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追加投資|アダコテック

この度DNX Venturesは、2022年4月27日にプレスリリースが配信されました通り、株式会社アダコテック(以下、アダコテック)のシリーズBラウンドに追加出資致しました。本ラウンドでは、既存投資家である東京大学エッジキャピタルパートナーズ、DNX Venturesに加えて、新規投資家としてリアルテックファンド、Spiral Capital、東京大学協創プラットフォーム開発が出資し、調達総額は11億円となりました。DNX Venturesとしては、2019年のシリーズAラウンドに続いて、2回目の出資をさせて頂きました。


アダコテックとは

アダコテックは2012年の創業以来、産業技術総合研究所によって開発された「HLAC(エイチラック)特徴抽出法」を用いた画像解析技術をベースに、製造業の検査・検品プロセスにおいて異常をほぼ100%検出するAIをSaaSとして提供している企業です。現在では検知の精度と製造業の現場に寄り添ったサービス提供が評価されており、自動車業界や電子部品業界を中心に導入が進んでおり、既に海外進出も果たしています。

主に製造業では以下のような課題が挙げられますが、アダコテックが提供する「AdaInspector」は下記課題を解決するアプリケーションになります。

  • 製造プロセスにおける検査・検品の属人的なミスの防止

  • すぐに導入ができる検査・検品アプリケーションの不在

  • 検査・検品における人手不足

未だ検品の95%は目視、工場従業者の5人に一人が検品に携わっているとされる

「AdaInspector」でできること

AdaInspectorは、一般的なディープラーニングよりも必要とする教師データが少なく、アルゴリズムの計算も比較的シンプルであることからCPUへの負担が少なく、市販のPC上で作動させられるアプリケーションとして十分使えることが一般的な検品AIとの差別化要素です。
一般的なディープラーニングでは異常検知のためには正常品と異常品の双方を教師データとして必要としますが、アダコテックでは正常品のみを教師データとするので教師データを準備するコストが圧倒的に低く、想定外の異常品についても高い精度で検知することが可能です。

また、AdaInspectorはオンプレ環境にも対応しており、ユーザーはクラウドアプリケーションであるAdaInspectorに教師データとなる画像をアップロードし、検査・検品モデルを作成、同モデルをオンプレ環境に移行することで自社製品やプロセスに最適化されたアプリケーションをオンプレ環境で運用することができます。

一般的になディープラーニングよりも様々な点で「手軽」に始められる検品に適した画像解析技術

DNXが追加投資した理由

シリーズA以降、アダコテックは技術力のみならずビジネス的にも成長を遂げてきました。我々が伴走させて頂く中で見てきたアダコテックの強さと魅力をここでは少しお伝えしたいと思います。

1.河邑CEOを筆頭とした強い組織

アダコテックはHLACを長年研究してきた2名の研究者を中心に、これまで長い時間をかけてサービスを作り上げてきました。ここに、総合商社でのビジネス経験・知見がある河邑CEOが参画することで、日本の製造業からも信頼を得る高い品質と事業成長が両立し、更に高度な知見を有するエンジニアや製造業出身のビジネスメンバーなど、ビジョン・ミッションに想いを同じくするメンバーが集まり、強い組織を作ってきました。

2.日本発SaaSの海外展開可能性

アダコテックが対象とする検品・検査は日本が世界に誇る品質の高いモノづくりを実現するにあたり必要不可欠なプロセスですが、それゆえに日本企業がソフトウェアへ求める性能・品質も高いレベルが求められる領域です。アダコテックは特にシビアな自動車業界でも性能が認められていることから、日本発のSaaSとして今後更なる海外展開も期待できます。

3.今後の展開・ビジョン

HLACのような研究所発の技術は商業化まで進めることが難しいと一般的に言われていますが、アダコテックはHLACをクラウド化させ、上述の通り大手顧客も既に獲得しています。今後はハードウェアへの組み込み等ビジネスモデルを多角化することで更なる市場開拓を進め、「モノづくりの進化と革新を支える」というビジョンの実現に邁進して行きます。

代表 河邑さんコメント

シリーズAに引き続き、シリーズBでも投資頂けたこと、大変嬉しく思っております。
アダコテックにシリーズAで出資頂いた当時は、優れた技術と高い志こそあったものの、事業としてはまだまだの状態でした。それから約3年弱、事業戦略・資本戦略・広報・採用・営業などあらゆる面で支援を頂き、ディープテックのシーズが骨太な事業に育つまでに至りました。弊社の事業は、解決する課題が極めて大きい反面、それだけ時間がかかる事業です。そんな中でも、倉林さんはじめDNXの方々がどんなときも熱く信じてくださり、伴走頂けたことが日々の大きな力になりました。
今回の資金調達をきっかけに、アダコテックは対象業界のさらなる拡大とグローバル進出を図ると同時に、新規事業の立ち上げも行っていきます。日本発のディープテックカンパニーとして、製造業の検品分野における技術的なグローバルスタンダードを確立し、業界全体のDXを推進して参ります。

――株式会社アダコテック 代表取締役 河邑亮太

今回の追加出資に関して

アダコテックには、2019年のシリーズAラウンドに続いて、今回2回目の出資をさせて頂きました。アダコテックは河邑CEOの強力なリーダーシップの下にシリーズAから着実にプロダクトおよび組織の開発に取り組んできており、魅力的なメンバーがアダコテックに参画しています。また、信頼性にシビアな大手企業への本格導入も始まり、事業拡大の素地が整ってきました。今後アダコテックは調達した資金をベースにメンバーの増員やプロダクト開発と並行して、より多くの企業にAdaInspectorを利用してもらえるように顧客獲得・事業開発を進める予定です。我々DNX Venturesも、アダコテックのビジョンの実現に向けて引き続き支援を継続していきたいと思います。

イベントのお知らせ

DNX倉林も登壇させていただきます!

アダコテックのシリーズB資金調達を記念して、シリーズAからご一緒させていただいているUTECと我々DNX Venturesも出演させていただき、「シリーズB 調達ピッチを実演!—投資家と振り返るウラ話」を開催いたします。今回のシリーズBで河邑代表が投資家に対して実際に行ったピッチをフルで実演し、シリーズAからの歩みとこれからの事業戦略をVCのリアルな視点とともに語ります!

開催詳細
日程:2022年5月26日(木) 19:00 ~ 20:30
開催場所:オンライン(ウェビナー)

(文:小澤 祐介/編集:上野 なつみ)


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