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「ぬっ」が思考を鍛える、小学校の授業見学で分かったこと

2020教育改革を多少なりとも理解すると、学校で子供たちは実際どのような教育を受けているのだ?と気になりだします。今回の授業見学では“アクティブラーニング”の現場を垣間見ることができました。

「ぬっ」でカードゲーム:図工

小学校を卒業して25年余りが経ちました。
遠い記憶を呼び起こしてみると、図工の授業といえば、何かを描くか作るか・・・くらいのことしか覚えていません。立体制作が得意だった私にとっては、この図工の時間はほかの授業より楽しかった(ような気がする)という記憶がかすかに残っているのみ。そんな、淡い記憶のイメージで覗いてみた4年生の図工の授業。面白い!

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グループに分かれた子供たちは、モニターに表示された文字や写真を見て、
1.自分でイメージを膨らませ、
2.イメージに合うアート作品(カード)を選ぶ。さらに、
3.なぜそれを選んだかをメンバーに説明。
4.他の人の共感を得たらカードゲット!

アートカルタ。
学びが多そうです。

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なぜ?を深堀りする工程

このアートカルタのポイントのひとつは、3の自分がなぜそのカードを選んだのかを周りのメンバーに説明する工程。ここで子供たちは自分の思考を言語化するのです。「ぬっ」という自分の中のぼやけたイメージとつながったアート作品。イメージと作品を結んでいる赤い糸を分解して言語化する作業は、まさにクリティカルシンキング!

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子供たちは、自分の気持ちを言語化するという工程を通して思考を深める経験を積んでいるんですね。

なぜ?を追いかけていくことで、霞んでいたもやもやがクリアになっていく感覚。大人になると幾度となく経験しますね。問題にぶち当たったときは、このクリティカルシンキングができるかどうかで、問題の本質にたどり着けるかどうか、解決の糸口を見つけられるかどうかに影響します。でも、このなぜ?の深堀りができない大人、意外と多くないですか?
“できない”のではなく、“慣れていない”のですね。私達は教育の中で、思考を深める経験をたくさんしてこなかったからかもしれません。

“よく考える”という思考の習慣を子供のころから培っていくことは、子供たちにとって未来を生き抜く力になるのでとても大切なことです。

教室はダイバーシティ

次に、おお!と思ったのは、他の人の共感を得られないとカードをゲットできないところ。

認められないとポイントにならないなんて...
なかなかハードルの高い授業やん、て思いましたよ。

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でも、意見を交わすこの時間。
先生の話を一方的に聞くんじゃなく、お友達の考えを傾聴し、共感する時間。これは多様性を受け入れる工程ですね。すばらしい!

自分の考えとは異なる様々な意見に触れる機会をたくさん設けることは、ひとつの考えに固執しない柔軟な思考を養うと思います。自分の考えだけが正しいわけじゃない、自分もいい、相手もいい。みんな違っていい。というやさしい世界になっていけばいいなぁなんて...

対話しながら学ぶ

ってこういうことだったんですね。図工の授業を通して、自分の世界だけではなく、対話することでみんなで考えを深めていくという教育改革の一端を見せていただくことができました。


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