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あなたの文章には伸びしろがあるかもしれません。

ディレクターが書いてきた原稿を読んで「もったいないな」と感じることがあります。

話の本質は掴んでいる。
構成もしっかりしている。
文章が読みにくいわけでもない。

では、なにが引っかかるのか?

いくつかあるのですが、きょう紹介したいのは……、

僕が「オートマティック」あるいは「思考停止」と呼んでいる現象です。

みなさん、こんな表現をよく見かけませんか?

「東京ドーム〇個分の大きさ」

場所の大きさを表したいときに使われますよね。もちろん、この表現自体が悪いとは思っていないんです。

ただ、本当にこの表現がベストだと検討したのか、そこが重要!

場合によっては、東京ドームではない場所の方が伝わるかもしれない。ほぼ同じ面積の東京駅とか。あるいは、より面積の大きな(小さな)場所を基準にした方がいいかもしれない。外周をぐるっと回った移動時間で表したらどうか……。

そういうことを考えたのかどうか。「大きさ=東京ドーム」と自動的に採用したのだとしたら、それは思考停止だと思うのです。

次はこんな例なんてどうでしょう。

まずは、イメージしてみてください。

話題のお店があって、そこを取材したとします。VTRの冒頭で、タレントが訪ねていく。あなたはどんなナレーションを当てますか?

初稿でよく見かけるのは、こう。

「〇〇(タレント)が訪ねたのは……」

悪くはないんですけど、工夫の余地はあるかなと。

「この日、〇〇(タレント)はいつもより心が弾んでいた」「その店は、駅から〇分の場所にあった」など。なんなら、ナレーションなんていらない可能性もあります。

実に「もったいない」

しかし、逆に言うと「オートマティック」「思考停止」の部分は〝伸びしろ〟でもあるわけです。

では、どのようにしたらいいのか。

有名な例だと、夏目漱石。

英語教師だった彼は「I LOVE YOU」をこう訳したと言われています。

「月が綺麗ですね」

「I LOVE YOU」=「あいしてる」と決めつけていたら、絶対に出て来ない言葉ですよね。ここに、個性が出る。

僕の得意なジャンルだと『BLEACH』の藍染惣右介。

「――藍染 俺はてめえを …殺す」と言われて、彼はこう応じました。

「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」

久保帯人『BLEACH』(集英社)20巻より

よくネタにされている言葉のひとつ。

「弱い犬ほどよく吼えるものだな」ではなく、あえてこのような言い回しをすることで「らしさ」が出ています。

――如何でしょう?

思考停止のまま自動的に使ってしまっている表現、ありませんか? そここそが、あなたの伸びしろです。

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