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営業は経営者の目線を持てるのか

営業なら一度は言われたことがあるはず。
「経営者の目線を持て!」
「経営者ならどうする?」
「経営者と対等に話すのが重要!」

私自身も営業として高い成果を出し続けてきた自負があります。
そして、営業であった私が相対する多くの方が経営者でした。

彼らと会話し、商談をまとめ、成果を出してきた私は、
「経営者と同じ目線で話せている」
と思っていました。

現在は弱小のスタートアップ企業ながら、一応、私も経営者の端くれです。

そんな私が過去の自分に対する評価をつけるとするなら、
「あんな営業、経営者の目線なんて全く持っていない。所詮は営業。」
です。

もっと言うならば、私が過去にたくさん書いてきた営業テクニックについて触れたnoteの内容は“明確に”サラリーマン時代の私がやってきたテクニックです。

もちろん、あのテクニック自体は一切否定をしないし、有用な内容であると自信を持っています。

一方で、あのテクニックだけではいつまで経っても経営者の目線は持てないのです。

何名かの方に、
「僕のnoteはちゃんと読み込むと1つだけ疑問が残るんです。」
とお伝えしていたのですが、それがまさしく“経営者の目線”なのです。

では、どうしたら営業が経営者の目線を持つことが出来るか。
具体的な方法を書いていこうと思います。

その前に、
敵を知り己を知れば百戦殆うからず
経営者がどんな生き物か実体験を交えて書いていこうと思います。

憂鬱でなければ、仕事じゃない

幻冬舎の見城さん、サイバーエージェントの藤田さんの著書である、
「憂鬱でなければ、仕事じゃない」
を皆さんは読まれたことはありますでしょうか?

この本の刊行当時、
社会人1年生だった私が阪急梅田のBook 1stで何の気なし買った本で、
梅田=烏丸間の毎日の通勤の阪急電車で読んだ記憶があります。

当時の感想は、

「何いってんのwwww
成功した人が自分の成功を美談にするために苦労話してるだけだろwwww
仕事って楽しくするものじゃねーのかよwwww」

です。

要するに、当時の私に1ミリも響いていませんでした。

しかし、
今は弱小スタートアップで名乗るのも恥ずかしいレベルの私ですが、
諸先輩方に敬意を払いつつ、経営者として思っていることを書きます。
(私の私見です。)

・毎日泣きたいwwwwww
・すいません、経営ナメてましたwwww
・昔の俺、もっと金貯めておけよバカwww
・コロナのバカwww
・事業計画もっとしっかりしなきゃwww
・資本政策は不可逆だからめっちゃ考えなきゃ。
・あーーー、営業しなきゃ。
・あーーー、マーケもやんないと。
・プロダクトもっと良くしなきゃ。
・コロナの大バカwww
・ちょっと採用ムズすぎでしょ。
・あ、もうこんな時間www
・あーーー、これ、誰にも言えないwww
・っていうかハゲるwww

もう、びっくりするくらい色んなことがある。
まだ創業半年そこらの弊社ですら、明確に3回の修羅場があった。
びっくりするくらい、孤独だし、泣きたい。ハゲそうw

今思う私の気持ちとしては、
「マジで諸先輩方、頭上がりません。尊敬。尊敬。尊敬。」

千日回峰行という苦行が1000日でしょ、
仮にIPOを目指すなんて
一般的なファイナンスの期限で考えると2000日以上ですよ。
はるか倍以上。

もうね、IPOした経営者なんて仏
悟りまくってる。

「そんだけ悟れば麻雀も強くなるわ!」
なんて思ってしまいます。
(麻雀好きですw)

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その一方で、そんな苦行にもなぜか挑みたいと思ってしまうのです。
その理由としては、

・俺がやらないといけない
・いや、俺がやらないで誰がやる?
・うーーん、俺がやるしかないなぁ。
・だって変えたいじゃん。社会を。
・俺がやるんだ!
・俺がやるってなんかわかんないけど思い込んでる

とまぁ、自分がやらないとダメなんだという使命感に突き動かされている。
もしくは、なぜか思い込んでしまっているのです。

もちろん、これは私の私見ではありますが、
見城さんや藤田さんですら、

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と言っているくらいだから、多くの経営者の方が同じことを思っているのではないでしょうか。

まとめると、
憂鬱でいつも悩んでいるのに、
自分しかいないと思っている(思い込んでいる)

それが経営者なのかもしれません。

それを言い表す言葉が同書にあるので、ご紹介します。

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では、これらを踏まえた上で、営業が経営者の目線を持つにはどうしたらいいか考えていきましょう。

会社が良くなるためなら何だってする。

ほとんどの経営者が会社を良くするためにできることなら何だってやろうと思っているはずです。

なので、会社にとって良い話だったら、何だって聞きたいのです。

一方で、ハゲるくらい色々考えているし、時間も限られています。
なので、本当に信頼できると思った人にしか時間は取りたくない。
その判断基準は、「会社が良くなるか」だと思います。

そうなると、こんな営業の話は聞いても意味ないなと思ってしまいます。

・ビジネスの話をしない(製品説明営業)
・アイスブレイクが天気の話
・小手先の営業テクニックが見え隠れする
・Theテンプレ営業
・営業成績のために動いているように見える
・軽い
その他諸々

以前のnoteに、
・経営者にアポイントを取るためにはお手紙を送ろう!
・刺さる初回訪問時の資料
などを書きました。

これらはすべて、
「他の営業とこの人は違うし、話しを聞いてもいいかな」
と思ってもらうための手段に過ぎないのです。

悲しいかな、多くの営業はこれらのことすらできていません。
なので、そんな小さなことをするだけでも、
「この営業は違うかも」
と、感じるのです。

それでも、信用できない。

私自身も最近は多くの営業を受けるようになりました。
そのなかで、
「この営業、ちょっといいかも」
と思う人がいて、そのサービスを申し込みました。

その後のフォローも素晴らしく、
使いこなしてもらうまで、私が責任をもってフォローします!」
と明言していただき、
あ、良い営業だな。この人で良かった。
と思いました。

しかし、その後の連絡が全くありませんでした。

それでも、一度自分が信用した人なのでなぜか諦められず、
別件を装い連絡を入れてみました。

その別件に対しては反応するものの、
フォローの話は一切出ませんでした。

実は創業してから一番ショックだった出来事がこれです。

「俺はこの人の営業成績の一部としてしか見られてないんだ。
「体の良い営業トークに騙されたんだ。」
「あ、やばい、営業を信用できない・・・」

幸いにも私はこういった経験が1件だけですが、多くの経営者が同じような経験を何度もされていることでしょう。

自分の胸に手を当てて振り返ると、
私自身もそのように思われたこともあるでしょう。

つまりは、こういうことなのかなと思っています。

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イケてない営業によって、営業全体に対しての良くない印象を持ってしまっているのかもしれません。

MEDDIC?
BANT?
SPIN?
受注率?
訪問件数?
商談単価?
フェーズ?
オブジェクションハンドリング?

いやいや・・・全部小手先のテクニックなんですよ。

この人は違う!と思った人

私の中でこの人は違うなと感じた人が何人かいらっしゃいます。
その中でも特に印象的な方がいらっしゃいます。

諸々のすれ違いがあり、
最初はあまり良い印象どころか、不信感しかありませんでした。
(その方ご本人が原因ではないのですが・・・)

しかし、
あるタイミングで直接お話をすることとなった際、
私もどうしても気になっており不信感の理由を伝えてみました。

年下で、ビジネスパーソンとしても格下の若造がいきなり物を言う。
ブチ切れられて疎遠になるんだろうなと心の中で思っておりました。

ところが、その方は平身低頭な謝罪をなさって、私はびっくりしてしまいました。

「俺、なんでこんな偉そうなことを言ってしまったんだろう」
と、今となっては後悔をしております。

ただ、この人は他の人と全く違う。ということは感じ取りました。
その後、何度かやり取りをさせていただいたのですがやっぱり違うのです。

私はご飯行きましょう!という空約束が嫌いなので、本気で行きたいと思う方にしか言わないのですが、この方にはご飯行きましょう!と言ってしまう・・・

(お約束した皆様、自粛終わったら絶対に行きましょうね!)

じゃあ、何が一番大切かって?

これしかありません。

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いちばん大切なのは信頼。これに勝るものはありません。

身だしなみをが整っている営業を見ると、
「この人は細部まで気が利くのかな?」
と思うし、

仮説やヒアリングが素晴らしいと、
「この人はうちの会社のことわかってくれるのかな?」
と思う。

でも、それは信頼の要素でしかないのです。

大前提は信頼。
その信頼を得た上で、様々なテクニックがあって然るべき。
先にテクニックを覚えるより、信頼される営業になるほうが絶対に先です。

まだ、経営者の目線が足りていない。

いくら信頼できる営業だからといって、自分が困っていることをすべて赤裸々に話せるかというと、Noなのです。

まだまだ営業のレベルでしかない。

これはもう、ビックリするくらいのガードの固さなので、なかなか信頼するには至らないのです。

でも、そこで考えてほしいことが1つあります。

自分の会社の経営者は今どんな話をするか。

私が色々と考えた結果、お客様となる経営者の目線を持つ前に、
自社の経営者は何を考え、何を話すのか。

これらを正しく把握し、腹落ちさせ、
それを自分が話すことができたら、
それが一番経営者の目線になるのではないか。
と思っています。

仮に私が今Salesforceの営業であれば、
自分はマーク・ベニオフなんだ!
もしくは、マークの代理として来たんだ!
と思って営業するでしょうし、

Zuoraの営業であれば、
俺はTien Tzuoなんだ!
と思って営業をします。

さて、MarcやTienが今、お客様に営業をしたとすると、
天気のアイスブレイクからスタートするでしょうか?
MEDDICやBANTを気にするでしょうか?

おそらく、いや、絶対しないはずなのです。

営業は自社の経営者の代理である意識を持とう。

結論として言いたいことは、営業は自社の経営者の代理である。
その自覚や意識を持とう。
これが、もっとも経営者の目線に近づく方法だと思っています。

そうなると、
自社の経営者が何を考えているのかもう少し知る必要があるし、
分からなかったら直接聞けばいいのです。

え?自社の経営者にはなかなか話しかけづらいって?
でも、お客様である経営者にはアポをくれっていうんですよね?

なんかおかしくないですか?

まずは、自社の経営者の考えをしっかり聞く必要があると思っています。
彼らも様々な悩みを抱えています。
多分、社内では悩みを漏らさないと思います。

それでも、

「XXさん、お客様の経営者と会話するにあたって、XXさんなら今何を話すのか。もっといえば、XXさんの見ている山ってなんですか?」

と聞いてみると、きっと答えてくれるはずです。

一方で、
「うちの営業が弱くてさぁ・・・」
と漏らす経営者の方は、

「もっと訪問しろ!活動量をあげろ!」
というより前に、
自分が今何を考えていて、どんな山を登ろうとしているのか。

それをしっかり、営業と会話する必要があると思っています。

最後に

私は、経営者の諸先輩方をただただ尊敬しておりますが、
「経営者だから偉いのか?」
と聞かれると、それはNoと答えます。

悩んでいようが、熱い思いがあろうが、
それはその人の選択なので、
他人に強要するのは本質でないと思っています。

しかし、
ハゲるくらい悩み、孤独で、
でもなぜか使命感に突き動かされている。

そんな、経営者という生き物を相手に営業するのであれば、
経営者の目線を持っておくことがどれほどの武器なのか言わずもがなだと思います。

その目線を得る一番の近道としては、
自社の経営者が何を考えているのか知ることだと思っています。

まずは、小手先の営業テクニックに飛びつくことをやめ、
信頼される営業、ひいては、経営者の目線を持った営業が世の中に増えることを願っております。

営業の皆様が、数年前の自分と同じ過ちを繰り返さないよう、
参考になれば、私はなにより嬉しいです。


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