒に遊びましょう)

という遊びに誘うサインだということは、 今このコラムを読んでいらっしゃる皆さんなら、おそらくご存知のことだと思います。   

これはドッグランではありません。世界遺産にもなっている、インドのアーグラー城を訪ねたときの写真です。驚くべきことに、この犬は筆者と初対面にもかかわらず、耳でカメラのシャッター音を拾う前に、「遊びましょう」のサインを出したのです。 あり得ないような余りにフレンドリーな犬のふるまいに、度肝を抜かれました(笑) これまで数々のプレイボゥを観察した中で、最も印象的だったと言えるでしょう


筆者がシャッターを切り始めると、カメラ目線で走り出しました。全速力で城内の庭を駆けまわります


プレイボゥ
が行なわれるのは、遊びを始めるときだけでしょうか?

イヌをよく観察されている皆さんなら、他にもあるとことをご存知でしょう。
プレイボゥは遊びの途中でも行なわれます。お辞儀のしぐさは、

(遊びを続けましょう!)

のサインとなり、片方が遊びを終わらせてしまいそうな雰囲気のとき、再び遊びの活力を吹き込みます。

プレイボゥの奥深い意味

プレイボゥには、さらに深い意味合いがあるようです。

最近『犬だけの世界:人類がいなくなった後の犬の生活』(原題 A Dog's World:Imagining the Lives of Dogs in a World without Humans) という魅力的なタイトルの著書を上梓した生物学者のマーク・べコフMarc Bekoffによると、プレイボゥが「謝罪」として相手のイヌに理解されることがあるということです。

たとえば、犬同士で”けんか遊び"をしている際、ちょっとしたはずみで相手を傷つけてしまうと、素早く謝るためにお辞儀のしぐさをするというのです。

以下のような意味を示すということです。

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