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なぜ五輪開会式の日にパリへ行って東北の食を振舞うのか。

 2020年大会の開催地が東京に決定した時、まだまだ震災復興のど真ん中でしたが、3.11以来なかった高揚感を味わったのを覚えています。
「復興五輪」までに見違えるように復興した東北の姿を世界に見せよう、素晴らしい東北の食を世界から訪れる方々に楽しんでもらおう、と2020年大会は、間違いなくみんなで目指す一つのマイルストーンになりました。
 東の食の会でも、オリンピック村でキッチンカーを借りて東北の食をオリンピアンや世界のメディアの方々に楽しんでもらうつもりでした。
 そんな中、ETICさんと共に進めてきた、「東北グローバルチャレンジ」で参加生産者のみんなとパリやバンコクをターゲットとしたプロジェクトを議論していると、今や福島を代表する米農家となった加藤晃司(@カトウファーム)が、「大就さん、開会式、パリに行こうよ」と言ってきました。日本に来ている外国人相手に東北の食を振る舞うより、むしろこっちから出かけていってより多くの人に東北の食を、復興した姿を伝えたい、という想いでした。
奇しくも、パリは次の五輪の開催地。そして、パリ五輪は大会を通じていかにHuman Legacy(人間のレガシー)を残すかというテーマを掲げています。Human Legacyというなら、あの甚大な被害と絶望から立ち上がり、最高な食を作り、直接消費者に想いを伝え、信頼を勝ち得てきた東北の食の生産者のストーリーこそ、"Human Legacy"のはず。
 2020年夏はみんなでパリに乗り込む、と決めました。

 その後、ご存じのように、五輪は延期、「コロナに打ち勝った証としての五輪」に意味合いが変わりました。そして、1年後の今、開催自体を巡って世論は分断され、安全にスポーツの祭典を取り行うことが至上命題。外国から日本へ観客が来ることもなくなり、東北でのイベントも軒並み中止。世界に東北の復興した姿を見せるという「復興五輪」はどこかへいってしまいました。
 もちろん、この状況下ではやむを得ないことは重々わかっていますが、このオリンピックで世界に語り継がれるべきレガシーは、こんな分断ではなく、東北の方々が創った希望のはず。
 どうしても諦められず、次善の策としてできることを考え、パリで試食会を開催、オンラインで東北の生産者と繋ぐイベントを開催することにしました。
 その後、パリの状況がワクチンの普及により好転、日本からの隔離なし渡航も可能になり、私自身はワクチンを二回接種する目途も立ち、急遽現地に行って直接伝えることにしました。
 そんなわけで、7月23日(金)五輪開会式直前、パリにて、東北の最高な酒と食を振舞い、それを作った生産者の皆さんと繋いで、そのモノづくりとここまでの道のりの想いを全力でぶつけてもらいたいと思います。
 科学的な安全性だけでは取り戻せなかった東北の食に対する信頼・安心を勝ち得た彼らの10年間の軌跡と想いを、パリ五輪に繋がるHuman Legacyとしてしっかり世界に発信してきます。

(私が行う予定のプレゼンテーションの骨子はこちらです。)

(本イベントのプレスリリースはこちらです。)
 


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