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後悔には〝伴走愛〟が宿っている。~かすみさん~

視覚障害者が42.195kmを走る、ブラインドマラソン。

この競技では、目が不自由なランナーのために伴走者をつけることが認められています。1レースにつき、最大2名。伴走者は「きずな」と呼ばれるロープでランナーとつながり、距離や方向、ペースの情報などを伝えます。

僕は過去に、伴走者の企画をつくったことがあります。

ランナーのためになにができるか。とことん考え抜くその姿勢を、彼は〝伴走愛〟と表現していました。

さて、きょう僕が描くかすみさんも、ある意味で伴走者といえるのではないでしょうか。

但し、挑んでいるのは、マラソンではありません。

では、かすみさんは誰と一緒に走って、なにと戦っているのか。それがよくわかる記事がこちらです。

ここには、家族が置かれている状況について書かれています。

息子さんは命を脅かす大病。
娘さんは重度のアレルギー。
ご主人は手術後の後遺症。

つまり、かすみさんは一人で三人の伴走を務めているというんです。しかも、走っているのはゴールの見えない過酷なレース。

これを読んだとき、僕は勝手ながら「なんだか自分と重なるところがあるな」と思ったんです。

僕の妻はクローン病という難病でした。それが〝がん〟へとつながり、2018年に他界しました。

同時に、息子は意識を失うほどの頭痛が慢性化。メンタルが原因とわかるまで、何年も病院を探し回りました。

一方、娘も不登校に。失声の症状が出たこともあります。

そんなわけで、かすみさんに対して最初に抱いた感情は〝共感〟だったんです。

ほかの記事も読み進めていくと、その感情はより強くなりました。

週刊少年ジャンプがバイブルで、桃太郎電鉄で日本の地理を覚え、最後の晩餐には餃子を選ぶ……。もう、共通点だらけだと。

でも、やはり一番はふとしたときに感じる〝孤独〟です。

病気に対する、周囲の無理解と間違った配慮。
医師には冷たい言葉を浴びせられ、
教師も受け止めてくれない。
時には、友達ともすれ違ってしまう。

かすみさんはこう書いています。「社会は敵ばかりだ」と。

僕も、たくさん経験してきました。

本当にしんどい。叫び散らしたい。でも、一番つらいのは本人だからと堪えるんです。

症状が悪化してしまうのではという日々の不安とも相まって、心の防波堤はいつも表面張力ギリギリで持ちこたえている状態。みんなは「もっと周りを頼れ」と言うけれど……。

そんな中、一人三役の伴走を務めてきたかすみさん。2020年12月の初投稿から、様々な気付きを書き残しています。

中でも、印象的だったのはこちらの記事です。

「あのとき、こうしていたら」という後悔。それって決して悪いことではなく、愛情の証でしょうっていう考え方。

これが、あなたの〝伴走愛〟なんですね。

現在、息子さんは生き生きと学校生活を送れるようになり、娘さんもアレルギーへの耐性がついてきているそうです。

「よくがんばってきましたね」

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