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JR東日本の新幹線運休『トラブルは蟻の一穴から』滑車式架線自動張力調整装置の重錘を吊り下げる鉄製ロッドの破断(パンタグラフ破損・停電)

一昨日の午前中に(埼京線)北与野駅近くで発生した新幹線(東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線)の架線事故で足止めされた皆さんと復旧工事中に感電(交流 25,000 ボルト)し重軽傷を負われた作業員の方々に心よりお見舞いを申し上げます。

Automatic Weight Tension and Temperature Compensation

架線が垂れ下がった原因は滑車式自動張力調整装置(Wheel Tension Balancer - WTB)の重錘(じゅうすい、重さ約 1,300 kg の錘(おもり))を吊り下げたロッドの破断(直径22ミリ(断面積 約 3.8 ㎠)の鉄製の棒が折れたこと)であると、昨日、JR東日本から発表がありました。錘が外れて張力を失い垂れ下がった架線に(北陸新幹線)かがやき504号が接触したそうです。

さいたま市中央区で垂れ下がった新幹線の架線

数十枚重ねて重錘ロッドに串刺しされていた錘が線路上に散乱する危険性はなかったのでしょうか...

ロッドが折れ、地上に落下した重錘

2週間余り前には田中真紀子元衆議院議員が消し忘れた(らしい)仏壇の線香で目白御殿が全焼しましたし

千丈之堤 以螻蟻之穴潰
百尺之室 以突隙之煙焚

千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以って潰(つい)ゆ
百尺の室(むろ)も突隙(とつげき)の煙(えん)から焚(た)く

千丈の堤もケラとアリの穴からつぶれる
百尺もある部屋も煙突の隙間の煙から灰になる

韓非子(二十五巻・五十五篇)

諺にも「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」とありますが、建物も、列車も、航空機も、発電所も、蟻の一穴から大きな事故が起きることをいま一度思い返しながら、身の回りを点検したいと思います。

何れにしても、一昨日に破断した部品(重錘ロッド)が1985年(3月14日)に新幹線の大宮-上野間が開業して以来ずっと交換されていなかったことに驚きました。

東海道新幹線ほどのドル箱(円箱)路線を持たないJR東日本やJR西日本やJR九州は、経費節減の折から、新幹線の附帯施設であっても使えるものは使い続ける方針であるようですが、重要なインフラストラクチャーである幹線鉄道の運休(今回は新幹線283本が運休し12万人余りに影響)が社会全体にもたらすコストを考慮すれば、事故を未然に防ぐために、少しは早めに修理・交換していただく必要がありそうです。


滑車から重りをつるして架線を引っ張る自動張力調整装置

張力調整装置の破損が原因か 新幹線停電-JR東日本

2024年01月24日

東北、上越、北陸各新幹線が停電で運休した問題で、JR東日本は24日、架線の張力を調整する装置の一部が破損し、架線が垂れ下がったことが停電の原因となった可能性があると明らかにした。同社は今月末までに、管内約500カ所に設置された装置を緊急点検する方針。

JR東日本によると、破損したのは1トン超の重りで架線を引っ張る「自動張力調整装置」。停電が発生した上野-大宮間の上り線では長さ約1.3キロの架線両側に装置が取り付けられていたが、うち一方の装置の鉄製の棒状部品が壊れていた。

破損により架線は張力を失い、約150メートルにわたって垂れ下がった。この場所に23日午前10時ごろ、北陸新幹線「かがやき504号」が通過したことで、停電が発生したとみられる。


新幹線停電、架線引っ張る重りの部品が破断…垂れ下がり車両に接触か

2024/01/24

東北・上越・北陸の各新幹線で23日に起きた停電について、JR東日本は24日、架線を引っ張るための鉄製の重りの部品が破断していたと発表した。破断の影響で垂れ下がった架線と新幹線が接触し、異常を検知して送電がストップした可能性がある。交換の目安は30年だが、現場では設置から38年が経過していた。JR東は管内の新幹線の全路線で部品の緊急点検を行う。

JR東日本によると、重り(約1・3トン)は線路沿いの電柱に設置され、ワイヤで架線とつながって張りを保っている。停電後に架線が垂れ下がっているのが見つかったさいたま市中央区の現場では、重りとワイヤをつなぐ部品が破断し、重りが落下していた。このため、架線が緩み、進入してきた北陸新幹線「かがやき504号」の車体のどこかと接触した可能性がある。

現場の設備は昨年6月と10月に点検していたが、異常は見つからなかったという。重りは、30年を目安に交換の計画をたてるが、使用環境や劣化状況なども考慮して交換時期を検討する。今回の重りは1985年に設置されていた。同社は専門家に分析を依頼し、破断の原因を調べる。

緊急点検の対象は500か所で今月中に実施。大型連休までにすべての在来線でも確認を進めるという。

運休していた各新幹線は24日、始発から運転を再開した。能登半島地震の被災地支援で石川県輪島市に入るために金沢駅に着いた静岡市職員の芦川泰三さん(43)は「被災地に行けなくなってしまうと思ったがホッとした」と話した。

          ◇

国土交通省は24日、JR東に対し、事案の原因究明と再発防止の措置を講じるよう文書で求めた。


東北新幹線トラブル、部品壊れて架線たるむ 交換検討の対象外の部品

2024年1月24日

東北新幹線大宮―上野間で23日発生した架線トラブルで、JR東日本は24日、現場の架線を引っ張る重り設備の部品が壊れ、張力が失われていたと発表した。緊急対策として、同社管内の全新幹線の重り設備計約500カ所について、31日までに点検するという。

JR東日本によると、架線は通常、滑車を介して両端に取り付けられた重りによって張力を保っているという。今回壊れていたのは、複数の板状の重りを貫いて計約1・3トンを支える「重錘(じゅうすい)ロッド」と呼ばれる直径22ミリの鉄製の棒。現場には、折れたロッドと重りが地上に落ちており、架線が約150メートルにわたってたるんでいた。同社は架線がたるんだところに走行してきた新幹線のパンタグラフが引っかかるなどして異常な電流が流れ、停電したとみている。

ロッドは毎年目視点検しているが、昨年6月の点検で異常は確認されていなかった。折れたロッドは、大宮―上野間が開業した1985年に設置。通常は30年を目安に交換を検討するが、この部品は対象になっていなかったという。

ロッドが折れ、地上に落下した重錘
折れたロッド
折れたロッドの破断面

滑車式自動張力調整装置
(東海道新幹線・新富士-静岡間)

WTBと電柱(高崎エリア)フルグラフィックTシャツ

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