なぜ広告案件なのに「#PR」とつけるようになったのかを考察するだけの回
どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。
嫌いなんですよ。明らかに広告案件として金銭などの対価を受け取る代わりにSNSで抱える自身のフォロワーを金銭化する投稿に向けて「#PR」とつける行為。
そのお茶を濁すような、曖昧な状態でよしとしようとする態度と姿勢に大人の汚らしさみたいなものを感じ取ってしまい、辟易とするのです。
過去にもそういった点を書いているのですが、インターネット上に存在する情報だけを眺めていても、おそらく2010年台のインフルエンサーと呼ばれる人たちが登場し出した頃なのはわかっているものの、いつ頃、誰が使い始めたのかも特定できず。
最近では、ステマ規制で消費者庁から「Google マップのクチコミを書いてくれたら〇〇」としていた東京の医療法人に投稿の削除などを求める措置命令を行うようになるなど、明確に曖昧な状態を避けるような事態になってきました。
もう、正直に誰がどういった意図と機会で「#PR」と付けて投稿するようにインフルエンサー側に依頼を出したのかはわからないもんですから、勝手な憶測をしてみようと思い立った次第です。
とあるマーケティング会社のAさん
2010年代初頭、日本のソーシャルメディアマーケティングは急速に発展したことの話。
当時はインフルエンサーマーケティングの黎明期であり、従来の広告とは異なり、ソーシャルメディア上で多くのファン、フォロワーを抱える人物、いわゆるインフルエンサーを利用した商品やサービスの紹介をしてもらう広告手法に多く企業が飛びついていました。
それまでの広告じみた広告ではなく、自然と相関性のあるインフルエンサーの投稿は、その人物やキャラクターが抱えるファンに商品やサービスの魅力を直接訴えかけることができる点が魅力的に見えたのでしょう。
ただ、消費者との信頼関係を重視する企業にとって、露骨な広告表現は避けたいところ。
そんな中、とあるマーケティング会社の若手社員、Aさんが「#PR」の使用を提案。
本来、「Public Relations」の略称であるPRは、企業や消費者などの利害関係者とのコミュニケーションを意味するもの。
広告は明らかに商品の魅力を訴求し、そこに反応してくれる人たちのみを対象とすることが明らかなのに対し、PRと記載するとどこか曖昧さが醸し出されることに気づくことに。
結果、インフルエンサーなどが企業からの依頼を受けた広告案件であることを示しつつも、あからさまな商業性を和らげる効果があると考えたのでしょう。
Aさんの提案は、隙間をつく画期的なアイディアだったことから、瞬く間に業界に広まっていき、企業は「#PR」を使うことで法的要件を満たしつつ、投稿の自然さを保てると考えたのではないでしょうか。
これは企業側だけに恩恵をもたらされたのではなく、依頼をうけるインフルエンサーたちも、「広告」と明記するよりも「PR」の方が自分のブランドイメージを損なわないと感じていたことでしょう。
当事は消費者庁も発足しだしたばかりで当初だっただけでなく、少なくとも何かしらの表示がされることを評価し、黙認したのでしょう。
こうして「#PR」は業界標準となっていったのだろうと思われます。
これが仮説1。
言葉を誤解したBさん
別の例も考えてみましょう。
グローバル展開を目指すとある日本の大手化粧品メーカーの海外マーケティング部門。若手マーケターBさんが、海外のソーシャルメディア戦略について調査し、上司へ報告する場面を想定します。
「欧米では、広告コンテンツに 'PR' というタグをつけているケースが多いんです」と説明。
上司はが首をかしげながらBさんにこう問います。
「PR? パブリックリレーションズのこと?」
Bさんは少し困惑しながら答えた。
「はい...でも、どうやらこの場合の 'PR' は 'Paid Review' の略のようです。」
なるほど、大きな誤解。
大きな誤解ながらも、なんだか「#ad」や「#sponsored」といった明らかに広告だとわかるものよりも雰囲気が柔和になり、 「Public Relations」と捉えることもできますから、なんと画期的なものか。
この誤解は、日本語と英語の微妙な言語の違いによって増幅されたといえます。日本語では「PR」を「ピーアール」と発音し、それ自体が「宣伝」の意味で使われることがありますから、あながち間違ってはいない表現のように思えます。
この画期的な発見が社内でも「いいね、それ」なんて具合にドンドンと受け入れられていき、この企業はインフルエンサーをはじめとした広告案件の依頼で投稿する際には「#PR」を使用してもらうように依頼。
他の日本企業もこの「国際標準」に追随し始めた。
しかし、実際には欧米での 'PR' の使用は限定的で、多くの国では 'ad' や 'sponsored' が主流だったので、大きな間違いであるのにもかかわらず、とある企業の中で起こった誤解と勢いが、独自の慣行を生み出してしまった、といった可能性も考えられます。
おわりに
他にも考え出したら色々と出てきそうなものですが、おそらく恣意的なずる賢い使い方を思いついて使い始めたってのが実情なんじゃないかと思っていたりします。
だって、依頼する側は気づかないはずがないですもん。
そーんな小狡い態度を貫くような大人ではいたくないものです。
ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)
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