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言語化の魔力感想


私は公認心理師というカウンセラー国家資格を持っています。日々心理学やカウンセリングの勉強をする中で、心理カウンセラーとしての視点で、この本を読んだ感想を書いていきたいと思います。
 
この本の最大の特徴はズバリ樺沢先生の体験や意見をメインに書いているところです。今までの本はエビデンスという科学的根拠が書かれているものが主流でした。本書にはそれが書かれていないのです。書かれてないけどエビデンスはあります。この樺沢先生の体験こそが貴重で、読者に対してエッセンスとして染み渡るものが本書の各所にちりばめられています。
 
本書を読んで特に印象に残った内容が3つあります。
まず一つ目は名言集のように言い回しが書かれていることです。
 
私の一番のお気に入りは「それはそれとして、今できることは?」です。問題の次元を切り替える言葉。それまでの話題、相手の感情を「否定」、「肯定」もしていないのが重要です。相手を否定する言葉ではなく、相手を受容しながら、話をより高次元に引き上げる、非常に高度な心理テクニック。早速日々のカウンセリングに取り入れました。心理カウンセラーにとって言葉選びは重要です。言葉の選び方を間違えるとクライエントとの信頼関係が崩れてしまい、カウンセリングの中断にもつながります。悩みや困りごとを丁寧に聞き取り、「それはそれとして」と切り出すことで未来に向かっていく、つまり解決の方向へかじ取りすることができるので、大変重宝する言い回しになりました。
 
印象に残った内容の二つ目。悩みの再設定。ひと言でいうなら悩みを具体化することです。
 
「大地震が起きたらどうしよう」を悩みの再設定をすると
「大地震によって自分や家族の命が失われたり、怪我したりしないか心配。家がつぶれたり、経済的な被害が心配」になります。
 
これに対して準備できること、行動できることは全てやりきる。この「やりきった感」が自信となり、恐怖や不安を払拭することにつながります。
 
悩みを再設定する魔法の質問をするワークが紹介されています。本当に困っていることは何か?その悩みが解消すると、あなたは満足しますか?その悩みが解消すると、幸せになりますか?
これらの質問を通して悩みを具体化して本当に考えなければならない本質的な部分に気づくことができます。
 
印象に残った内容三つ目。悩みが消える究極の方法「やめる、手放す」です。
 
中国の戦術書である兵法三十六計に「万策尽きた時は逃げるのが最善の策である」と書かれているそうです。一旦逃げて、態勢を立て直し、兵力や軍備を増強し、次の戦いに勝てばいいのです。ついつい人は思い込みによって逃げることは悪いことだと捉えがちですが、「再戦に備えて準備する」でいいのです。今回ダメでも次で勝てればいいのです。
 
この考え方を知ってから私はやめたいと思っていたゲームをする習慣を手放すことができました。「またやりたくなればいいや」と考えられるようになって、自然とゲームで遊ぶ時間がほとんどなくなり、その代わりに人生で本当にやりたいことに打ち込む時間が増えました。
 
以上、3つが「言語化の魔力」を読み、私が特に印象に残った内容でした。
私は読んでも忘れない読書術からの樺沢先生のファンです。アウトプット大全をはじめ、様々な著書を出版されているベストセラー作家である樺沢先生。個人的には本書が一番自分の心に響くものが感じられました。
 
樺沢先生の著書を読み、人生を変える行動に繋ぐことができたからこそ、今の自分があると言っても過言ではありません。広く一般の方に向けて情報発信を通してメンタル疾患の予防をしたいというビジョンに深く共感いたします。今後の活躍と健康をお祈り申し上げます。
 
 
公認心理師 心理カウンセラー こやてぃ



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