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PIAAC調査が行われている最中だが、読解力は改善しているのか。

どうも、ゑんどうです。

PIAACピアック、ご存知の方ってどれほどいらっしゃいますか。

先進国で学習到達調査(PISAピサ)を行っていることは報道等で知っている方も多いでしょうが、その大人版がPIAACです。対象となるのは16歳から65歳の成人で、仕事に必要な読解力や数的思考能力、ITを活用した問題解決能力を測定したもので先進各国がランキングされます。

日本でも2016年に国際成人力調査として概要がまとめられていますが、当時の結果は以下の通り。

出典) OECD国際成人力調査(調査結果の概要)より

「全体結果の概要」ページに記載されている文言をそのまま引用すると、以下の通りです。

○我が国は、読解力、数的思考力の2分野において平均得点で参加国中第1位という特筆すべき結果。
○ITを活用した問題解決能力については、コンピュータ調査を受けなかった者を母数に含めたレベル2・3の者の割合で見るとOECD平均並みに位置する。
○一方、コンピュータ調査を受けた者の平均得点では参加国中第1位。

出典) OECD国際成人力調査(調査結果の概要「全体結果の概要(4p)」)

これを読んで「おぉ、日本人は優秀じゃないか!」と喜ぶことができますが、さらに詳細を見ていくとそういうわけにもいきません。

これらの調査内容は、いわゆる”普通に”生活をするうえで必要になってくる能力であることは間違いなく、読解力が低ければ他人が提示する文章を読むこともできないし、数的思考力が低ければ計算することもできない。ITを活用することができなければ給与水準は低くなります。

“普通”を中流家庭とするのなら、これら力が平均よりも下回ってしまうのであれば中流内でも下位に位置することになるかもしれませんし、駐留すら維持できなくなってしまうかもしれない。

その国の現状を把握する意味でも非常に有意義な調査であるといえるのですが、現在、このnoteを書いている時点でも最新の調査(2022年9月から2023年3月まで)が進んでおり、2024年には調査結果が公表される(予定だ)そうなので楽しみにしているところです。

ところが、このPIAACはあまり知られていないのが実情で、ほとんど登場しません。そこで、このPIAACの調査内容も紹介がてら読解力を高めるための一助になりたいと思います。

■ 日本人の約1/3は日本語が読めない

読解力について、2016年時点で成人だった日本人が取得した平均得点は296点で、OECD平均が273点だったことを踏まえると、非常に大きな差を生み出していました。以下をみても、OECD平均を大きく上回る平均力を発揮していることがわかります。

また、レベル2以下の割合が最も少ないのが日本である点が「調査結果の要約」にも記載されており、先進各国の中でも読解力が高い国であることが示されていますから、自信を持っていいのかもしれません。

出典) OECD国際成人力調査読解力の習熟度レベル別分布)より

ところが、よくよく考えてみると、いくら先進各国の中で優位な結果が出ていたとしても、自国内だけで評価するとなると話は変わってきます。

英語のようにグローバルな言語展開を見せることができない日本語話者だけで結果を見てみると、レベル2以下の人たちが27.7%いることになります。約3割の人が日本語をうまく読めない。こういうわけです。

レベル感については、PIAACの調査結果(本)を買わないとレベル詳細の記載がわからないのですが、Amazonで3,800円で売ってるので興味がある方は購入してみてください。

例題があったので、それを出してみます。

以下は習熟度レベル2の問題で、画面左の指示を出している青い資格で囲われている部分をみると、「市民マラソン関係者と話したいと思っています。」「関係者の電話番号を調べるためのリンクをクリックしてください。」とあります。

出典)資料4.OECD国際成人力調査(PIAAC)のポイントより

OECD国際成人力調査(PIAAC)のポイント

Web形式のテキストに馴染みがある人にとっては何の問題もないものでしょうが、見慣れていない人にとっては困難なのかもしれません。と画像下で説明されています。

現実、このレベルの読解力で止まっている人、もしくはこれが解けない人がいるって事実は受け止めておく必要があるでしょう。

■ 数的思考力やIT活用の課題解決能力も2016年は1位だけど……

数的思考力やITを活用した課題解決にしてもOECD平均よりも高い水準にあると、結果だけを見ればそうなのですが、日本だけに焦点を当ててみると違ったことが見えてきます。

数的思考力の結果は以下の通りですが、偏差値でいうと50がレベル3だとしたみると偏差値が50以下の人たちは30%以上いることになり、読解力よりもさらに多いことがわかります。

出典) OECD国際成人力調査読(図4. 数的思考力の習熟度レベル別分布)

では、レベル3の問題とはどんなものが出てくるのか例題を見てみます。

出典)資料4.OECD国際成人力調査(PIAAC)のポイント「数的思考力の問題例」

図の展開問題で、これを答えることが苦手だと感じてしまう人も一定数はいるでしょう。

ただ、この問題は小学校でも習得しているはずの問題で、これらの問題が解けないのだとしたら、数的思考力は小学生時点で止まってしまっている可能性があります。

また、IT分野ではどうでしょう。
調査は専用のパソコンで受けることが前提となっているのですが、結果の概要にはこう記載があります。

○ITを活用した問題解決能力については、パソコンを使用したコンピュータ調査でのみ測定され、紙での調査を受けた者については測定されない。

○このため、PIAACでは、コンピュータ調査を受けなかった者も母数に含めたレベル2・3の者の割合で、各国のITを活用した問題解決能力の状況を分析している。

○我が国は、コンピュータ調査ではなく紙での調査を受けた者の割合が36.8%とOECD平均の24.4%を大きく上回っていることから、コンピュータ調査を受けなかった者も母数に含めたレベル2・3の者の割合で見ると、OECD平均並みに位置する。(図6、表6参照)

○一方、コンピュータ調査を受けた者の平均点で分析すると、我が国の平均点は294点であり、OECD平均283点を大きく上回り、参加国中第1位。(図7参照) ○また、レベル3の者の割合が参加国中最も多く、レベル1未満の者の割合が参加国中最も 少ない。(図8、表6参照)

出典) OECD国際成人力調査(ITを活用した問題解決能力に関する結果概要)
出典) OECD国際成人力調査(ITを活用した問題解決能力に関する結果概要)

パソコンでの調査を拒否する人や、そもそもパソコンを使った経験がない人、パソコンでの試験が受けられない人などが36%以上おり、レベル1以下も含めると64.1%もの人がパソコンを使った調査に苦戦していることがわかります。

出典) OECD国際成人力調査概要(ITを活用した問題解決能力の習熟度レベル別分布)

では、どれほどの難題が出題されているのかを例題で確認しましょう。
出されている指示は以下の通りです。

  1. 03/16に受診している申し込みに関するメールをすべて確認する

  2. 会議予約システムを用いて申し込みを登録する

  3. すべての処理を終えたら「次へ」をクリックする

おそらく、IT機器に慣れている人たちであれば難なくこなすことができそうなものですが、このレベルの作業をこなせる人は日本の中で8.3%しかいません。

出典) OECD国際成人力調査のポイント(ITを活用した問題解決能力の問題例)

ぼくは上記の結果を見て、「日本人はもっとがんばらなければならない!」とか日本人を否定しようという意図はまったくありません。ただ結果を受け取って、その事実を記載してきただけでなのですが、想定以上に日本は苦しい状況にあるのかもしれませんね。

おわりに

残念ながら、ぼくは調査対象ではなかったらしく、青い封筒は届きませんでした。ぜひ、受験したいところなのですが、次回は10年ぐらい先になるでしょうか。

どうやら30歳をピークらしいので、次回受けるとしたら随分と落ちこぼれているんだろうな……

でも受けてみたいなぁ...…

そんなところです。

各種問題の例題は以下からもみれたりしますので、興味がある方は覗いてみてください。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo


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