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超実践的、スピーキング

前回は英語を書くスキルに焦点を当てて、中級から上級者向けの記事を書きました。

今回は初級者向けに、話すスキルを一段階上げるための実践的・実用的な dos & don'ts をお伝えします。
より ”英語らしく” 話すためのコツと、マインドチェンジの提案です。

Soを封印せよ

私はグローバル企業で働いていますが、取引先には日本企業もいます。
日本人が話す英語を聞く機会もあります。
初級者の英語を聞いていて残念に感じるのが、次の言葉が出てこないときの “so… ” という口癖(?)です。
これは日本人特有の間投詞(?)で、ヨーロッパ人などの間では「また日本人お得意の so だ(笑)」とジョークにされているほどです。

これと似た間投詞に “well” や “you know” などがありますが、ネイティブが使うそれと、日本人が多用する “so…” は、使う人の心境が異なります。
ネイティブの you know はただの口癖で、次の言葉に移るときのリズムとして挿入しているようなものです。
日本人の so は、次の言葉を考えているときの時間稼ぎのようなもの(と私は分析しています)。

もし私に日本人の部下がいて so… を使っていたら、「やめましょうね😊」とアドバイスするでしょう。

では、you know と言えばいいのか?
できればそれもやめたほうがいいですね。

基本的にビジネスコミュニケーションにおいては、次の言葉を考えてるヒマなどないのです。(だから私は、電話やビデオよりメール推奨派なのですが)

so… を使わないと話せない人は、考える余地などないくらい準備してから会議に臨むのが理想です。
初級者用として、こんな方法もあります。

⇒ 伝えたい内容をメールで送るつもりで、文章をドラフトする
⇒ ドラフトした文章を読み、それを読んだ人の反応を想像する
⇒ 読み手の立場で疑問に思ったことに対する回答も文章に書く
⇒ そのメールは送信しないで傍らに置いた状態で、会議に臨む

口癖はあってもいい(美しくはないけど)

日本語でも、一つのフレーズが口癖みたいになっていて、10秒に 1回くらいのペースでその言葉を発する人がいます。
例えばこんなの。

逆に言うと~
ぶっちゃけ~
変な話~
要は~
正直~

1日に 10回以上「逆に言うと」と言う人は、1回くらい「逆に言わないと」と言ってほしいものです。

というくらい、口癖というのはたいてい美しくないもので、部下などから笑われたりマネされたりする対象なのですが、悪いことばかりではありません。
おそらくこういう口癖は、次に続く言葉に勢いをつけるためのブースターや踏み台みたいな役割を果たしていると思われます。
言葉のロイター板ですね。

英語にもロイター板があります。
典型的なものが、中東・アジア圏で多用される “Actually ~” です。
第一声が必ず Actually になるインド人、アラブ人、中国人、日本人等がいますが、この Actually に深い意味はありません。強いて言えば、「じつは~」くらいのニュアンスでしょうか。

Actually を封印したら、彼らは何も話せなくなるかもしれません。
口癖は美しくないからといってやめる必要はありません。
むしろ、ロイター板として大いに活用すべきです。
ネイティブスピーカーでさえロイター板を使う人はいます。

Basically ~
Literally ~
In fairness ~
To be honest ~
In terms of ~

あなたのロイター板を持つことです。
例えば、Basically と発すると次の言葉がツルツル出てくる、そんな体質になればいいのです。

日本人には、内容重視派と発音重視派がいる

英語を話す日本人には 2つのタイプがいるような気がしていました。

内容重視派: 発音は日本人的だが、話す内容と文法はハイレベル
発音重視派: 発音は英語っぽいが、話す内容と文法はローレベル

意識をどこに集中させるかの違いなのでしょう。
内容に意識を集中させる人は、発音にまでかまってられない。
発音に意識を集中させる人は、内容にまでかまってられない。

外国人とコミュニケーションがとれる人は、たいてい内容重視派です。
なので、どっちを重視すべきかわからない人には、とりあえず内容重視派を目指すことをおススメします。

ただしこれは、中高の英語教師に英語の発音を教えてもらえなかった世代の話だと思います。
イマドキの若い日本人には変化が起きている、と感じています。
初級~中級レベルに話せて、発音もそこそこイケてる 20代が増えました。
留学経験のある人が増えたことが一因です。
かなり小さいうちから、グローバル化を意識して育てられてきたこともあるのでしょう。

そのような土台があることを前提とすれば、「内容か発音か」という二分法はナンセンスになります。
文法や内容と並行して、発音も意識して磨いていくべきです。

母音より子音を磨こう

とあるnoterさんが、重要な事実を教えてくれました。
その記事の内容を 3行で要約します。

日本語は、母音を主体とする、世界でも極めて稀な言語である
自然界の音(風の音、雨音、虫の声)は母音(母なる音)で構成されている
自然界の音=母音で話す日本人は、大自然と融和する特殊な精神性を具える

目から鱗です。
たしかに言われてみれば、日本語は異常に音節が多く、英語は異常に音節が少ない。
例えば、strike という英単語は、たったの1音節です。
これを「ストライク」という外来の日本語にすると、5音節にもなります。

“にしむらひろゆき”という名前は、日本人には 8文字の普通の名前ですが、外国人が Nishimura Hiroyuki を見たら「うわっ8音節もある!長い名前!」となるでしょうね。

英語は母音より子音が重要、ということです。

娘が 3歳でスイスのインターナショナルスクールに通い始めた頃、英語の教材を見て「へぇ~」と思いました。cat の c音や bee の b音や tiger の t音を母音なしで練習するのです。

英語の t はタ行と同じでしょうか?
英語の c や k はカ行と同じでしょうか?

まったく同じわけないですよね。言語のルーツが違うのですから。

日本の学校は、th や r など、特殊な子音にフォーカスする傾向がありますが、まずは c, s, t, n, h, m などの基本的な子音の発音方法を、”英語として” 教えるべきだと思います。v で下唇を噛む前に、まず b の音を教えよ、と。

c, s, t などのよく使う子音の発音法を改善するだけで、あなたの英語は格段に伝わりやすくなります。

お手本にする女性をロックオンせよ

真のグローバルで生きていくためには、インド人の英語、フランス人の英語、イタリア等ラテン系の英語、ロシア人の英語、トルコ人の英語、香港・シンガポール等中華系の英語などなど、多種多様な英語を聴き取る力が必要になってきます。

一方、スピーキングに関しては、最も訛りの小さい人の英語をお手本にするべきです。
以前の記事にも書いた、インターナショナルな(ドメスティックでない)イギリス人か、ニアネイティブのオランダ人、ドイツとその近隣国の出身者が適任です。
つまり、ヨーロッパの北へ行くほどベター。南はダメです。

原則として、お手本にするのは男性よりも女性のほうがいいと思います。
概して、女性のほうが言語操作能力も高いですし、理路整然としながらもやわらかく話すことができるのは女性の強みです。
男性の理路整然は、高圧的・攻撃的であることが多いので、お手本にすると態度まで伝染ってしまいます。
実際、話すスキルが重要視される仕事には女性が多いです。そこには根拠があるのです。

日本語やタイ語のように、男言葉と女言葉が大きく異なる言語だと、男性が女性をお手本にするのはリスキーかもしれません。
私はそれを知らずにタイを旅行中、サワディカー、コップクンカーを連発して現地の人に笑われていたような気がします。「さすが微笑みの国だなあ」と、私は無邪気に感激していましたが。

英語は大丈夫です。女と男で言葉はそこまで違いませんから。
お手本にする女性を決めたら、よく使うフレーズや発音だけでなく、抑揚、話し方、トーン、リズムとメロディまでマネしてみましょう。
「最近、〇〇さんに似てきてない?」と言われるくらいになれば成功です。

ご健闘を祈ります。


(追記)
海外で上を目指す人が必須とする「高度な英語力」とはどのくらいのレベルなのか、英語力シリーズの序章として書いています。

第4章。英語を話すときの頭の使い方の提案です。日本語で考え、素早く英語に変換する。最もシンプルな文型を使って、端的に話すべし。