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2.眼で見た景色が違う

ヒトは、外部情報を把握する時、眼と言う感覚器を通じて視覚で捉える割合が大きいとされています。確かに、私の場合、普段の生活における外部情報への脳の注意はほとんど眼を通じている気がします。

イヌがどの感覚器にどれくらいの割合で外部情報への注意を向けているのか、はっきりとはわかりませんが、今回はその「視覚」の話です。

ヒトは、眼で「色」や「明るさ」、「形」「位置」「動き」などを認識します。おそらくイヌが眼で認識している情報属性も同じでしょう。光は網膜にある錐体細胞や桿体細胞を通じて電気信号に変えられて脳に送られます。その信号を色や明るさ、形などの属性別に識別するのは「眼」ではなくて「脳」です。そしてその後それらは脳の中で記憶という形で保持されます。

他人の脳が光をどう処理しているのかは知る由もありませんので、もしかすると、自分が「赤」と認識している色を、他人は自分が認識している「青」と同じ色として認識している可能性もありますし、そもそもただのテキストとして認識しているだけの可能性だってあります。知る由もありません。

イヌはヒトと比べて、視力が弱く、赤やオレンジ、黄色を識別する能力が低く、横の動きに敏感で、夜目が利いて、しかも明滅の処理速度が高いと言われています(「犬の能力 NATIONAL GEOGRAPHIC 2020/11月号」)。つまり、一緒に散歩していても、ヒトとイヌが見ている景色はまったくの別物である可能性がきわめて高いわけです。それだけ感覚器の性能が異なるということは、知覚もそれによって生まれる感情も、そして記憶だってヒトとイヌではまったくの別物である可能性がきわめて高いと想像できるわけです。

同じ景色を見ているようでまったく別の景色を見ています。しかも、それぞれがそれぞれの喜怒哀楽の感情で。


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