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【長いお別れ】家族の未来に「覚悟」と「光」を感じた映画【感想】

※重要なネタバレがないようにあらすじや予告編の範囲内に収めるように意識して書いていますが、不安な方は鑑賞後に読んだほうが良いと思います。

僕は介護が怖かった。

ここ数年ずっと飛び交っている介護というキーワード。少子高齢化が声高に叫ばれる日本でとは若い頃から切っても切り離せない言葉だ。

正直、僕は介護が怖かった。いつか来るその日を受け容れる準備ができるだろうか、そう思うととっても不安な気持ちになる。お金のこと、自分の仕事のこと、自分の人生のこと、そして何より親と向き合い続けられるかということ。

だけどこの映画を観て、少しだけ自信や可能性を感じた。

父を父として見続けること。

「長いお別れ」は父が認知症になってからの数年間を描く作品。娘達は自分の人生の中で起こる困難と向き合いながらも、認知症の父に、時に振り回され、時に励まされながら生きていく。母は父(夫)が中心の人生を生きていく。

印象的だったのはやっぱり母の姿。おちゃめで明るくてまっすぐな覚悟をもった母は、父がどんな姿になっても前向きで幸せそうに生きている。もちろん時には悲しむことや怒ることだってあるけれど父がどんなに退行してもずーっと一人の人として、対等な旦那として、見続けていた。

娘たちも意思の疎通もむずかしい父に悩みを相談したりしている。話の内容をちゃんと理解できていない父だけど、愛情とか優しさはちゃんとそこにあって、そんな彼の言葉を父の言葉として、受け止めている。

そんな家族の姿がとっても印象的だった。

親と人と人として向き合えなくなるのが怖かった

それを見ていて自分が何を怖れていたのかに気づいた。

僕は親のことを親として見れなくなることが怖かったんだと思う。親を嫌いになることや親を1人の人としてちゃんと向き合うことができなくなるのが怖かったんだと思う。

家族は距離が近いからこそ、たくさんの期待をしてしまう存在だ。

僕は親に対して「もっと尊敬できる人であってほしい」という期待が強すぎて、大人になるまで親を尊敬したり頼ることができなかった。

大人になって、「自分が期待していただけだったんだなあ」と気づいてから親を1人の人間として親しく思ったり尊敬できるようになった。だけど介護のことはずっと怖かった。

肉体的に大変なのはもちろんなんだけど、元々親への思いが弱かったからこそ、「嫌にならずに向き合い続けれるだろうか」「作業として物のようにあつってしまわないだろうか」「また親を尊敬したり大事に思えない自分に戻ってしまわないだろうか」そんな気持ちが渦巻いていたんだと思う。

でも「長いお別れ」を観て、どんな変化も楽しむことが大事なんだなあって思った。

できないことが増えたって、記憶がなくなったって、親は親だ。それはずっと変わらないんだと思う。

できることが増えることや人格が成熟していくこと、つまりは成長していくことだけが歳を重ねることだと僕は思っていた気がする。だけどどんな変化も含めてその人自身なんだって気づかされた。

「得意なことが得意なままでいてほしいとか、「自分にしてくれたことをできるままでいてほしい」とか、「自分の思っている姿のままでいてほしい」とか、全部全部自分が勝手に期待していたことだった。

「別にそうじゃなくてもいいじゃん。一つ一つの変化を受け入れて、前とは違った関係性やできごとを楽しんでいく。そう、楽しんでいればたったそれだけで良いじゃん。」

それに気づけたことは僕にとってすごく希望だった。去年くらいからおばあちゃんがボケはじめていて、僕はおばあちゃんっ子だから尊敬しているおばあちゃんのかっこ悪い姿を見るのが嫌だったから、そういう所作を見ても噛みしめないようにしていた。自分が忘れられることだって怖いからはじめから自分の中で諦めて気にしないようにしていた。

だけどそういうのはやめていいかもなって。1つ1つ起きることや変化に向き合って1つ1つ受け入れていけばいいじゃんって。どこまでいってもおばあちゃんはやっぱりおばあちゃんだし、お父さんはお父さんだしお母さんはお母さんだ。そう「大変なことも全部、思い出になるといいな。」って思う。

これからできること

前向きになったからこそこれからのことを考えると、今のうちから親のことをもっともっと好きになりたいなーって思った。好きがたまればたまるほど辛いことがあっても乗り越えられる気がする。

あと人に対して関わり方の正義を押しつけないようにしようと思った。親がおばあちゃんに厳しくあたるのが嫌だったんだけど、それは僕の正義だし押しつけるのはやめことにする。それで僕も親に厳しくあたったら負の連鎖になっちゃうもんね。

実際これからの時代、介護は家族だけじゃ乗りこえられないくらい厳しくなるだろう。この映画の家族はかなり裕福な方の家庭かつ円満な家庭だから本当に理想ってくらいの事例何だと思う。それでもあんなに大変そうで、日本の介護のリアルな現状やこれからの介護はこの映画の何倍もずっと過酷で苦しいものになるかもしれない。だからこそ人と人との繋がりや、助け合いがすごく重要にな時代になるはず。

あと小さいことなんだけど、自分の家事力を上げて潔癖症を治そうって思った(笑)

自分がボケた時についても少し考えて(笑)ボケたらやっぱり自分の素とか根っこの部分がすごく出るから頭の先っぽからつま先まで自分の好きな自分になっていこう!って思った。今のうちから健康への投資も忘れずに。

最後はとっても現実的な着地になりましたが(笑)

・人間の変化を楽しんでいくこと
・自分を磨くこと
・人に期待しないこと
・人と人との優しい繋がりを増やしていくこと

これらを意識しながら明日から生きていきます!映画観てない方はぜひ観てみてください(^^)主題歌も素敵です!ここまで読んでいただきありがとうございました!



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