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9/27開催【大阪発】スタートアップピッチ~世の中を変える企業が大阪に集結~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年9月27日(火)に行ったイベント、

【大阪発】スタートアップピッチ~世の中を変える企業が大阪に集結~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントは、公益財団法人 大阪産業局が運営するスタートアップのための施設「大阪イノベーションハブ」をお借りして新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップを4社にピッチをしていただきました。

  • 地域発のスタートアップに興味のある方

  • スタートアップへの投資や事業連携をご検討されている方

  • 新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方

  • 起業を検討されている方

  • 大阪でのスタートアップ支援等を知りたい方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

■大阪イノベーションハブ(OIH)

最初に、公益財団法人大阪産業局の 田中 彩葉様より、大阪イノベーションハブの取り組みについてご紹介いただきました。

<大阪イノベーションハブ プランナー 田中 彩葉様>

大阪イノベーションハブ 田中 彩葉様

大阪イノベーションハブは2013年4月、大阪市によって「グランフロント大阪」という大阪の商業施設の中に開設されました。ハブという名のとおり、起業家と大学や既存企業、自治体等をつなぐ役割を担い、資金調達、事業連携、プロダクトローンチ、起業の4つを運営上のKPIに設定しています。

大阪イノベーションハブの外観

2022年現在、900名以上のプレイヤーと350以上のパートナーから構成される無料の「OIHメンバーズ」が大阪イノベーションハブで活動しています。

大阪イノベーションハブ主催の国内ピッチイベント

ステージやジャンルに応じた複数のピッチイベントや、SIO(連続講座アクセラ)、OSAPRISING!といったアクセラレーションプログラムも運営しています。さらには、「京阪神スタートアップ アカデミア・コアリション」という大学、産業界、金融界、官公庁から組成されるスタートアップエコシステムの事務局でもあります。

このように、関西圏のスタートアップの皆様にとって活用しない手はない!というくらい充実した支援策を提供してくれる大阪イノベーションハブ。
ぜひ、みなさんもアクセスしてみてください。

それでは、続いてスタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介していきます!

■1社目:スパイスキューブ株式会社

1社目は、スパイスキューブ 須貝 翼様にご登壇いただきました!

<スパイスキューブ株式会社 代表取締役 須貝 翼様>

スパイスキューブ株式会社 須貝 翼 様

・スパイスキューブ社の事業内容

スパイスキューブ社は、「世界中どこでも農業を実現」というモットーを掲げ、植物工場の設計開発および6次産業化支援をしています。

LED照明と養液循環する栽培技術があれば「無農薬・安心・安全」の高品質野菜を誰でも簡単に生産できます。
さらに、水と電気だけで野菜をつくることができる小型植物工場や農業装置を開発し、地産地消を推奨しています。

・起業までの経緯

須貝様は、サラリーマンとして働きながら農業をはじめ、2018年にスパイスキューブ社を起業し、さらに2021年には植物工場+流通を担う「デリファーム株式会社」も設立しています。現在デリファーム社は、スパイスキューブ社のグループ会社となっています。

スパイスキューブ社は、自社でも水と電気で野菜を栽培する植物工場を運営しており、「オーガニック野菜を超える高品質野菜」を販売しています。栽培の全工程を室内で行うため、品質が非常に高く、葉物野菜でも3週間から1か月ほど日持ちするほどです。

・日本の現状とサービスの特徴

現在の日本では、農業の担い手が減少しています。2010年に260万人であった農業人口は、2020年には136万人にまで減少し、高齢者の割合も7割近くまで増加しています。そのため、今後は国産野菜が、価格・量の面で調達困難になることが予想されます。

そうした状況をアグリテックの面から少しでも解決につなげるために、須貝様はサービスを展開しています。日本における野菜の流通は複雑で、農業従事者単独で生産から販売まで一気通貫で行うのは簡単ではありませんが、スパイスキューブ社の強みは、既存の流通経路を使わずに販売を行えるところにあります。

都市部の居ぬき物件を活用して、都市近郊で野菜を栽培し、飲食店のプロの料理人に直接販売しています。野菜の種類はプロの料理人にリサーチを行い、約10種類程度を揃えています。

一般的な流通の過程を挟まないことで、

・市場の価格変動に左右されにくい
・中間マージンを取られない

といったメリットがあり、わずか20坪の室内栽培で約100万円/月の売上があります。
なお運営費は70万円程度で、固定費用のうち最もかかるのは電気代だそうです。

・ビジネスモデル

ビジネスモデルについて

スパイスキューブ社は、上記のようなビジネスモデルで植物工場の拡大と販売を行っています。

先述した植物工場の直接運営だけではなく、販路を持たない企業に対して農業人材を派遣しています。そうした企業で生産された野菜のうち、流通経路が未確定の分については、デリファーム社が買い取るというサポートも行っています。

・ポジショニングとビジョン

ポジショニングについて

上の図からわかるように、現在の植物工場業界のメーカーのトレンドは、巨額の投資を行って大規模な植物工場を作り、大々的に小売の業者への販売を行うというものになっています。

しかしスパイスキューブ社はそうした流れに逆らい、小規模かつ生産・加工・販売までを行う6次産業化を強みに事業を展開しています。約3,000万円で事業を展開できるその安さが強みで、日本における競合企業はほとんどないそうです。

2025年の大阪万博において、エントランスに植物工場のトンネルを作ることが目標だそうです。

■2社目:株式会社AZOO(アズー)

2社目は、AZOO 横田 裕子様にご登壇いただきました!

<株式会社AZOO 代表取締役 横田 裕子様>

株式会社AZOO 横田 裕子様
https://www.wasimil.com/

・AZOO社の事業内容

AZOO社は、3年の月日をかけ開発した一体型ホテルDXシステム「WASIMIL」を提供しています。WASIMILは予約エンジン、宿泊管理(PMS)、売上管理、CRM(顧客関係管理)・マーケティングを一元して提供でき、ホテル業務の効率化だけではなく、顧客サービスの向上までをサポートするクラウド型ホテルシステムです。

本システムの一番の特徴は、ホテル運営で集まるさまざまなデータを一元管理できることにあります。

宿泊客のプロフィールから部屋情報、料金などのデータを顧客セグメントごとに分析し、マーケティングや財務状況の検討などの場面で活かすことができます。新規顧客やリピーターの誘致、そして経営状態のさらなる向上に役立てることもできます。

・日本のホテルの現状

全国にはホテルが6万施設以上ありますが、そのうち約1万施設が過去10年以内に開業した中小規模のホテルです。さらにそのうち約97%が従業員数9人以下&客室数50室以下の小規模ホテルです。

小規模ホテルでは、

・人手不足
・業務効率が悪い
・ホテル管理用のシステムがバラバラで古く、使いにくい

ことを課題に感じているそうです。

さらに、予約システムや顧客管理などの業務に使うツールもすべて異なっているため、業務の遂行が非効率的になっています。

そこでAZOO社は一体型ホテルDXシステム「WASIMIL」を開発しました。以下ではこのサービスについて詳しくみていきます。

・WASIMILについて

WASIMILの特徴

WASIMILの特長として、大きく分けて、

・先に紹介した小規模ホテルを含む中小ホテル運営の自動化・効率化が図れる
・顧客データを活用して売上UPにつなげられる 

の2つが挙げられます。特に顧客データに関しては、CRM(顧客管理)やマーケティングにつなげることができます。

ヨーロッパなどでは10年ほど前からこうしたホテルDX化サービスが存在していましたが、初期投資額が高くなってしまうため、日本でこうした包括的なサービスが出てくることは今まであまりなかったそうです。開発には3年を要し、出資を受けながら事業展開にまで到達したそうです。

そして、WASIMILを使うことで、顧客もWASIMILから直接予約することができます。
 
WASIMILの優位性は、

・デジタル技術による自動化・明確化でヒューマンエラーを解消
・顧客単価、業績の向上
・導入価格が2万円(予定価格)で、中小ホテルでも導入しやすい

などが挙げられます。
 
・今後の展望

ホテルの規模別の市場規模について

AZOO社が注力する市場は中小ホテルですが、その市場規模は約110億円であると試算されています。サービスは2022年10月にローンチされたばかりで、今後は「データで日本を観光立国にする」という事業ミッションのもとに、さらなる事業の展開を目指しています。

事業の展開に際しては、中小ホテルとの取引がある地方の金融機関に紹介を依頼する、ホテルの経営者間の口コミに期待するといった営業方法を目指しているそうです。特にオンラインで予約を受け付けているホテルが、WASIMILの導入を考える例が多いため、そうしたホテルへのリーチを図っています。

■3社目:プラクス株式会社

3社目は、プラクス 坂上 博俊様にご登壇いただきました!

<プラクス株式会社 代表取締役 坂上 博俊様>

プラクス株式会社 坂上 博俊様


https://pracs.co.jp/

・プラクス社の事業内容

プラクス社は、家系図を医療に用いることで、遺伝のしくみを正しく理解し家族の健康状態を知るきっかけを提供し、健康に役立ててもらうことを目指しています。

たとえば、自身やその家族がなりやすい病気のリスクに気づくことや生活習慣を見直すこと、さらには自身にあった検診を受けることが可能になります。

また、病院にかかった際、家族の健康状態を医師に伝えることが診断の手がかりとなり、病気の早期発見・早期治療につながりやすくなります。

医療用家系図「GenieDraw(ジニードロー)」によって家族の情報を家系図にまとめることで、健康状態や遺伝のつながりがわかりやすくなります。遺伝のしくみを実感しながら、家族と自分の健康について一緒に考えることの出来る環境の実現を目指しています。

・遺伝と病気の関係

先述の通り、プラクス社は医療用家系図「GenieDraw(ジニードロー)」を開発、展開しています。

サービスの概要に触れる前に、サービス開発の背景知識を説明します。

病気の一部には遺伝するものがあり、身体的特徴や体質などの情報だけではなく、病気のなりやすさも遺伝します。

発病の検討ができる病気の例としては、

・脳の病気(脳梗塞やくも膜下出血、アルツハイマー型認知症など)
・心臓の病気(心筋梗塞や狭心症など)
・がん(乳がんや大腸がんなど、詳細は後述)
・生活習慣病(糖尿病や高血圧など)

などがあります。病気になりやすいと判断された場合、高頻度で検査を行うことで、病気の早期発見につなげることができます。

がんについては、チェックリストから絞り込むこともできます。特に、

1. 血縁者に、比較的若い年齢でがんを発症した人がいる場合
2. 血縁者に同じ種類のがんを経験した人が複数いる場合

のいずれかに該当する人は、遺伝性のがんになる可能性が高いと考えられます。実際の予防医療の例としては、米女優のアンジェリーナ・ジョリー氏が、遺伝的に乳がんになりやすい可能性を考慮して、健康なうちに乳房を切除した(予防的乳房切除)ことが有名です。

・ジニードローについて

遺伝と疾患の関係性

もちろん、病気は遺伝的な要因だけではなく、環境要因にも大きく左右されています。しかしながら、遺伝的な要因であると特定するための遺伝カウンセリングで管理されるデータは、手書きの図がほとんどで二次利用が困難でした。

GenieDraw(ジニードロー)

そこでプラクス社が開発したのが医療用家系図システム「ジニードロー」です。手書きの図と比較して二次利用が容易であること、さらにはアプリケーションの操作性が容易で、疾患リスト管理などのカスタマイズも可能でです。

加えて、プラクス社は近畿大学発ベンチャーであるため、共同研究環境があるのも強みです。

また、遺伝的ながんになる可能性が高いと考えられる場合、検査だけでも高い金額のかかる乳がん診断については、ジニードローを用いることで保険適用が可能になります。

・今後のロードマップ

プラクス社は、今後の展望として、

・一般向け医療用家系図システムの開発
・データの収集
・データの活用

といったことを検討しており、特にデータの収集に関してはユーザーから直接情報を集める必要があるため、toC向けの顧客体験の提供にも取り組んでいきます。

病気を知る権利と知らない権利、また自分の家族の病気に関するプライバシーについても、慎重に判断しながら、さらなる発展を目指しているそうです。

■4社目:株式会社パリティ・イノベーションズ

4社目は、パリティ・イノベーションズ 前川 聡様にご登壇いただきました!

<株式会社パリティ・イノベーションズ 代表取締役 前川 聡様>

株式会社パリティ・イノベーションズ 前川 聡様


https://www.piq.co.jp/

・パリティ・イノベーションズ社の事業内容

パリティ・イノベーションズ社は、背面に置いたものをなんでも空中映像化できる光学素子「パリティミラー」およびその応用システムの開発、製造、販売を実施しています。

パリティミラーは、鏡映像を空中に実像として結像できる光学素子であり、歪まない映像の表示を可能にします。さらにセンサーと組み合わせれば簡単に非接触の空中映像タッチパネルが実現でき、実空間に出現する仮想物体の表示によって、現実世界そのものが拡張できます。

最終的な目標は、SF・ファンタジーの世界の実現です。

・パリティミラーについて

パリティ・イノベーションズ社が開発したパリティミラーは、一言で表すと「空中映像が浮かび上がる鏡」です。この技術は情報通信研究機構が特許を有しており、3D・ARメガネなどを用いることなく自然な空中映像を投影することができます。また商標登録もされています。

さらにミラー自体は樹脂で成形されるため、低コストで量産が可能という特性を持っています。どのような映像でも、ミラーの背景に置くことで空中映像化できます。

非接触UIとの違い

上記スライドのように、従来の非接触UIとは違い、パリティミラーとセンサーを同時に使用すれば、さらに柔軟な操作性が実現できます。使い方によっては透明な障壁を超えることができるため、たとえば、

・ショーウィンドウの内側から投影し、外側の人が操作
・水槽の中に映像を投影
・ドライブスルーの注文画面を、窓を開けずに車内から操作

などの拡張性を秘めています。背景映像があれば何でも空中映像化できるため、低いコストで導入することができます。また、衛生性と防汚性に長けていることも特徴です。

拡張現実から「現実拡張」へ

この拡張性は、ARやMRのような、デバイスを通して現実が拡張しているように見せるもの(拡張現実)ではなく、現実そのものを拡張する現実拡張に該当します。

現在はサンプル販売(38c㎡で約6万円)を行っています。

・今後の開発

パリティ・イノベーションズ社は、現在ではパリティミラーの製造に加え、映像の立体化や、映像に触覚を付与するための研究・開発を行っているそうです。

今後のロードマップとしては、

1. パリティミラーの販売
2. カスタム表示モジュール(高彩度・視野角最適化、立体表示など)
3. インタラクションモジュール(空中スイッチや空中タッチパネルなど)
4. 空中映像システムソリューションの提供
5. 空中映像プラットフォームおよびコンテンツ配信

を想定しています。特に2のカスタム表示モジュールでは、理論上・性質上どうしても解像度は落ちてしまいますが、ハーフミラーを用いた擬似3D表示では成し得ない、手前に映像が表示できるという強みを生かして、像を改善していく取り組みをしています。

パリティミラーは、基本的には「鏡」であるため、大きさの調整も容易だそうです。

まとめ

今回は、大阪を中心に事業を展開する4社のお話をお聞きしました。

先進的かつ今まで市場に存在しなかった事業ばかりで、toCに広がりを見せる可能性もあり、今後のグロースに期待が持てます。

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます。

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら


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