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08 イエナプラン(JENA-PLAN)教育

今から100年ほど前に、ドイツで研究実践が始まったイエナプラン教育ですが、オランダでさらに研究がすすめられ、現在オランダでは200を超える学校がこのイエナプランに基づき子どもたちの個性や学ぶことの自由を大切にした教育を展開しています。オランダで広がっているこの教育は、〇〇メソッドのように形式的な教育手法としてではなく、20の原則に基づき個別の状況や子どもたちの実態に応じて指導者や学校運営者が教育の場を創造していく「オープンモデル」として、今もなお研究実践が進められています。

日本では、2019年に長野県佐久穂町に日本で最初のイエナプランスクールが開校しました。この大日向小学校・中学校のホームページをのぞいてみると、イエナプランの教育の魅力を知ることができます。地元の食材を用いた「学校ごはん」は一般の人も味わえるとのことです。また、一日の時間割も公開されておりイエナプランの4つの基本活動である、会話・遊び・仕事(学習)・催しが日々の学校生活の中でいかにバランスよく効果的に展開されているかもわかります。

会話といってもイエナプランでは、様々なテーマや趣旨でサークル対話を行います。指導者は、ファシリテーターとしての立ち位置から会話を引き出したり、平等に関わったりします。子どもたちはもちろんですが、参加するすべての人がお互いの顔を見あい、尊重しあいながら対話をしていきます。その日の予定や目標を聞きあったり、読書について話したり、悲しかったことや悩みのついて共有したりとサークル対話は様々です。いつでもみんなで輪をつくり対話ができるような教室環境や習慣が学校中に整っているのです。

また、学習を仕事と呼び、個人個人の学習のスタイルやペース、学習プランを大切にしていることも重要な視点です。学習者が自ら学習計画を立案し、責任をもって実行するわけですから、一人一人の時間割があるような感覚です。このこと一つとっても、日々の仕事(学習)の進め方を考えること、振り返ることなどを通して自主性や社会性を高める取り組みが実現しているわけです。

他にも、社会や世界とのつながりを意識した学級編成の考え方からもその魅力を感じることができます。異なる学年の子どもたちがグループをつくり、そうしたグループがいくつか教室を共にして学級を編成しているといったものです。

あなたが山登りが好きな人でもいいですし、登山の途中で困っている人でも、初めて山登りをするという人でもかまいませんが、登山の楽しさや険しさ、その山の道のり、休憩ポイントについて尋ねる側、尋ねられる側両方を想定してみてください。不安な山登り、登ったことのある人がそばにいる安心感、不安な気もちを理解しているからこそ、他者の力になれる喜び、教えることでさらに広がる理解、そうしたものがいかに重要かが容易に想像できると思います。

一般的な学校では、特別な行事などの際に違う学年と共に学ぶことを企画します。しかし、イエナプランスクールでは、世の中や社会や世界がそうであるように、常に多様な人間が共に学び、伝承していくことを日常的に大切にした学級編成をしているのです。

そして最後に注目したのが、ワールドオリエンテーションという科目の枠を超えた総合的な探究活動の時間です。ファミリーグループ活動とも呼ばれるこの取り組みは、教科学習で学んだことを活かして子どもたち自らの問いや興味関心に基づいて仲間とともに科学研究のプロセスを協働学習していくものです。教科学習の成果が複雑につながりあい、それにより、より一層、学習が深まるといった効果も期待できますが、各教科の内容を学ぶことの意味を実感することができる取り組みだとも言えます。イエナプランの魅力はまだまだたくさんあるのですが、今回は、大日向小学校・中学校さんの取り組みを参考にしながらほんの一部ですが、イエナプランについて感じたことを書いてみました。

明治維新において新たな価値観で時代を切り開いていった人物に坂本龍馬という人物がいます。皆さんご存じのように、幕末の日本では、身分や立場をこえて新時代の国づくりに向けて多くの人々が学び、語り合うなかで教育の転換期をむかえました。イエナプラン教育、新時代の教育のヒントがたくさん詰まっています。ぜひ家庭教育のヒントにもなりますので調べてみてください。


大日向小学校・中学校HP

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