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超名曲「晩餐歌」にみる人間らしさ

テーマ:#オススメ本・楽曲シリーズ 第一回

こんにちは、ゆうたろうです。今回は予定を少し変更して、おススメ本・楽曲シリーズです。というのも今こそこの楽曲の考察をめーっちゃ書きたい!と思ってしまったためです。その楽曲とは、tuki.さんの「晩餐歌」です。


1. 「晩餐歌」とは?

この楽曲2023年9月29日に配信リリースされて以来、みるみるうちにランキングを上げ、現在、大ヒットを記録中といっていい作品です。歌手はこの楽曲でデビューとなるtuki.さん、15歳。

純度100%のSNSバイラルヒットといって差し支えないでしょう。全くの無名の状態からTiktokでこのデビュー曲の弾き語り動画を投稿し、楽曲未リリースにも拘らずその動画が話題を呼び、リリースに漕ぎつけた、という経緯です。素晴らしい行動力だと思います。

この経緯だけでも十分に注目に値する楽曲ですが、今回私が考察したいのは楽曲の歌詞です。私のこのnoteのテーマの一つである「人間らしさとは何か?」に通じる深みを感じ、とても感動しました。これからその深堀をしていきたいと思います!

2. 「晩餐歌」歌詞考察

①「人間だからね」

まず感動したのは、一番のAメロのこの歌詞です。

人間だからね たまには違うものも食べたいね

「晩餐歌」/tuki.

この歌詞からまず感じたのは、別れ、浮気、不倫、等々の好きじゃなくなること自体や、好きじゃなくなるからこその行動の肯定、人間って一人に対して一途ってそりゃ無理だよね、という諦めです。現代社会は、特にここ10年は顕著だと思いますが、一途であることへの強制が高まり、不貞行為への社会的制裁が厳罰化されてきています。その潮流が良いか悪いか、是か非か、は置いといて、人間ってそもそもより良い種を保存したいと渇望してる動物だよね、常に完璧でいるなんて無理だよね。とあっさり一番のAメロで言いのけてしまう。Tuki.さんの人間らしさへの高い感性を感じました。

②「何十→何百→何千→何万」

2点目はこの曲の一番の盛り上がりどころ、サビの唄い出しの変化に注目しました。1番サビでは、

何十回の夜を過ごしても得られぬような 愛してるを並べてみて

「晩餐歌」/tuki.

と始まります。
それが2番では「何百回~」、3番では「何千回~」、最後では「何万回~」と桁が一つずつ増えていき、「何千回」以降は「愛してるを”並べるから”」に変化、「何万回」のみ「過ごしても”忘れぬ”ような」に変化しています。この変化にどういうメッセージを込めたのでしょうか?まずは何〇回がどれくらいの期間なのか、換算してみましょう。

  1. 何十回=1か月程度:親友、あるいは付き合いたての関係

  2. 何百回=1年程度:付き合って長い、あるいは同棲や結婚したての関係

  3. 何千回=10年程度:結婚関係

  4. 何万回=100年程度:人の一生

“君”との関係性は期間の長さからの類推でしかないですが、こうやって類推してみるとその他の微妙な変化にも納得がいきます。つまり1.2.の「愛してるを並べてみて」という歌詞は、結婚前までは相手に愛を求める主人公を表しているのではないでしょうか。一方で3.4.の結婚より長い期間の付き合いであれば、「愛してるを並べるから」と、主人公から相手へ愛を与える必要があると。

そして1.~3.は「得られぬ」という表現でしたが、これは他の相手との比較を示しているのではないでしょうか。つまり他の「親友」「彼氏/彼女」「結婚相手」では得られないような愛を欲しい/与えたいというメッセージになっていると解釈します。他方、4.だけは「一生忘れられないような愛を与えるよ」というメッセージになっており、そこに他者との比較はありません。

この違いがなぜ生まれるかと言うと、1.~3.は「他人との関係に根差した期間」、4.は「人の一生という他人との比較が関係ない期間」を題材にしているためです。このメッセージからは何かと他者と比較してしまいがちな人間、でも実際には他人と比べるところから離れて初めて本当の愛が伝えられる、という人間らしさが垣間見えます。最小限の歌詞の変化だけで、これだけのメッセージを伝えられることに感服です。

3. 一番の驚き

何よりもこの楽曲に関して驚いたこと、それはこの歌詞を書いたtuki.さんが15歳であるということです!
「なんで15歳でこんな芯食った歌詞書けんねん!!」というのが初めて聞いた時の感想です。なんというか、これは大げさに書きすぎなのかもしれませんが、宇多田ヒカルさんが15歳で「First Love」にて、「最後のキスはタバコのflavorがした」という唄い出しを書いたことに匹敵するレベルの衝撃を感じました。

最後になりますが、tuki.さんにはtoo muchな期待を寄せてはプレッシャーになるだけだと思うのですが、それでも宇多田ヒカルさんのような素晴らしい前途が待っていること、そして宇多田ヒカルさんがJ-POP界に与えてきたような大きな影響を与えてくれたら、と願っています。そんな期待をしたくなる超名曲でした。

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