新・観光立国論を読み返して  〜5年経った今は?そして今後の10年はどうするべきか〜

日本に帰ってきて約2年。日本の社会勉強をするため、企業に就職し、あっという間に時が過ぎました!仕事や、日本の社会に慣れ、さぁここから何をしようかと考えたところ、やはり日本の観光ポテンシャルの高さと、それを活かしきれていない現実と、ただ、私一人ではとても社会を動かすのは難しいと悩む日々が続いています。読書や、セミナーに積極的に参加して、知見を広めようとして早数ヶ月。だんだんとやりたいことが明確になってきて、どんな組織を作って、どんな人材を集めて、など徐々に見えてきました。あとは、資金作りですね。

そんな中、原点に帰ってみようと思い、デービッド・アトキンソン氏の新観光立国論を読もうと決めて、読み始めたら、なんとなんと、5年前に今私が解決しなければならないと思っていることを書き記しているではないですか!

お前が今更言わなくてもいいんだよ!なんて声もあるかもしれませんが、5年経っても変わってないのだから、言わなければならないですし、誰かが先頭に立って世の中の仕組みを変えなければならない時期になったのではないでしょうか。コロナの影響でまた世界が大きく変わる近い未来、もう一度原点に帰り、何が必要で、何をしていけばいいのか、DMOを立ち上げる際に自分の行動指針だと思ってこれを残します。

短期移民の考えかた 〜だからインバウンドは必要なのか〜

短期移民とは何でしょうか?短期移民とは、簡単にいうと短い間その国に滞在して、財を使用して生活をする人のことですよね。ビジネスで来る人も然り、旅行で来る人などがそうです。アトキンソン氏はビジネスをしない人を定義していますが、私は今の時代ならビジネスも含めていいと思います。本来であれば、MICEなど教育旅行、学会の発展も観光産業の発展とともに進めてはどうかと思うからです。MICEについてはまた他の記事で。。。

さて、そうすると、短期移民とは要するにインバウンド観光客です。インバウンド観光客が来ると、地域の住民が:”治安が悪くなる”、”生活が脅かされる”、”うるさい”、”自然が壊される”など批判的な声が多く聞こえますが、経済的には大きなインパクトを持っているのは皆さんご存知かと思います。インバウンド観光客が増えると、国内消費が増え、地域企業に恩恵もあります。そうすると、自治体の税収も増えます。人口が減り続けている日本は自治体、政府の納税者の数が減っています。そうなると、税収も減り、住民の生活の質を維持する医療や治安維持、教育などの質が悪くなり、国力低下に繋がります。コロナ前は東京やその他都市なら大丈夫だったかもしれません。地方から人口が流れ都市集中していたからですよね。しかし、このコロナで東京で働く必要がなくなった。都市集中型から地方分散型の時代が少しずつ始まっています。現に、東京の人口が2020年8月に本当にわずかであるが、減少した。今後も人口分布と統計分析に注目ですね。そうなると、分散はいいのですが、結局、日本全国で人口減少が顕著になり、2050年には、国力と政治力が下がり、他の国に追い越される日が見えて来るでしょう。現にすでにGDP成長率は他の先進国と比べると圧倒的に低く、また、賃金は右肩下がり、GDP per Capitaも世界26位ととても裕福な国とは言えない状態にあります。

自動車産業も世界の日本ブランドと言われるのは10年以上も前のこと。肌感ですが、アメリカにいた際は、日本の自動車は3割、韓国の自動車が3割、アメリカ自動車2割、その他欧米の自動車が見られました。2035年にはカリフォルニアではガソリン車の製造、販売を禁止するなどありますね。日本には電気自動車は日産しか作っておらず、プリウスなどはハイブリッド車なので、このままでは、日本の自動車産業も危ういのです。競争力とブランド力があった昔の日本ブランドは通用せず、そういうプライドはもう改めた方がいいのではないでしょうか。

となると、今の輸出産業の衰退、停滞が考えられると新たな成長産業が必要ですね。それが、インバウンド観光客からの観光消費額と経済効果の拡大をする必要があります。

要するに、インバウンド観光収入は、地方経済を支える役割を今後になっていくことになるでしょう。国内の観光消費でもいいのではとお考えになる人もいるでしょう。ですが、それは内部での富の移転であり、国庫の増大にはなりません。簡単に言えば、100万円の貯金を自宅でしていた人が、銀行に預金するのと同じです。その貯金を増やすには外部(企業など)から何かしら働きかけがないと増えませんよね。個人が国単位へ規模が大きくなっただけですね。と考えると、国の貯金を増やすには海外から収入を得なければならないということです。




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