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日本の会社員とオンライン会議したら、note の記事になった

日本の会社員に劣化が起こっている。
日本企業が 10年以上前から進歩していないことには気づいていました。
それにしてもここまで質が落ちているとは。と愕然とした今日の出来事。

英語のミーティングを「断る」日本の大企業

当社のサプライヤーに日本の会社がいます。
その会社(S社)は、小学生でも名前を知っている大企業グループです。
S社から調達している部材はあまり重要なものではなく、取引金額も大きくないので、私は S社との交渉を部下(ケルヴィン)に一任していました。

先週、S社との交渉がなかなか前に進まない、とケルヴィンから相談を受けました。
交渉は 100%メールで行われていました。
そこで、交渉記録である一連のメールのやりとりに目を通してみました。

だめだこりゃ(👈いかりや長介ふう)

ケルヴィンは優秀な香港人で、上級レベルの英語を話しますし、書きます。
(私が採用した社員だから当然よ♪)
ケルヴィンが S社に書いたメールは、内容も体裁もよくできていました。
それに対する S社からの返信は、たった 3行の ”メモ” ふうの駄文。
以下、原文ママ。

No change is OK.
But, we need PO and finance department asked it.
Next week is deadline and we are prepared invoice for it.

なんじゃこりゃあ3

S社さん、ケルヴィンのメールをきちんと読みましたか?
絶対読んでませんよね。
読んでも理解できなかったか、ちょっと長いので読むのをあきらめたか。

英文の幼稚さにはこの際目を瞑ろう。
「PO(発注書)をくれ」以外、何が言いたいのかようわからんのですけど。
これ、詩かなにかですか?
三行詩?
漢詩?
五言絶句?

ケルヴィン。これが日本の会社員の平均レベルだとは思わないでくれよ。

オンラインで話すほうが早いかと・・・とケルヴィンは言いました。
この三行詩を書いた人間が英語でオンラインミーティングできると思うか?と言いかけましたが、ダメもとでやらせてみようか、と考えました。

数日後、オンラインミーティングを提案したら断られました、とケルヴィンが報告してきました。
「断る」の意味がわからないんですけど。
顧客があれほどわかりやすいメールを送ったのに、解読不能の三行詩しか返ってこないので、ミーティングしましょうと言ったら、それはイヤでちゅーってか?

コドモかっ!

むしろ、
コモドオオトカゲかっ!

コモドオオトカゲ

その翌日、どこで聞きつけたか、S社の社員が私宛てに日本語のメールを送ってきました。
「上司の方が日本人だと伺ったので、オンラインミーティングを設定させていただきたく」という主旨。

うぜぇ・・・

自分がやってることのカッコ悪さに気づかないのだろうか、という脱力感。
それに、このド厚かましさは何だろう。
まさか、S社というネームが日本人の私に効くとでも思ってますか?
私は、天下の S社の社員の腰抜けっぷりに驚愕しているんですが。

30分なら、という条件でミーティングを承諾しました。
note記事のネタになるかも、と考えたから。👈これ仕事より大事

いったい何人出てくるんだ?

S社とのオンライン会議は時間どおり始まりました。
時間厳守なところはさすが日本の会社員ですね。
まず、S社の人が「本日は貴重なお時間をいただき云々・・・」と社交辞令どおりの挨拶をしてから、私は△△事業部の部長をやっております、〇〇と申します、と自己紹介しました。

部長だとぉ!?

ないない。こんなガキの使いに S社の事業部長が出てくるわけねーよ。
△△事業部長ではなく、「△△事業部部長」なんだろう。
(両者は大違いです。大企業は外向けの肩書をインフレさせるものだから)

いやそんなことよりもだ。
私一人に対して、なんで S社から 5人も出席しているの?

私「ずいぶん豪華な出席者の方々ですね(笑)」
皮肉のつもりでしたが、通じていないご様子。

1人 4秒の自己紹介を聞いたところ、”部長” 以外の 4人は “課長” らしい。
“課長” という肩書の、実質主任クラスあたりだろうな、と推察する。
ところで、なんで日本人の自己紹介ってやたら早口なんだろう?
名前が全然聞き取れなかったよ。まあ覚える気ないけどさ。

私と S社の部長氏の間で議論が進む中、4人の課長氏たちがずーっと ”mute” にしているのはどういうわけなんでしょう。
全員在宅勤務で、家庭内の雑音が入らないようにしているってこと?
それとも、発言者以外は mute にするっていうルールでもあるんだろうか。
てゆーか、全っ然発言しないんですね、課長氏の皆さんは。

このオンライン会議、カメラオフでやっているんですよ。
もしかして、4人の課長氏はダミーじゃないでしょうね?

4人の課長氏たちが、4秒の自己紹介以外一言もしゃべらないまま 30分経過するとは思ってもいませんでした。

5人の出席者が 5人とも男性である異常さにも気づかない人たちみたいなので、今さらどんな超自然現象にも驚きませんけどね。
(あの S社が、じつは男子校だった、なんて話は聞いたことないよなあ)

発言も質問もしないのか?

部長氏が課長氏たちに一度も話を振らなかったのはたしかです。
とはいえ、上司の許可なしに口を開いてはならない、みたいな社内規程でもあるんだろうか。
あるいは、4人の課長氏はじつはまともな神経の持ち主で、なんでこんな会議に出なきゃならねえんだよ!とシラケていたのかもしれない。
(むしろ、そうであってほしい)

予定どおり、ほぼ 30分で結論が出て、クロージングに入りました。
こういうところはさすが日本の会社員だな、と思いました。
完璧なタイムマネジメントです。

私「何かご質問はありますか?」
部長氏「とくにございません」

いや、あんたに訊いてるんじゃない。
まだ一言もしゃべってない課長氏の皆さんに訊いてるんだよ、私は。

課長氏の皆さん、無言のまま。mute を外しもしない。

む~ごん~♪ いくじな~しね~♪

無言


なんて知らんよね。課長氏の皆さんは。

部長氏「今日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました」

本当に一言もしゃべらないまま終わっちゃったよ。


30分で終わったのは、まあいい。
私の 30分を空費した時間泥棒行為は大目に見よう。
ただ、一言もしゃべらずに同席だけさせられた課長氏たちの 30分についてはどう考えたらいいのか。
S社の出席者 5人分の 30分の価値は、少なく見積もっても 15,000円にはなるでしょう。
この部長氏には、この会議で 15,000円を浪費したという意識はあるのだろうか?

最後まで一言もしゃべらず、こちらが振っても質問すらしない 4人の課長氏たちの存在に、私は不気味さを感じました。
あなたがた、審査員かなにかですか? 私を評価してたとか?

まさかこの会議、私を引き抜くための面接だったんじゃねーだろーな?

日本の大企業で働き続けるリスク

では、そろそろ言いたいことを言わせていただきたいと思います。

S社ほどの “グローバル” な日本企業の社員なら、プライドを持ってほしい。
それは、S社という社名や部長という肩書を誇示することではなく、英語で会議もできない自分を恥じる感覚のことです。

しかも、そんなカッコ悪い姿勢を部下たちに見せてはいけない。
4人の課長氏は、あなたを心底バカにしているか、英語が話せなくても S社の部長になれるんだと勘違いしているかのどちらかです。

それに、部下にまで無能を強いるのはやめてあげてほしい。
なぜ部下に一言も発言させないのですか?
おバカな発言されたら恥ずかしいからですか?
大丈夫、あなたたちはこれ以上恥ずかしくなりようがないですから。
おバカな発言をしたとしても、それのどこがいけないのですか?
恥や失敗も経験せずに人が育つとでも思っているのですか?

私も日本の大企業で働いていたことがありますので、大企業の社員ならではの強みは知っています。
組織の方向性、チームの課題と自分の役割をソツなく把握して、スマートに立ち回る能力。こういうのはピカイチです。
アントレプレナーやフリーランスにはマネできない優れた組織内能力です。

一方で、個の力が弱い。
社内の人間とばかり仕事しているため、社外の人間との折衝ができない。
組織の中で気を遣うことばかり覚えるので、自分の考えを持てなくなる。
挙句の果て、一人では何もできない超優秀な組織人が出来上がるのです。

日本の大企業での働き方は、賞味期限が切れかかっている気がします。
しかも、現役の社員の質が著しく劣化しているようです。
日本の大企業にいると、これからの時代にはあまり役に立たない能力しか身につかない惧れがあります。
就職や転職を考えている方。
日本の大企業は意外とリスキーかもしれませんよ。