【福島篇②】日本全国の支援団体と繋がりたい「全国出張プロジェクト」
こんにちは。
NPO法人ダイバーシティ工房で、生活支援事業部スタッフとして勤めています、山崎です。
ダイバーシティ工房では、今年度の9月から3月にかけて「全国出張プロジェクト」と称して、
全国各地の子ども若者支援に取り組まれている団体さんの活動を直接見に行く取り組みを開始しました。
プロジェクトを通して、全国の団体さんの活動を勉強して私たちの本拠地・市川市の地域づくりへ還元したり、
むすびめに来られる全国の利用者さんへの情報提供・連携に活かすことが目的です。
プロジェクトの記録を公開しながら、日本全国の支援団体から得た学びを共有したいと思います。
今回は福島県内の、子育ての悩みに対応している団体さんと、学習支援・就労支援をしている団体さんを中心に7拠点を3日で巡る刺激的な学びの後半です。
前半はこちら
1日目
特定非営利活動法人ぴぃかぁぶぅ
特定非営利活動法人こおりやま子ども若者ネットワーク ゆ~くる
2日目
特定非営利活動法人ふくしま フリースクール
児童養護施設 青葉学園
母子生活支援施設 福島敬香ハイム
3日目
いわき地域若者サポートステーション あすびんち
株式会社あんど 放課後等デイサービス U.AND舎 I.AND舎
「自立」に向かうまでの難しさや複雑さ
◯母子生活支援施設 福島敬香ハイム
自立援助ホームや、放課後等デイサービスなど、支援に退所や利用終了などの「期限」が伴う事業を提供している自分たちにとって、「自立」に向かうまでの難しさや複雑さに共感するポイントがたくさんありました。
「18歳未満の子どもがいる女性」が対象ではありますが、入所時の課題が解決したら退所する場所、と伝えているそうです。
それは「子が18歳になるまでずっといられる」という考えが、自立をかえって妨げてしまったり、今後の望む暮らしについて考える機会を減らす働きをしないよう、入居者とスタッフ双方で同じ認識を持ち理解しあうためのコミュニケーションも必要なのだとか。
経済的な観点から自立を目指すことが簡単ではないケースだけでなく、このように施設でいつまで暮らすか?に対する考え方も、自立し退所するまでの期間や、その間の暮らし方に関係します。
そんな風に自立を隣でサポートする入居者にいつも伝えているのは、自己決定権の重要さとのこと。
「自分がこれからどう生活するのか/したいのか」
必要な時間を施設で過ごし、その後退所していく方たちに共通しているのは、この本人の希望や意思があることだそうです。本人の意思がわかったとき、その後の組み立てを隣でサポートすることが支援者としての大切な役割なのだと改めて思いました。
入居者の方々は、子どもと共に生きてきた「強さ」がある方たちばかり。それを生きていくうえでの武器にしてほしいと思いながら、職員の皆さんは日々相談や支援に向き合われている様子でした。
今あるものに巻き込まれて、地域に入っていければいいんじゃないか
◯いわき市みんなの居場所づくり事業 あすびんち
自立に必要なのは、信頼できる人、仲間、場所、時間、やること、の5つ。
と教えて下さいました。
家から出られない・仕事に就くのが難しい人に共通しているのは「怖い」という感情。恐怖心があると、本来できることもできなくなる。
恐怖心が原因なのに、親や周囲から「訓練しろ」と言われるのは辛いこと。
ひきこもっていても、当事者には「地域の一員でいたい」「自信はないが人の役に立ちたい」という強い気持ちがあり、それを一緒に少しずつ実現していくことが大事だそうです。
家から出るのが難しい人と一緒に散歩やバスケをしたり、たこ焼きパーティーをしたり、とにかく楽しいことを一緒にする。
「大人が楽しんでおもしろがらなきゃ!」と、ここでも「大人が楽しむ」ことがキーワードだなと実感しました。
またはっとしたのは、「地域は巻き込まないようにしている」というお話。
今あるものに巻き込まれていくことで、地域に入っていければいいんじゃないか、という考え方は新鮮でした。
具体的には理事が自治会に顔を出したり、市の公園の掃除を請け負わせてもらったりしているそうです。
つい、こちらが核になって地域を巻き込みたい、という気持ちや言葉に慣れてしまうけれど、「地域に自分が入っていく」という姿勢はとても学びになりました。
大人と子どもが何よりも「楽しんでいる」風景
◯株式会社あんど 放課後等デイサービス U.AND舎 I.AND舎
放課後等デイサービス U.AND舎の1階に子ども食堂があり、代表の田子さんにここでお話を伺いました。
放課後等デイサービス U.AND舎は発達や知的に特性のある子ども、I.AND舎は情緒面で特性のある子どものための教室と分かれています。
I.AND舎には、奥に静かに過ごすことができる奥に静かに過ごすことができる畳の個室もあり、訪問当日は高校生が4人テーブルを囲んで、和やかに話をしている様子がみられました。
入室するとその日のスケジュールを自分で決めて書くしくみです。
見学させてもらいましたが、みんな笑顔で楽しそうに過ごしていることが印象的でした。
スケジュールに「ヨガ」と書いている高校生もいました。ヨガ講師を定期的に呼んでいて、スタッフも一緒にやっているそうです。
子どもより上達するスタッフ(70代の方)もいて、子どもたちが発奮するという微笑ましいエピソードも伺いました。
ここでもまた、大人と子どもが何よりも「楽しんでいる」姿がありました。
バーベキュー、遠足、雪遊びなど、季節のイベントも数多く企画・実施していて、雪遊びの後は、近所の温泉旅館でお風呂に入れてもらったりと、地域との交流もさかんです。
子ども食堂は助成金と大人の料金(1,000円)で運営されていました。
フードドライブ(家庭で余った食品を集めてフードバンクや福祉団体に寄付する活動のこと)の焼鳥缶、鯖缶、備蓄米、売り物にならない野菜等でプロの料理人の方がランチを作ります。
訪問日はちょうど子ども食堂開催日で、放課後等デイサービスに来ている高校生が手伝いをしており、私たちにもお冷を出してくれました。
3月からは子ども食堂のない日も店を開放し、スマホを充電できるようにして、高校生の居場所にする予定だそうです。
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今回は、子どもや若者を支援するうえで「地域とのかかわり」について、自分たちの思い込みを超えてどんなことができるか、とても示唆的でした。
そして「まず大人が楽しむこと」という言葉を出張中毎日のように耳にしました。まさしく今回の旅の一番の学びです。
まだ続く全国出張、引き続き学びをご報告していきます。お楽しみに!
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「全国出張プロジェクト2023」は、厚生労働省による孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業の支援を受けています。
ダイバーシティ工房は、どんなライフステージにあってもだれもがふと相談できる地域づくりを目指し活動するNPO法人です。
SNS相談むすびめのほか、学習教室、コミュニティカフェ、保育園、食料支援、生活支援拠点の運営など地域の0歳~20歳の子ども・若者とその家族を主な対象に活動を行っています。
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