神はなぜ、濡れた鼻を犬に与えたのか
皆さんもご存知のように、イヌの鼻は濡れています。濡れているのには、もちろんわけがあります。
そのわけは、鼻を使って世界についての情報を集めるというイヌの生態と大きくかかわっています。
イヌの鼻が乾いても大丈夫か?
鼻が濡れている理由の前に、 大事なことをひとつ確認しておきますね。
イヌの鼻が乾いていると病気になると信じている人が多いかもしれませんが、
AKC(アメリカンケンネルクラブ) によると、
ということです。
イヌの鼻は、 通常は冷たく湿っています。しかし、一定の条件下では、鼻が乾いていても心配しなくていいというのです。
その一定の条件とは、 以下のようなもの。
・昼寝の後
・運動による脱水症状
・暑い日
・強い風
・寒さ
その他、加齢によっても鼻が渇くということです。
☞詳細については、以下のサイトをご覧ください。 病気の可能性がある際の症状等についてもふれています。
イヌの鼻は粘液で覆われている
ここからは、鼻が濡れている理由についてお話ししますね。
イヌの鼻には多数の分泌腺があり、大量の鼻水(粘液)が出るからです。中型犬で一日あたり500ccもの鼻水が出るといわれています。
どうしてこんなに鼻水が出るのでしょうか? その理由をひと言でいえば、「におい分子」を集めやすくするためです。
部屋干しした洗濯物がイヤなにおいを出すことがありますが、あれは空気中のにおい分子が生乾きの洗濯物に吸着されているせいです。
におい分子には「水に溶ける」という性質があります。イヌの鼻水は、におい分子を効果的にキャッチするためには欠かせないのです。
イヌは鼻をなめる
鼻の表面が乾くと、イヌは舌で鼻をペロッと舐めます。舐めることでにおいの吸着力をチャージしているのです。
先ほど、鼻が渇く条件をリストにした際、「 昼寝の後」を挙げましたが、それは寝ている間は鼻を舐めないからです。
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ちなみに今、Twitterでは 「#ペロオリンピック」というハッシュタグが立っています。
今朝、2本足の犬(私のことです)も参加しました。
イヌの世界のペロリンピックは、年齢・性別、障害や病気の有無にかかわらず全てのイヌが参加できるそうです。
夏場の暑い時期と東京オリンピックが重なったという意味でタイムリーな企画と言えそうですね。
熱を逃す
濡れている鼻には、他にも役割があります。体内にこもった熱を逃がす働きもしていると考えられています。イヌは汗をかく代わりに鼻水を出すことで熱を逃がすのです。
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ーーと、 こう説明するのが科学的には正しいとされているイヌの鼻が濡れている理由です。しかし、人々に伝承されてきた話の中には、 全く別の理由を見いだすことができます。その話を紹介しましょう。
雨で地上に水が溢れ、生き物が溺れそうになりました。神はノアに、大きな方舟を作り、あらゆる種類の生き物を乗せて生き延びよ、と教えました。ところが航海の途中、船室から怯えた動物の鳴き声が聞こえてきました。船底に穴が空いてしまったのです。大変だ ! このままでは沈んでしまう......。
イヌは、鼻を穴に押し込みました。凄まじい水の勢いに、呼吸が苦しくても懸命に踏みとどまりました。こうして船は沈まずに済んだのです。イヌの賢明さと勇気がなければ、 地球上のすべての生き物が滅びていたことを永遠に忘れないために、神は濡れた鼻をイヌに与えました。
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