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【映画噺】Petite Maman 「秘密の森の、その向こう」

ぼちぼち試写室での試写会も戻りつつありますが、オンライン試写が選べるのは見る方にとってはとてもありがたくもあります。決まった日時に映画館へ行く、というのはなかなか叶わないことも多い。もちろん、映画館で見る醍醐味は書き尽くせないほどあるのはここではさておいて(すみません)。
今回は海外の口コミや予告編を見て概ね高評価だったのもあり、オンライン試写で見ました。


■あらすじ

祖母を亡くし、母が姿を消した日、8歳のネリーは、かつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女と出会う。母の名前「マリオン」を名乗るその少女の家に招かれると、そこは”おばあちゃんの家”だった…。

試写状より


■感想

現在と過去を繋ぐ森や小道がいわゆるタイムトリップらしさを感じさせず、絵本をめくるようにさりげなく、美しい。
主人公の少女ネリーが”8歳の頃の母マリオン”と友情を育み、
少女なりに残した後悔にも向き合っていきます。

亡くなったばかりのおばあちゃんの若い頃に何らかの偶然で再会できたら、
もっと大きなリアクションをしてしまいそうですが、
ネリーはとっても大人だなぁと。驚いているのかもしれないけど。

過去に伝えられなかった思いや行動などへの「後悔」って大なり小なりありますよね。
そこに自分を重ねながら、映画という非現実的な世界の中だけでも、
「あぁ、こんな経験ができたなら」と思うんでしょう。


■細部へのこだわり

この作品では特に年代設定はなく、広い世代に共感してもらえるよう、衣装に関しては1950年代〜現代の「小学生のクラス写真」を吟味したそう。
そして鍵ともなるおばあちゃんのお家は、シアマ監督のおばあちゃんの家のエッセンスも取り入れつつ、20世紀後半のフランスのインテリアを意識、「床材が違えば足音も変わる」とコメントされているのを読んで、映画で再現しうる限りの五感を繊細に意識しているんだなとも。


余韻まであったかい、いい映画でした。おすすめです。


■twitterでも紹介しました。


■予告編もどうぞ。


公開表記:9月23日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
©️2021 Lilies Films / France 3 Cinéma
配給:ギャガ


藤田嗣治の描く少女の絵を思い出しました。ネリーと8歳の母マリオン役を演じるのは実際の姉妹。


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