マガジンのカバー画像

長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

44
長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、…
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

長夜の長兵衛 麋角解(さわしかつのおつる)

除夜   囲炉裏でこんがりと炙った葱が、汁の中へ放たれた。大家の金兵衛、御自慢の晦日蕎麦…

39

長夜の長兵衛 乃東生(なつかれくさしょうず)

冬至芽   遠国で食うたは、これか。安兵衛は大福を差し出した。  おお、かような翠であっ…

36

長夜の長兵衛 鱖魚群(さけのうおむらがる)

裏白   雪に隠れていた土の色が、ほつほつと見えはじめる。  大家の金兵衛に連れられ、一…

43

長夜の長兵衛 熊蟄穴(くまあなにこもる)

寒禽 (上) 寒禽 (下)    風が、土が、水が動くと、気、が変わる。  だからこうし…

40

長夜の長兵衛 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

  寒禽 (上)    吹き降りてくるもの、舞い上がるもの、渦をまくもの。  風は様々な…

52

長夜の長兵衛 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

  常世草  一滴の水も出ぬほど雑巾を絞ると、目に沿って畳を拭く。  支度がはかどって、…

38