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45 マイブーム(My boom)

はじめに

今日の教育コラムでは、自分がはまっているものマイブームを通して、学習に対する興味や関心というものについてお話していきたいと思います。
私がしばらく前からはまっているものが「焚火(たきび)」です。それもコンパクトな焚火台をつかって行う簡単なものが好きなのです。ちょっと時間に余裕があるときに1時間か2時間程度ですが焚火をして、お湯を沸かしてカップラーメンを食べて、インスタントコーヒーを飲んでといったごくごく簡単なものです。たまにウインナーを2本ばかり焼いて食べるのも好きです。

薪(まき)と焚き木(たきぎ)両方の良さ

私は、個人的には2つの焚火を気分に応じて楽しんでします。
一つ目が、キャンプ場や近くのお店で売っているような立派な薪をつかって焚火をする方法です。燃え始め用に細いものを用意したり、太いものに火が付いたらゆっくりと眺めたりと、薪は薪で楽しみ方が違うように感じています。丸太を斧(おの)で割り、さらになたで少し細くするような作業自体がとても好きです。
二つ目が、焚き木を使った焚火です。薪も焚き木ですが、立派な薪は使わずに拾った枝や松ぼっくり、杉の葉などをつかって焚火をする方法です。これは、そうしたことを許可しているフィールドを使えるときに限りますが、拠点にしたいと思う場所の周辺を少し散歩しながら焚き木を拾い集めてから焚火を始めます。周辺の自然を散策しながら準備をしている時間や集まった材料でどんなふうに焚火を始めていくかを考えている時が楽しいです。

炎を楽しむ

炎を眺めているとなんだか落ち着いたり、とても心が沸き立ってきたりした経験がある人は多いのではないでしょうか。現代社会の中では、家の裏でごみを燃やしたり、落ち葉を集めて友だちと焼き芋をしたりといった経験をすることがとても難しくなっています。それだけに、たまに焚火をするととてもその時間が大切に思えるのかもしれません。
人類が二足歩行をするようになり、両手が使えるようになったことで道具と火が使えるようになったと言われています。それよりも以前に、きっと人類は山火事や噴火、落雷によって生じた炎を目にしたり、その熱さに驚いたりしたことがあったでしょう。それから、しばらくすると人類は摩擦という自分の努力で生じさせることができるようになります。そのころから私たちは火を眺めてきた歴史があることを考えると、人間のDNAには何かしらの炎への感情につながるものが組み込まれているのかもしれません。

人類と火の歴史

人類の歴史は、およそ700万年前に始まったと言われています。猿人から始まり原人、旧人、新人などと進化の道を歩んできます。その過程で、人類の焚火の歴史に出会うことができます。
例えば、150万年前の焚火の跡がアフリカのスワルトクランス洞窟に見られますし、東アフリカのケニアのチェソワンジャ遺跡などからは、焚火で焼かれた石などが発見されています。こうした100万年以上の歴史のある焚火の後を発見することはとても困難なことであり、落雷や山火事のように自然に発火したものなのかどうかはとても識別が難しいのです。
そうした難しさはあるものの、はっきりと人類の火の使用を確認することができる遺跡があります。それが、イスラエルのゲシャー・ベノット・ヤーコブ遺跡です。約75万年前の原人の時代の遺跡です。ホモ・エレクトスなどの原人がこの遺跡で火をおこすために、火打ち石を用いていたことがわかっています。焚火の跡には火打ち石がや手斧などが複数発見されていて、火を囲んで宴や団欒が行われていた様子がうかがえます。

焚き火飯

枝や鉄の棒にウインナーを指してあぶって食べるだけでも、焚火が最高の調味料になり普段家で食べるよりも、私は何倍もおいしく感じてしまいます。
火の存在は、食事の面で私たちを大きく進化させてくれました。例えば、狩猟により得た動物の肉を、生で食べていたころに比べ、火で焼いて食べるようになったことで単純に食べやすくなり、消化や吸収がよくなりました。
歯の鋭さやあごの丈夫さは穏やかになったものの、そうした部分に用いていたエネルギーが脳の発達に回るようになります。そのことが脳を大きくしていきました。猿人や原人の骨格を比較すると、約180万年前の原人の時代にこうした脳の容量の変化が見られるため、火の使用の歴史もそのころではないかと考えることもできるのです。

生きる力としての火

人類は、偶然に出来上がったビールやアルコールを意図的に生成する方法を考え、人々が楽しめるようにしてきたように、火も偶然の産物ではなく意図的に発生させることが可能なものにし、そして火を用いて蒸気や電気を生み出し、産業の進歩を進めてきました。
温かさや明るさを与えてくれる「火」というものを直接的に感じられる焚き火は、私たちが失ってはいけない火との関わり方や起こし方に対する理解だけではなく、人類共通の歴史の共通点に目を向けることのできるものではないかと思います。

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