放送作家が考える、句読点。音読したくなる文章、書いてみませんか?
.「せきさんって、A型でしょう?」
ディレクターと一緒にナレーション原稿を直していると、よく言われる言葉です。彼らが最も反応するのは、僕が句読点について細かいところ。
信じられないことかもしれませんが、ナレーションを書く仕事をしているのに、句読点の位置に気を配らない、あるいは打たないって人は意外といます。
だから、きょうは声を大にして言いたいんです。
句読点のこと、考えてみよ? ちょっとの工夫で読んだ人が音読したくなるような文章になるから。
今回、この記事を書く上で「句読点の打ち方」を調べてみました。
結構、解説されていましたねー。特に「、」(読点)については、細かいルールが挙げられていました。
でも、僕が意識しているのは、たった3つだけ。
①意味の切れ目で打つ
②大事な単語を強調するために打つ
③視覚的に読みにくい部分に打つ
どうしてこの3つか。
それは僕が、音読されることを想定しているからです。
ナレーターが原稿を見ただけで、どう読めばいいかわかるのが理想。
「あ、この読点から雰囲気を変えてほしいんだな」
「あ、この読点のところで画が変わるんだな」
「あ、この単語を強調してほしいんだな」
など。
あと、ナレーターは映像と原稿を交互に見ながら読みます。視覚的に読みにくいと、不便でしょう?
では、①②③の具体例を見ていきます。
①意味の切れ目で打つ
例)オリックスは主砲が離脱したが最終的に優勝した。
例)オリックスは交流戦に入ると不思議と強くなる。
例)オリックスは敵地で連勝したことで勢いを掴んだ。
このままだと読みにくいですよね。どこに読点を打ちましょう?
僕ならこう。
例)オリックスは主砲が離脱したが、最終的に優勝した。
例)オリックスは交流戦に入ると、不思議と強くなる。
例)オリックスは敵地で連勝したことで、勢いを掴んだ。
主語、または接続詞の後ろは自動的に読点を打っているという方、もしかしたら打ちすぎかもしれません。
変化球だと、こちら。
例)コーチは汗まみれになって練習する選手に付き添った。
さあ、汗まみれになったのはコーチと選手、どちらでしょう?
例)コーチは汗まみれになって、練習する選手に付き添った。
例)コーチは、汗まみれになって練習する選手に付き添った。
前者はコーチが汗まみれになった場合。で、後者が選手が汗まみれになった場合。このように、読点を打つ位置で意味が変わってしまうことがあるので、要注意です。
②大事な単語を強調するために打つ
僕が読点を打つ上で、最も重視していることかもしれません。大事な単語の前はあえて読点を打ち、間を作ってあげると強調されます。逆に読点がない文章は、大事な単語が埋没してしまう可能性があります。
例えば、今回のタイトル。
例)放送作家が考える、句読点。
この文章、別に読点なんかなくたって読みにくくないわけです。でも、あえて打つことで、目にも耳にも入ってきやすくなります。読点ではなく「」を用いるのもアリ。
ちなみに、たっぷりと間を取って読んでもらいたい場合は……、
例)この強心臓こそが守護神の、、、平野佳寿なのだ!
なんて読点を重ねたりもします。…(3点リーダー)と同じ役割ですね。
③視覚的に読みにくい部分に打つ
まあ、これは詳しく書くまでもないでしょう。平仮名、あるいは漢字が続いて読みにくいところに打つというもの。半角スペースを入れるのも有効です。
さて、ここまで読点の話ばかりしてきましたが、句点についても言いたいことがあります。
句点は、、、たくさん打ってください!
。。。って意味ではないですよ。僕が言いたいのは……、
一文をなるべく短くしましょう!
ということ。一文が長いナレーションは、聞き手に意味が伝わりにくいです。
読点も、句点も、最終的には聞き手のことを考えて打つ。それが僕のスタイルです。
もしも、あなたが音読したくなる、それを聞きたくなる文章を書きたいのなら、意識してみては如何でしょうか。
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