検査せずに様子見、曖昧表現の診断…それは本当に優しさか?

連載特集名
ドクターbruの全力人生
タイトル
検査せずに様子見、曖昧表現の診断…それは本当に優しさか?

皆様、こんにちはわっ!!不動産を54棟857部屋所有、借金120億円を日々返済している“ひとりファンド”、ドクターbruでございます。

今回は、日々研鑽を積みながら、実践あるのみっ!で診療を続けているこんな僕から、医師としての皆様へのメッセージをお届けします!!

┃臨床現場で考える、医師の優しさについて

さて、この記事を書く数分前に、発熱が4日間続く4歳女児が救急車で来院されました。1週間前も4日間発熱が続いていたみたいで、2回とも開業医で抗菌薬を処方されていました。おかしなことに、今回2回目の発熱の際に、処方された薬は、オゼックス(TFLX)という最強の薬だったのです。

私が5年間以上処方していない最強の抗菌薬を処方するとは、なかなかのクソな開業医です。なんの検査もしないで…という気持ちをグッと押さえながら、診療にあたりました、よく開業医が務まりますな。

前回もお話したように、私は、プライマリケアの経験と技術を高めたいとの考えから、今も複数の医療機関で非常勤医師として働いております。

そしてその中で日々臨床業務を行っていると、プライマリケア医としての患者さん様への優しさは果たして何だろうか、と考えることがあります。
 

┃「検査せず様子見」は優しさか?

プライマリケア医の中には、高額であること、痛みを与えること、面倒くさいこと、技術に不安があることを理由に、必要な検査を患者さん様に適切なタイミングで行わない、または行えない医師がおります。(自分もまだまだですが…・・・。)。

検査の必要性を天秤にかけて、積極的な姿勢を示さずに「抗菌薬を投与するだけの様子見」をする医師もおります。(特に小児の患者さんに対して。ですが、はじめに先ほど提示したケース事例がそれに当てはまります。)。

検査をしないことにより、不要な抗菌薬が処方されて、時にアレルギーを生じたり、下痢をしたり、耐性菌の発生を助長したりなど、不都合な真実は枚挙にいとまがありません。

検査をしないこと、それは果たして優しさなのでしょうか?

成人のケースをあげてみましょう。先日、発熱が1日目で来院した、糖尿病のある90歳のおじいちゃんは、急性胆管炎でした。高齢で、糖尿病があり、心窩部痛を訴えられなかったのかもしれません。採血したら異常かどうか分かります。CT検査をすれば、総胆管結石からの急性胆管炎というのもすぐに分かります(総合病院で勤務していればすぐ出来ますが、開業医なら近くの病院に行ってもらいましょう。)

他にも、普通なら嘔吐下痢症と診断されてしまう50代男性の正常血糖ケトアシドーシスもいました。

ただの急性胃腸炎で制吐剤・整腸剤処方で帰宅となってしまうケースですが、血液ガス分析を見たら、pH: 7.1という非常にまずいアシドーシスで、血糖値は120 mg/dL程度でしたが、これは受診数日前に開始されたSGLT2阻害薬が原因でした。

知らないと罪なことは沢山ありますし、検査をし過ぎるのもよくないですが、しないと分からないことも沢山あります。生後1か月未満の新生児発熱なんか、世界的に見て、sepsis work upで統一されております。

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