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406 令和の米騒動


はじめに

今、じわりじわりと値上がりが目立ってきている食材があります。それが米です。現在、米の卸売り価格は5月以降高騰し続けています。有名ブランドの新潟産コシヒカリについては、前年の同じ月と比べて6割以上高くなっています。
このような米の高値は約13年ぶりということで、今日のコラムでは、銘柄によっては最高で8割高にもなっているという令和の米騒動について少しお話してみたいと思います。

米騒動とは

約100年前、日本は第一次世界大戦によって生じた「大戦景気」によって国民の生活水準が向上しました。
その一方で、好景気による物価高が発生しました。長引く戦争とシベリア出兵を見込んだ米の買占めが起こりました。その結果、1918年の夏ごろから米の価格が上昇します。当時、一升11銭の価格だった米の値段は、見る見るうちに3倍になりました。1918年7月ついに富山県の魚津で、米を船に積み込んでいるところを住民が目撃し、それを阻止し、米屋に安く売るように押しかけるという事件が起きました。
瞬く間に全国にこの事件は広がり、同じような状況にあった各地で暴動がおこりました。この出来事を「米騒動」と呼びます。この大きな社会現象は、2か月以上続きました。政府は米の価格を下げたり、警察を出動や軍を出動させたりして鎮静化しようとしましたが、国民の怒りは収まりませんでした。米騒動の責任は、内閣の総辞職にまでつながり時の内閣総理大臣、寺内正毅は退陣します。

現在の米の高値の原因は

今回の米の高値は、昨年、2023年の猛暑が一つの原因です。猛暑はここ数年続いているわけですが、夏の暑さで米の品質が低下しました。ブランド米などを中心に高品質の米の収穫量が減ったため、流通量が減っているにもかかわらず、インバウンドの回復で海外からの観光客向けの日本食の提供が促進されて、米の需要が高まりより一層米の取り合いになっています。市場では品薄の状況が続いています。
また、米農家の減少や生産量の減少も慢性的に問題となっています。このような3つの状況が重なり、現在の価格高騰が生じているということです。
しかし、大正時代の米騒動のようなことは起きないでしょう。それは食の多様化により米に依存した食生活ではないからです。
では、他の食品に目を向けてみると軒並みその価格は上昇しているわけですから、いずれにしても実質賃金が下がり続けている現在においては、米騒動の時よりもつらい状況なのかもしれません。
失われた30年の中で日本人は、政治家がよく口にする「痛みに耐え・・・改革を前に進める」という言葉を少なからず信じているうちに、貧しさや厳しさや不幸というものにだいぶ抵抗力が備わってきたことも米騒動に発展しない理由なのかもしれません。

おにぎりもピンチ

日本の国民的ファストフード「おにぎり」に用いられる食材、米と海苔この二つの価格が高騰していることは、私たちの生活に大きな影響を及ぼすでしょう。インバウンドの高まり、物価の高騰、円安、などなど経済的な環境の変化は今後も大きなものとなるでしょう。

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