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「どんなあなたでもいい」と伝えあとにした学校現場。ひとりに向き合う個別支援の道へ

ダイバーシティ工房に入職して1年。それまでの9年間は、小学校教員をしていました。これまで出会ってきたたくさんの子ども達。一緒に過ごしてきた時間は、大切な宝物です。小学校教員を退職する際に伝えた言葉があります。それは「どんなあなたでも大好きだよ」という言葉です。

ありのままの自分を愛してほしい

私は、こう続けました。「勉強や運動が得意でも苦手でも、やんちゃでもおとなしくても忘れんぼうでも泣き虫でも…。」

子ども達は声をあげて泣きました。いつもしっかりしていて下級生にも慕われているAさんも、普段は気が強そうな印象で泣いたところなど見たことがなかったBさんも、「勉強がこわいんだ」と打ち明けてくれて、一緒にできることを見つけながら少しずつ取り組んできたCくんも…。

どの子もいろいろな悩みや葛藤を抱えながら毎日を過ごしているのだと感じました。それと同時に、子ども達は、自分のよい面もそうでない面も、ありのまま愛してほしいと願っているようにも見えました。私がこれまでに一緒に過ごしてきた子ども達は、どの子も出会えてよかったと心から思えるかけがえのない存在です。子ども達が流していた涙を、この先もずっと忘れないでいたいと強く思いました。

どの子も前を向いて笑顔で生きていける未来を

幸せな思い出とともに小学校教員を退職しました。子ども達はもちろん、これまでに出会った先生方や保護者の方々にもたくさん支えていただきました。

もともと、私は人前に立つのが得意なほうでなく、まさか自分が教員になるなんて全く思っていませんでした。気が弱いだけでなく、提出物の期限に遅れたり忘れ物をしたりすることがよくある子でしたが、大学時代の教育実習等を経て、子ども達の成長に直接かかわることのできる喜びを感じ、ずっと近くで見守って支えていきたいと思うようになりました。

いざ教員になってみると、昔の私と同じような子ども達に数多く出会いました。
人前に出ると緊張してしまうのならば負担の少ない役割を担ったり友達に助けてもらったりしてもよい、よく忘れ物をしてしまうのならば忘れ物をしにくくなる方法を一緒に考えて試しながら見つけていけたらよい、そんなことを考えていました。似た部分をもつ自分だからこそ、何か少しでも力になれたらいいなと思いながら日々を過ごしていました。

しかし、教員の立場では、どうしても一人の子だけをじっくり見ることはできませんでした。だんだん、自分の立場からできることに限界を感じるようになっていきました。

集団ならではの行事や授業はやりがいがあり、そこから生まれる感動も多くありました。それでも私は、「学校に行きたい思いを持ちながら不登校の状況にあった子が2年間かけて元気に学校に戻ってこられたこと」、「学習障害による勉強の大変さに悩んで泣いていた子が最後には笑顔で卒業できたこと」、そういったことに何より心を動かされました。

自分が一番やりたいことは「どの子も前を向いて笑顔で生きていけるようなサポートをする」ということだと気が付いたのです。

そう思っていた矢先、偶然スタジオplus+のウェブサイトを見つけました。「一人ひとりに合った学び方を見つけるための場所」「マンツーマンでの授業」「わかる・できるが増え、どんどん自信をつけていく」という紹介を見て「これだ!」と思い、勢いで応募して、現在に至ります。

自分に合った環境や方法が必ずある

スタジオplus+の魅力は、1対1でじっくりと関わりをもつことができることだと感じています。その子に合った支援を行うことができるので、教材の内容や進め方なども、相談しながら調整していくことができます。

現在担当しているDくんは、
「僕は馬鹿だからだめなんだ」
「問題を間違えてごめんなさい」
と口にすることがありました。

できないことが続き自信を失い、間違えたことで嫌な思いをした経験があったのかもしれません。Dくんは十分に素敵な人であること、間違いは悪いことではないことを伝えました。

活動内容は、Dくんの気持ちを聞きながら、一緒に決めていきました。
例えば、「漢字50問テストに向けて10問ずつなら覚えられそう」「間違えた字は3回ずつ書いてみる」などです。

そうしていくうちに、自分でもできることが増えていると気付き始めたようです。その後、目標点を上回るかたちで、無事にテストを終えたことを笑顔で報告してくれました。点数が全てだとは思っていません。ただ、今回、自分に合った学習法を見つけられ、成功体験や自分を認められるきっかけができたことがよかったと思います。

入職当初は、できるだけたくさん学習をしてもらうほうがよいのか思い悩むこともありました。今はそれよりも、その子が安心したり自信を持つことができたりする関わり方を大事にしていきたいと考えています。

抱える課題や本人に合う解決法などは様々ですが、一人一人と向き合いながら、スタジオplus+が子どもにとってありのままの自分が認められると感じられる場所であり続けたい、そして、子どもたちがそう感じられる場所をずっと大切にしていきたいと心から思っています。


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ダイバーシティ工房は、「制度の狭間で孤立しやすい人たち」が、困ったときにいつでも相談できる地域づくりを目指し活動するNPO法人です。
発達障害があるお子さんを対象にした学習教室、こども主体・保護者に寄り添う保育園、コミュニティカフェ、食料支援、自立援助ホーム、SNS相談の運営など地域の0歳~20歳の子ども・若者とその家族を主な対象に活動を行っています。

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