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福島第一原発事故に基づく『The Days』を見終えて

 東京の仕事を終えて福島、浪江町に戻る帰途のこの車窓の景色も、見ることは出来なかったのかもと思う。
 The Daysはあの時、吉田所長はじめ福島第一原発の現場にいた方々の見た地獄を忠実に、強烈に、再現していたと思う。

 一方で、この作品には住民が一切出てこない。津波による多くの死者も、あるべき通報もなく何が何だかわからず避難を余儀なくされたことも、多くの人がそのまま家と故郷を失ったことも、福島に対する心無い扱いも、無関心も、これまで12年間の苦難も。

 そこに多くの福島の方は違和感を覚えるはず。この作品はあくまで数日間(The Days)の福島第一原発内部での収拾作業についてのみにフォーカスを絞った作品。ゆえに強烈。でも、この作品に描かれなかったことによって、ここで描かれたことの重要性が減じられるわけじゃない。

 ここで描かれた地獄の中での決死の作業と、そして、ここに描かれなかった、この地域を取り戻すための住民の方々・行政の方々の長い年月の苦難の積み重ねの上に、自分は、今から戻る浪江の地で平和に幸せに暮らしている。もちろんわかってたし、だからこそ移住したんだけど、あらためて頭が下がる。

 じゃあ自分はどうするのか。あらためて、この福島沿岸地域を世界一幸せな場所にしたいと思った。覚悟をもって住まなきゃ行けない場所ではなく、元々の住民の皆さんはもちろん、誰でも住める、誰もが住みたい場所、一番自由で幸せな場所に。

 そして、その兆しは見え始めています。今、この福島の沿岸地域は、まだ広大な帰還困難区域を抱えてるけど(浪江町が最大)、営みが戻り、素晴らしい若者たちが集まって新しい社会が生まれ始めていることも知ってほしい。

 自分のプロジェクトに没頭して忘れかけてたけど、また走り出す勇気と活力もらいました。
 ここで仕掛けて発信すればいろいろあります。後ろ指。白眼視。嘲笑。脅し。攻撃。新しいプロジェクト発表すればもっとあると思う。

 でもあの時、福島第一原発内部にいた方々、そしてこれまで福島の方々が経験してきたことに比べれば何でもないし、自分がそんなことでうだうだしていられるのも、この地域が取り戻され、自分は機会を与えてもらったからで、幸せなこと。

 つまるところ(長い)、
 多くの人が、この福島の地に、自由に、幸せになりに来て欲しいなと思いました。


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