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291 ブルーカード


はじめに

今日の教育コラムでは、私のスクールに通っている生徒から教えてもらったサッカーの新しいルールについて少しお話してみたいと思います。
サッカーで危険な行為や重大な違反があった場合、ルールを破った場合に出されるカードがあります。それが、イエローカードとレッドカードです。レッドカードを出された選手は即座に退場となり、その選手は次の試合1試合出場できないなどの厳しい決まりがあります。
また、イエローカードは警告を意味していて、1試合中に2枚出された選手は即座にレッドカードを出され退場となります。その場合もレッドカード同様に次の試合1試合に出場できなくなります。
さて今回、私が初めて知ったのが「ブルーカード」というものです。どのような罰則があるかからまずは見ていきたいと思います。

ブルーカードのもつ効力

私がこのカードの存在を知った時、生徒たちはさすがサッカーに関心が高いだけあって、ブルーカードの効力について大変よく理解していました。教えてもらったことを基にまとめると次のような効力があることがわかりました。
イングランドとウェールズのアマチュアサッカー界やユースで試験的に導入されているルールらしく、今後は、上級レベルでのトライアルを承認する予定であることが報じられています。この新ルールでは、カウンターを阻止するファウルを犯した選手や審判に対して反抗的な態度を示した選手が、一時的に試合から離れることとなるそうです。
具体的には、ブルーカードを提示された場合、テクニカルエリアなどピッチ外のところで10分間過ごすことになります。また、ブルーカードもイエロー同様に2枚提示された場合やブルーとイエローを1枚ずつ出された場合は、イエロー2枚と同様に退場処分となるそうです。
では、この新ルールにはどのような意図があるのでしょうか。私が感じているのは、年々ひどくなっている審判への選手の態度に対する問題提起ではないかという点です。特に国際大会やヨーロッパの試合などをみていると選手が複数で審判を取り囲んで、罵声を浴びせているようなシーンをたまに目にします。こうした行為は審判の冷静な判断を狂わせるのではないでしょうか。また、スポーツの根幹にかかわるフェアプレーをより一層厳格にとらえる機会にもなるように感じます。

グリーンカード

サッカーにあまり詳しくない私ですが、グリーンカードというルールに感心した覚えがあります。グリーンカードは、U‐12以下の大会でフェアプレーを広めるために2004年から日本サッカー協会が導入した制度で日本で始まりました。フェアプレーやリスペクトのある行為をした選手に贈られるこのカードは、大変ポジティブな意味合いがあります。
日本サッカー協会では、フェアプレーとはどのようなものであるかを次のように示しています。

1.ルールを正確に理解し守る
2.ルールの精神(安全・公平・喜び)
3.レフェリーに敬意を払う
4.相手に敬意を払う

また、サッカーのルールは自他ともに安全で公平に楽しくプレー出来るように作られているとも記されています。このように、試合である以上は勝ち負けを争うわけですが、最も大切なことはサッカーを楽しむことであるとしているのです。
グリーンカードが出されたからと言って得点が入るわけでもありませんし、何かチームの勝利に近づくわけでもありません。しかし、選手やチームはフェアプレーという重要な精神を体現したものとして賞賛を集めます。審判は、そうした選手の素晴らしい姿も評価している立場だということです。つまり、フェアプレーを称賛することもアンフェアを非難することも審判の役割となっているわけです。それが、グリーンかブルーかというカードの色で示されているわけです。
グリーンカードを出す場合にもいくつかの基準が存在します。

1.ケガをした選手への思いやり
2.意図していないファウルボールの際の謝罪や握手
3.スローインやCK、GK、ゴールでボールが境界線を出た時の自己申告
4.問題となる行為を起こしそうな味方選手を制止する行動
5.警告も退場も受けずにポジティブな態度を示す

といったものがそうです。レッドカードやイエローカードで不適切な行為を示すだけでなく、良い行為も示すことで、育成時代の子供たちにフェアプレーの精神の大切さを伝えられるというわけです。私は、こうした勝利至上主義ではない物事の本質に迫るような指導や仕組み作りの重要性を強く感じます。

いらないルールを作らないで済む方法

我々の社会は、ルールを破った時の批判の強さに比べ、ルールを理解してその運用に努めた時の評価が希薄になりがちです。今回のブルーカードが正式に導入が拡大していくと、サッカーを観戦するファンは少しつまらない時間を過ごすことになるかもしれません。
一人抜けたチームは守りに徹するでしょうし、いらぬプレイで時間を費やすでしょう。すると試合は停滞します。ファンはその原因をブルーカード又はそれを出した審判の責任と考えるでしょうか。それともそのプレイをした選手に責任があるとかんがえるでしょうか。
私は、この観客の意識の先が大切だと考えます。観客の評価は選手への評価の中でも大変に大きなものです。フェアプレイを望む観客の意識は、次第にそれに応えようとする選手に還元されていくように思うのです。
シンプルなルールであることは面白さの重要な要素であることは多くの人が承知しています。新しいルールの追加は複雑さを増してでも考えてもらいたい何かがあるように思うのです。
ルールで縛らずとも互いに尊重できる仕組みというのはいつの世もどんな事柄でも大切であり、それを成すことはなお難しいものであるということを感じます。みなさんは、ブルーカードについて、どのような意見をおもちでしょうか。

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