見出し画像

統計|Amosで間接効果の分析—結果編—

前回(半年前),間接効果の検討について,分析の実行まで説明をしました。今回は出力結果の見かたについて,メモをしていこうと思います。



媒介分析の3つの効果

結果出力の前に
「間接効果」「直接効果」「総合効果」
の3つの効果について簡単に説明します。

まずは図にするとこんな感じ。

媒介変数を入れない場合
媒介変数を入れた場合

それぞれの効果は
間接効果 a×b
直接効果 c
総合効果 c'
にあたります。そしてこの3つは,
c' - c = a×b
という関係になっています。

直接効果は媒介変数による影響を除いた,X→Yの純粋な効果についての数値。総合効果は媒介変数による影響も含んだ,X→Yの効果についての数値。(たまにどっちがどっちだかわからなくなる。)

論文ではB,b,SE,z,95%CIを記載する必要があるので,それは順に説明します。


出力された結果の見かた

さて,Amosの結果の見かたに戻ります。前回の手続きの後,分析実行ボタンを押したら結果が出てきます。

結果ウィンドウにあるツリーで主に見るのは,「推定値」,「行列」,「モデル適合」,「ブートストラップ信頼区間」この4つ。モデル適合についてはいろんなとこに書いてるので今回は省略。順に説明します。

確認が必要な結果の項目


推定値

検討するのは sc→sa→comp という関係。

結果が出力されたらまずは推定値をチェックします。
見るのは「係数」,「標準化係数」,「重相関係数の平方」の表。この3つの値は,係数 = B,標準化係数 = b,重相関係数の平方 = R² を指しています。

各パスが有意かどうかは「係数」の表の確率を確認します。ここでは sc→sa,sa→comp が有意なパス。ここの sc→comp の推定値は直接効果を指しています。

推定値の結果


行列

次は行列をクリック。ここでは各効果のBとbが書かれています。この数値をどうしたらいいのかは後で書きます。

行列の結果


ブートストラップ信頼区間

最後はブートストラップ信頼区間で間接効果の信頼区間と標準誤差を確認します。ここはグレーになっててクリックできませんが,「推定値」→「スカラー」→「ユーザー定義の推定パラメータ」を押すとブートストラップ信頼区間が見られるようになります。
ここは修士のとき初めてやった際,「こんなん言われなきゃわかんねーよ!ばーかばーか!!」となったので,この記事を書こうと思っていた一番の原因かもしれない…。

ブートストラップを見るにはひと手間必要

チェックするのは「ブートストラップ標準誤差」と「ブートストラップ信頼区間」。今回,SE(標準誤差)は 1.034,95%CIは[.912―5.102],p値は .009 という結果。

標準誤差
95%信頼区間

これで最低限見るべき結果は一通りチェックできたんじゃないでしょうか。


出力結果の書き方

さて,分析はできたし,データの見かたもわかった。よーし!論文書くか!!...でどうやって書けばいいんだ?は統計苦手によくあるパターン。

ということで,これを書いておけば間違いない!(はず)をまとめます。媒介分析の結果を書くときは,パス図と間接効果の表を書く必要があります。

まずはパス図。「行列」の各標準化効果(b)の値を図に書き入れます。

結果の図

全てのパスを実線にしてもいいけど,有意でなかったパスを破線にする人もいます。あと面倒なので直さないけど,各値に有意かどうかの「*」をつけるとより親切かもしれないです。

次に間接効果の表。主に書くのはB,b,z,SE,(p,)95%CI。B,b,SE,95%CIはここまで見てきて出力されるのがわかったけど,実は z値はAmosで出力してくれません(Ver. 27では)。なので手計算します。

z値の式は,

$$
z = \frac{a×b}{σ_{ab}}
$$

つまり,わかりやすく書くと

$$
z\text{値} = \frac{a_\text{の}B×b_\text{の}B}{ab_\text{の}SE}

$$

という計算になる(らしい)。
上の式の b は標準化係数の b ではなくて,パス a, b, c の b です。

今回aの係数Bは .777,bの係数Bは 3.395,abの標準誤差は 1.034。計算してみると,
(ほんとは小数点以下の桁をより含んで計算した方がいいと思う)

$$
z = \frac{0.777×3.395}{1.034} = 2.551
$$

となります。あとは表を作って放り込んでいくだけ。

日本語 Table
英語 Table

(あってるかな…。)

2022/06/28
Bとb書く位置逆なんだけど,修正面倒なので気が向いたら直します。直す気の程度は2%くらいです。

2023/12/05
やっと気が向いたので直しました。B,b,SEの順に記載していましたが,出力されるのはBのSEらしいので(要確認),Bの右にSEを移動しました。
あとSEと信頼区間の数値も間違えて書いてた。

まとめ

ここまで勢いで書いたので,かなり粗があると思う。またテキトーに見返して修正する予定(たぶん)。もしミスがあれば教えてください。

Amosの説明をしましたが,正直いうと媒介分析はHADが1番楽です。もしくはJASP。どちらもz値を出してくれます。SPSS,Amosはもう使いたくないので,早くRを覚えて使えるようにしなくては。参考にしたサイトと文献を貼って終わりにします。


<文献>
村山 航(2009).媒介分析・マルチレベル媒介分析 Retrieved June 5, 2022 from https://koumurayama.com/koujapanese/mediation.pdf

清水 裕士(2011).媒介分析と間接効果の検討 Retrieved June 5, 2022 from https://norimune.net/619

<Youtube>
https://www.youtube.com/watch?v=9jGL45NuVAA

https://www.youtube.com/watch?v=DktTdTnFkCI

https://www.youtube.com/watch?v=iX-3UELOV34


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?